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アニメ&京劇『西遊記』~「大鬧天宮」(大暴れ孫悟空)

大鬧天宮だいどうてんきゅう』は、中国・明代の長編小説『西遊記さいゆうき』の中から、孫悟空そんごくうが天宮で大暴れする一幕を題材にしたアニメーション映画です。

上海美術映画製作所が製作し、1961年に上巻、64年に下巻が公開されました。日本では「大暴れ孫悟空」という邦題で上映されています。

初期のディズニーアニメを彷彿とさせる手作り感があり、またキャラクターの動作や音楽は京劇仕立てになっていて、古典的で懐かしい趣のあるアニメです。

あらすじは以下の通り。

孫悟空は花果山かかざん水簾洞すいれんどう猴王こうおうとして猿の群れを率いていた。自分の力を発揮できる武器を求めて東海龍宮に赴き、そこで龍王の如意金箍棒にょいきんこぼうを奪った。龍王が天庭(天帝の宮廷)に訴え出ると、玉帝ぎょくてい太白たいはく金星きんせいの策によって孫悟空を天庭に呼び寄せ、弼馬温ひつばおん(天馬を管理する官吏)の役職を授けて手懐けようとしたが、孫悟空は馬天君ばてんくんに刃向かい、御馬監ぎょばかんを破壊して天界を出た。花果山に戻ると、孫悟空は自ら「斉天せいてん大聖たいせい」と名乗った。怒った玉帝は、李天王りてんのうに天兵天将を率いて孫悟空を捕らえるよう命じたが、孫悟空は猿たちを率いて戦い、巨霊神きょれいしん哪吒なたらを打ち負かした。

玉帝は再び太白金星の献策によって、孫悟空を懐柔して西王母せいおうぼ蟠桃園はんとうえんを管理させることにした。蟠桃園の仙桃は食べると不老長生が得られると聞いた孫悟空は、こっそり蟠桃を食べてしまう。七仙女が西王母の誕生祝いの蟠桃を摘みに来ると、孫悟空は自分が祝宴に招かれていないことを知る。憤慨した孫悟空は宴会場で酒をたらふく飲んで大暴れした。仙界の珍味を袋に詰めて持ち帰ろうとしたが、酔っ払った孫悟空は誤って太上たいじょう老君ろうくん兜率宮とそつきゅうに迷い込み、そこで玉帝御用の金丹
(不老長生の丹薬)を全部平らげてしまう。

蟠桃の宴会を台無しにされた西王母と金丹を盗み食いされた太上老君は玉帝に訴え出た。玉帝は李天王に十万の天兵天将を率いて孫悟空を捕らえるよう命じた。孫悟空は妖術を駆使して戦い、四大しだい金剛こんごうを撃退したが、二郎神じろうしんとは数百回合にわたって戦っても勝負がつかず、最後に、太上老君の不意打ちで捕らえられてしまう。天神たちはあらゆる刑罰を試みたが、孫悟空に傷一つ負わせることができなかった。そこで、太上老君が孫悟空を丹炉に入れて焼き殺そうとしたが、孫悟空は却って力を増して丹炉から出て来た。霊霄殿れいしょうでんに攻め込んで大暴れすると、玉帝は恐れをなして逃げ出した。孫悟空は花果山に凱旋すると、「斉天大聖」の旗を掲げて勝利を祝った。

下は、アニメ『大鬧天宮』のフルムービーです。(1時間47分)


アニメですので、原作の小説『西遊記』とは所々異なっています。

特に、最後の場面で、アニメでは孫悟空は花果山に凱旋しますが、小説では釈迦如来によって五行山ごぎょうざんに閉じ込められ、500年後、「西天取経」の道中の玄奘三蔵げんじょうさんぞうに救われて旅のお供となる、という筋になっています。

さて、こちらは、京劇『大鬧天宮』です。(2時間13分)


『三国志演義』など長編小説を演劇化する際、通常は、小説全体ではなく、有名な一場面のみを取り上げて演じます。

『西遊記』では、孫悟空が破天荒の大暴れをして、激しい立ち回りの多い「大鬧天宮」の場面がとりわけ聴衆受けして人気を博しています。

『西遊記』について詳しくは、こちらをご参照ください。↓↓↓


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