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現代に通じる「明清小品集」⑥~老境に至って思うこと
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老去自覺萬緣都盡,那管人是人非。
春來尚有一事關心,只在花開花謝。
老い去りて、自から万緣の都て尽くるを覚ゆ。
那ぞ人の是、人の非に管らん。
春来たりて、尚お一事の心に関わる有らば、
只だ花の開き、花の謝むに在り。
年を取ると、世間とは何もかもすっかり縁がなくなってしまう。
正しいだの間違っているだの、人のことなど気にしていられない。
春がやって来て、気になることが一つだけあるとするならば、
花は咲いただろうか、花は散っただろうか、そんなことばかり。
――明・屠隆『清言』
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【現代社会】
「老い」と「幸福感」