【面接支援】人物見極めを支援するリファレンスチェックサービス
「面接で失敗した・・・」(涙)
という経験は少なからずどなたでもあるはずです。
「前職で営業トップだったって言っていたのに、入ったら全然」
「経歴では課長を10年やっていたのに部下からの評価がさんざん」
などなど。
履歴書や職務経歴書をしっかり見て、面接も60分しっかりと話し込んで、その後ご飯も食べに行って、彼なら大丈夫だろうと思ったのにそんな結果であれば人事は「失敗した・・・」という思いになるのも仕方ないところです。
とはいえ、面接を担当した人事も、採用面接歴1,000人といった猛者であるわけもなく、マネジメントで人の管理はおこなったことはあるものの、全くの初見であった人を60分弱で完璧に〇△×つけられるかというと、そんな高確率でうまくいくはずもありません。
なので、こういう時こそテクノロジーの力を頼るべきです。
ここでは面接の見極めが苦手な方でも面接に失敗しないための支援ツール「リファレンスチェックサービス」について、効能と導入の注意点、代表的なサービスと目利きする場合のポイントについてご紹介します。
リファレンスチェックサービスとは
そもそもは興信所などに依頼していた身上調査
リファレンスチェックとは採用予定者や内定候補者の前職での「勤務状況」「ひととなり」などについてリサーチすることです。
正社員の採用ミスマッチの軽減や、スポットワーカー採用に当たっての事業リスク軽減のために注目が高まっています。
過去には興信所(探偵事務所)などが電話や、書面、実際の面会を用いて調査するケースが多かったのですが、最近はオンライン上での質問回答、ネット上で投稿履歴を検索して情報提供するHRテックサービスも出てきています。
アメリカではユニコーン企業も出現
アメリカでは、2021年7月にギグワーカーの リファレンスチェックサービス「Checkr」が累計3億米ドルを調達して話題になりました。
このほか、Instant Checkmate(経歴チェック)、Truthfinder(犯罪歴チェック)など複数のサービスが台頭し、市場規模は アメリカだけで28億ドル(2021年)、世界で49.5億ドル(2020年)に上ります。
日本でも利用は拡大傾向
日本でもネットやSNSの普及に伴い、リファレンスチェックの需要が拡大しています。拡大の背景としては
・オンライン面接の増加
画面上だけでは人となりがわかりづらく適性診断でも判断がつかない
前職での評判など客観的な第三者の判断材料の需要が高まる
・ギグワーカー・スポットワーカー活用シーンの増加
即勤務、単発勤務がメインのため事前のチェックもままならない
リスク回避のためのバックグランドチェック的需要が高まる
・SNS炎上・バイトテロなどコンプライアンスリスクの急増
普段は真面目でも裏では何をしているかわからない
SNSでの裏の顔を把握して入社後の問題発覚を未然に防ぐ
・採用活動にかける企業のマンパワー不足
ひとりひとりしっかりと情報収集する時間も余力もない
テクノロジーや第三者の力で集めた情報を判断のよりどころにする
などがあげられます。
こういった背景もあり、サービスが増え、利便性が高く進化を続けています。
リファレンスチェックサービスの導入メリットと注意事項
テクノロジーによって劇的に利便性が高まったリファレンスチェックサービスを面接時に利用することでどういったメリットがあるのでしょうか?また導入に際して何に注意をする必要があるのでしょうか?
導入することでの企業のメリット
大きく以下の3つがメリットになると考えます
・履歴書の虚偽をチェックすることで、選考を公正に行うことができる
・前職上司など第三者からの推薦コメントで応募者の能力や人柄を多角的に判断することができる
・人間関係・仕事内容のミスマッチを事前に防止することができる
虚偽の表記は問答無用に✖ですが、職務経歴書にある「盛り」を見極めるのには前職の知人からのコメントは有力です。
「営業業績は常にトップ」と職務経歴書にあったが前職の上司に確認したところ、「確かにトップではあったが細かいミスも多く、サポートスタッフが手を焼いていた」という情報が得られた、とします。
この客観的な情報をもとに面接に臨むことができると、慣れていない面接官でも、そのミスが許容範囲かどうか?本人がこのことをどう受け止めているか?で、人となりを深く知り採否判断を深めることができます。
求職者にもメリットがあります
内偵調査のような側面があるため、企業側の方がメリットが大きそうですがアピールする求職者にもメリットはあります。
第三者のお墨付きがついた経歴や強みは、面接官へのアピール内容に厚みを持たせられます。面接では伝えきれない事、自分で言うのが恥ずかしいことも、第三者が客観的に伝えてくれることによって、面接時の武器として活用できます。
反対にデメリットは、同僚や上司に転職を考えていることが身バレすること。ネガティブコメントが入れば逆にマイナスになる事。上司や同僚にこのお願いをすること自体が手間になること。この3つがあげられます。
転職活動がオープンリーチ状態になるわけですから、多少どころではない気まずさが残ります。なぜ身バレするかというと、本人に同意確認したうえで、本人が依頼者を決めて、彼らに自分についての質問への回答をお願いしないといけない流れになるからです。
これをやらずに情報を集めることができればよいのですが、個人情報保護法観点で、こっそり行うことができないのです。
個人情報保護観点において注意が必要なこと
レファレンスチェックで獲得しようとする情報は個人情報です。個人情報保護法によって、本人の同意なしで個人情報を第三者に提供することは禁止されているため、必ず本人の事前同意が必要です。
転職が当たり前のキャリアアップという考え方のアメリカと異なり、従業員の転職を容認したり応援するといった感情や環境が日本ではまだ整っていないところも多いです。気軽に転職を検討するので回答してください、とは言いづらく。これがこのサービスを浸透させにくい理由かもしれません。
リファレンスチェックサービスの特徴と流れ
リファレンスチェックはどういった流れで行い、テクノロジーサービスになって具体的に何をサポートしてくれるのでしょうか?
まずはリファレンスチェックの流れをご紹介します。
①求人企業がリファレンスチェックサービス企業に依頼します
②リファレンスチェックサービス企業が一連の情報回収の運用を行います
まずは選考対象者へ事前の同意と、推薦者の選定依頼を行います
③質問内容を先行者本人へ送ります
その質問は選考対象者本人が推薦者へ回答の依頼とともに送ります
④推薦者の記入した質問回答はサービス提供企業へ直接送り返されます
必要や依頼に応じて個別聞き取りを行うこともあります
⑤サービス提供企業が集まった回答内容を分析しレポートを作成します
⑥作成したレポートを求人企業へ送信します
依頼から回答レポートの作成まで、早くて3日、だいたい1週間ほどかかります。リマインドなども徹底されており、質問の回収率も75%~90%とほとんどが回収でき、選考の流れに大きなマイナスにならないシステムが組まれています。
利用のタイミングと目的は欧米と日本では異なる
このサービスの利用タイミングですが、欧米と日本では異なります。
欧米は比較的早期、「選考のミスマッチ解消」が主な目的になっており、情報収集方法もテクノロジーで短期間に行う簡素なものが多いです。
日本では二次面接から最終面接のあいだといった選考後期に利用されることが多いです。「素行調査」の意味合いがまだ強く、ヒアリング手法がいまだ電話や対面の聞き取りだった、しっかりとした手法でしっかりとした内容を取りに行っています。
リファレンスチェックサービスの実施内容と分類
リファレンスチェックサービスにはおもに6つの機能があります。
①推薦者への質問回答の収集代行
②質問回答内容の分析、レポート化
③コンプライアンスチェック
④SNS、NET投稿での投稿内容の確認と監視
⑤運用設計サポート
⑥面接官アシスト
欧米のような選考前期に使うミスマッチ解消、チェック・リサーチ型は③④が機能の中心、日本式の理解・活用重視型は②⑥に重きが置かれています。
同じサービスでも利用タイミング、用途によってが異なるので、利用の際には注意が必要です。
具体的なツールと目利きポイント(選び方)を紹介
リファレンスサービスの代表的なサービス
リファレンス・レター、RoboRobo、MiKiWaMe Point、ASHIATO、Parame、back chheck、ネットの履歴書、経歴info、TASKEL、などが代表的サービス。
機能は上記①~⑥でほぼ上記の項目です。
だったら、どのサービスを選んでも同じかというとそうではありません。
何を選んでも得られる効能は同じというわけではわけではなく、自社の社内状況にマッチしているものを選ばないと意味がありません。
ここでは目利きするポイントを、3つご紹介します。
目利きポイント① 目的と情報ソース
「リスクチェック」が目的か、「ミスマッチ防止」が目的かで利用ツールは異なります。ここに加えて獲得したい情報のソースがオンライン上のものか、紹介者からヒアリングするか。ここがカギです。
「リスクチェック」で紹介者ヒアリングからしっかりとした情報を求めるならback check、オンライン上のライトな内容でよければ、RoboRobo、ネ歴(ネットの履歴)になります。
「ミスマッチ防止」はしっかり情報収集を行うツールが中心で、ASHIATO、Parame、TASKELといったサービスがあります。
目利きポイント② 料金
初期費用があるか、月額利用料は従量制か定量制か、自社の月間での面接人数を想定し、最もコスパが良いサービスを選びましょう。
オンライン上から情報をクローリングするサービスは比較的安く、同僚や上司に直接聞き取りを行うなどのサービスは高い料金設定になっています。
目利きポイント③ 納期
質問を発信してから回収しレポート納品を行ってくれる納期。面接の流れに差し込むため、ここがあまり長いと求職者を逃がすことにもつながりかねません。何日でレポートを送ってくれるのかはしっかりと確認しておきましょう。
終わりに
まだまだ身の上調査的な意識が強いリファレンスチェック。最近はSNSを使ってセルフブランディングを行っている人も多く、そこから情報をうまく集められれば、面接官が苦労することも減るでしょう。
採用難の時代はこの先も続きます。面接での取りこぼしを極力避けるためにも、テクノロジーの力を使った求職者見極めの補助ツールとしてリファレンスチェックが使えればよいのにと思います。
ネ歴(ネットの履歴書):オンライン完結のレファレンスチェック
RoboRoboリファレンスチェック:ロボットがSNS投稿から求職者の情報を検索
別名は SNS探偵
MiKiWaMe Point:もと人事責任者が当時の不満解消として作ったサービス
求職者が自分の売り込み力を強くする情報を盛り込みやすくしたツール
ASHIATO:enグループのサービス
求人屋がつくっただけに転職後押しツールな感じがみてとれます
おまけ
現在、投稿しているnoteの内容をまとめ、ITが苦手な人でも採用~離職防止までの活動を便利に進める入門書籍を作成しようと進めております。順不同の五月雨でどんどん投稿してまいりますので、応援をよろしくお願いいたします。
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