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【中国語】声優の朗誦&ドラマの動画で味わう『三国志』「出師の表」

『三国志』の数ある山場の一つ、
諸葛孔明が「出師の表」を奉るシーンです。

劉備亡き後、建興5年(227年)、
丞相諸葛孔明は、後主劉禅に上奏文を奉ります。

いざ、魏を攻める北伐の出陣に臨んで、
先帝劉備から受けた恩顧を切々と述べ、
暗愚な劉禅を我が子のように懇ろに諭し、
報恩として漢室の復興を誓った上奏文です。

南宋の安子順は、こう評しています。

「諸葛孔明の出師の表を読みて涙を堕とさざれば、其の人必ず不忠」

これを読んで泣かない者は忠臣ではない、
そう言わしめた天下の名文です。

↓↓↓「出師の表」については、以前、こちらの記事を投稿しています。

前回は抜粋でしたので、今回は、「出師の表」全文の原文と現代日本語訳を記事末尾に載せましたので、ご参照ください。

さて、以下の3つの動画は、それぞれ趣向が異なります。
ご興味のあるものでお楽しみください。

1 原文をプロの声優が現代中国語で朗誦

中国の声優・趙嶺氏による朗誦です。
低音の美声で、聞き惚れるような朗誦です。
朗誦に沿って、毛筆の楷書で漢字を一文字ずつ表示しています。


2 TVドラマをカット編集して原文を現代中国語で朗誦

「出師の表」の文言に沿って、長編 TVドラマ『三国演義』をカット編集し、
現代中国語で朗誦しています。
原文(簡体字)の字幕が付いています。
「三国志」のダイジェスト、超時短版を観ているような気分になります。


3 英語の訳文をプロの俳優が朗誦

俳優・王洛勇氏による英語訳の朗誦です。
原文(簡体字)と英語訳の字幕が付いています。
中国古典を英語で朗誦? と違和感がありましたが、さすがプロの俳優さん、
なかなか聞き応えがあります。


原文

 臣亮言、先帝創業未半、而中道崩殂。今天下三分、益州疲弊。此誠危急存亡之秋也。然侍衛之臣、不懈於内、忠志之士、忘身於外者、蓋追先帝之殊遇、欲報之於陛下也。誠宜開張聖聽、以光先帝遺德、恢弘志士之氣。不宜妄自菲薄、引喩失義、以塞忠諫之路也。

 宮中・府中、倶為一体、陟罰臧否、不宜異同。若有作姦犯科、及為忠善者、宜付有司、論其刑賞、以昭陛下平明之治。不宜偏私使内外異法也。

 侍中・侍郎郭攸之・費褘・董允等、此皆良実、志慮忠純。是以先帝簡抜、以遺陛下。愚以為宮中之事、事無大小、悉以咨之、然後施行、必能裨補闕漏、有所広益也。

 将軍向寵、性行淑均、暁暢軍事、試用於昔日、先帝称之曰能。是以衆議挙寵為督。愚以為営中之事、悉以咨之、必能使行陣和睦、優劣得所也。

 親賢臣、遠小人、此先漢所以興隆也。親小人、遠賢士、此後漢所以傾頽也。先帝在時、毎与臣論此事、未嘗不歎息痛恨於桓・霊也。侍中・尚書・長史・参軍、此悉貞良死節之臣。願陛下親之信之、則漢室之隆、可計日而待也。

 臣本布衣、躬耕於南陽。苟全性命於亂世、不求聞達於諸侯。先帝不以臣卑鄙、猥自枉屈、三顧臣於草廬之中、諮臣以當世之事。由是感激、遂許先帝以驅馳。後値傾覆、受任於敗軍之際、奉命於危難之閒。爾來二十有一年矣。

 先帝知臣謹愼。故臨崩寄臣以大事也。受命以來、夙夜憂歎、恐託付不効、以傷先帝之明。故五月渡濾、深入不毛。今南方已定、兵甲已足。當獎率三軍、北定中原。庶竭駑鈍、攘除姦凶、興復漢室、還於舊都。此臣之所以報先帝而忠陛下之職分也。

 至於斟酌損益、進尽忠言、則攸之・褘・允之任也。願陛下託臣以討賊興復之効。不効則治臣之罪、以告先帝之霊。若無興徳之言、則責攸之・褘・允等之咎、以彰其慢。陛下亦宜自謀、以咨諏善道、察納雅言、深追先帝遺詔。臣不勝受恩感激。今当遠離、臨表涕泣、不知所云。

現代日本語訳

 臣下の諸葛亮が申し上げます。先帝(劉備)は、漢王室再興の大業を創められましたが、道半ばにして崩御されてしまいました。今、天下は魏・蜀・呉に三分され、益州は疲弊しております。これは誠にわが蜀の存亡のかかった危うい時であります。それでも、陛下(劉禅)の側近の臣下が宮廷で職務を怠らず、忠義の武人が戦場でわが身を顧みずに戦うのは、思うに、先帝から受けた殊遇を追想し、それを陛下に対して報いようとしているからでありましょう。ぜひとも、陛下は、臣下の進言を広くお聞き入れになり、先帝の遺徳を大いに明らかにし、志ある者の意気を発揚させるようなさるのがよろしいかと存じます。みだりに御身を軽んじ、筋道の通らない喩えを引いて、忠誠な臣下の諌言をお聞きにならないようなことがあってはなりません。

 宮中と政府はともに一体であり、善い行いをした者を昇進させ、悪い行いをした者を罰するのに、宮中と政府の間で相違があってはなりません。もし不正を行い罪を犯した者、忠義に篤い善をなした者があれば、役人にお預けになって刑罰と褒賞を論じ、陛下の公明正大な政道を世にはっきりとお示しください。私情に流され偏ったお考えで、宮中と政府とで法の執行に差異があるようであってはなりません。

 侍中・侍郎の郭攸之・費褘・董允らは、皆善良で誠実であり、心志が忠誠で純真です。それゆえ先帝は彼らを選び抜かれて、陛下に遺されたのです。思うに、宮中の事は、事の大小を問わず、何でも彼らに相談してから実行なされば、必ず欠漏を補い、大いに役立つことがありましょう。

 将軍の向寵は、性格も行為も善良で公平であり、軍事に明るく通じています。かつて先帝が試しにお使いになり、彼を称して有能な人物とおっしゃられました。それゆえ衆議で寵が推挙され、総司令官に任じられました。思いますに、軍営の事は何でも彼に相談すれば、必ず軍隊をうまく統率し、適材適所の要員配置をするでしょう。

 優れた臣下を近づけ、つまらぬ人物を遠ざけたのは、前漢が興隆した原因であり、つまらぬ人物を近づけ、優れた臣下を遠ざけたのは、後漢が衰えた原因です。先帝は、生前、つねにわたしとこのことを論じ、桓帝・霊帝の治世に嘆息し心を痛めておられました。侍中・尚書・長史・参軍の者たちは、みな正しく真心があり、節義のためなら死をも厭わない臣下です。願わくは陛下、彼らを重用し信頼なさってください。そうすれば、漢王朝が再び興隆することは、日を指折り数えて待つようなものでございます。

 わたしは、もと無位無冠の身で、自ら南陽で田を耕しておりました。ただ乱世に天寿を全うできればよいと思い、諸侯に名が知れて出世しようなどとは望んでおりませんでした。先帝は、わたしが賤しき者であることを気になさらず、かたじけなくも、自ら尊貴のご身分を曲げて、わたしをあばら屋に三度も訪れてくださり、当世の時局についてお尋ねになられました。わたしはこのことに心を打たれ、かくして先帝にお仕えして奔走することを承諾いたしたのです。のち、国が傾き倒れんとする時、敗軍の最中に任務を受け、危難の中でご命令を拝しました。それ以来、二十一年の歳月が過ぎました。

 先帝は、わたしが慎み深いことを知っておられました。そのため、崩御されるに臨んで、わたしに国の大事を託されたのです。わたしは、命を受けて以来、日夜憂慮し、託されたことに何の成果も挙げることができず、先帝のご英明に傷をつけてしまわないかと恐れておりました。そこで、五月に濾水を渡って、深く不毛の地に軍を進めました。今、南方はすでに定まり、軍備もすでに十分足りております。今こそ全軍を率いて北へ進み、中原を平定すべき時です。願わくは、愚鈍な才の限りを尽くして、姦賊を打ち払い、漢室を復興して旧都に帰還せしめたく存じます。このことこそ、わたしが、先帝のご恩に報いて、陛下に真心を尽くすためになすべき務めでございます。

 国家の利害損失を勘案し、陛下に忠言を尽くすことは、攸之・褘・允の任務です。願わくは陛下、わたしに賊を討ち漢王室復興を果たす務めを託してください。成果が上がらなければ、わたしを処罰して、先帝の霊にお告げください。もし陛下の徳を高める進言をしないならば、攸之・褘・允らの咎を責め、その怠慢を明らかになさってください。陛下もまたご自分でお考えになり、善き政道について臣下に意見を求め、正しい言葉を受け入れて、先帝の御遺言を堅くお守りください。わたしは恩を受けて感激にたえません。今遠く離れて出陣するに当たり、上奏文を前にして涙が流れ、どう申し上げてよいかわかりません。


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