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ゼロから分かる投球フォームのしくみ


より良い投球フォームの追求とは、身体操作のイメージとその再現に必要な筋力/パワー関節可動域を手に入れることです。

この記事は、投球イメージの獲得において基盤となる『投球動作のしくみ』をより多くの人に知ってもらうために作成しました。皆さんの投球フォーム改善に何かお役に立てたら嬉しいです。

※内容はオーバースローとスリークォーターの投手を対象としております


目的
今ある筋力・パワー・関節可動域を、最大限に発揮できる投球フォームを獲得すること

効果
・球速アップ
・肩肘の怪我予防
・球質の向上
・コントロールの向上
・投球持久力の向上




導入


投球動作は、側面から下半身主導で正面へ向く横回転と、正面から上半身主導で腕を振る縦回転の2つの動作で成り立っています。

横回転の役割:下半身の使えるエネルギーを増やすこと
縦回転の役割:下半身のエネルギーをボールに伝えること

横回転→縦回転

いくら横回転で下半身の使えるエネルギーを増やしても、縦回転ができていないとボールに力が伝わらないため、まずは縦回転からマスターするのをおすすめします!




✅ 縦回転をマスター


縦回転の役割は、下半身で生み出したエネルギーを上半身とボールに無駄なく伝えることであり、ほとんどの動作が上半身のみで完結します。

縦回転は、どの関節を重点的に使うかで6つの投げ方が存在し、より胴体に近い関節を使って投げるほど、ボールを遠く・速く飛ばすことができます。

① 「手首」 で投げる
② 「肘関節」で投げる
③ 「肩関節」で投げる
④ 「肩甲骨」で投げる
⑤ 「胸椎」 で投げる
⑥ 「股関節」で投げる


投球動作には2つの力の変換装置と1つの方向の変換装置があり、前者は「胸椎」と「股関節」、後者は「肩甲骨」が担っています。


1️⃣ 胸椎で投げる


胸椎とは背骨の一部であり、胸の部分に位置してします。また、屈曲伸展(猫背→胸を張る)の可動域は約40度ほどです。


■ 胸椎を使うことの重要性
末端の関節(肘+肩)よりも体の中心に近い関節(肩甲骨+胸椎)からしなりを作った方がより大きいエネルギーを生み出すことができます。

さらに、胸椎は下半身で生み出したエネルギーを腕の振りに伝える“力の変換装置”でもあり、使えないとその分のエネルギーを無駄にしてしまうことになります。



2️⃣ 肩甲骨で投げる


肩甲骨は、体の中で最も自由に動かすことができる関節です。


■ 肩甲骨を使うことの重要性
ボールを正確にコントロールするためには、リリース前後で回転運動から直線運動に切り替えることがとても重要です。

回転運動→直線運動

また、直線運動への変換(方向の変換装置)は「肘関節 × 肩関節の動き」と「肩甲骨の動き」が担っており、リリースの瞬間は「肩甲骨の動き」による影響が強いため、特に意識して行うことが大切です。

リリース時の最終押し込み



3️⃣ 股関節で投げる


1️⃣ 2️⃣
では上半身のみで投球動作を行う場合に重要となる2つの動作を解説しました。3️⃣ では、いかに下半身の力を利用して上半身の前屈速度を向上させるかを解説します。

股関節は下半身で生み出したエネルギーを上半身の前屈動作に伝える“力の変換装置”であり、使えないとその分のエネルギーを無駄にしてしまいます。

腕の振りの速さ = 上半身の前屈速度 × 胸椎の屈曲速度
上半身の前屈速度=慣性力
胸椎の屈曲速度=連動力

上半身の前屈速度 = 軸足の地面反力 × 前足の地面反力 × 上半身の加速距離

地面反力と上半身の前屈
上半身の加速距離の違い




✅ 横回転をマスター


横回転の役割は、下半身の使えるエネルギー(軸足の地面反力)を増やすことです。

縦回転:軸足の沈みが浅い=地面反力が小さい
横回転:軸足の沈みが深い=地面反力が大きい

縦回転 vs 横回転


横回転は縦回転と比べて力の準備力の発揮がとても難しい。まずは、4️⃣ で発揮の仕方について解説した後に、5️⃣ 6️⃣ で下半身と上半身に分けて準備の仕方について解説します。



4️⃣ 軸足で投げる


軸足と前足の地面反力を衝突させると、強い骨盤回旋骨盤前傾が生まれ、最終的にそのエネルギーが上半身の前屈速度に貢献します。



5️⃣ ステップ


■ 軸足のタメ

深くしゃがまないと高くジャンプはできない、投球動作でも同じです。軸足で地面を強く押すためには股関節と膝を使って一度深くしゃがむ必要があり、これがいわゆる軸足のタメです。


■ 前足ステップ
軸足で作ったエネルギーが骨盤回旋ではなく、ただのサイドステップに使われないためには、前足ステップを軸足のタメと同時に行うことが大切です。



6️⃣ テイクバック


■ テイクバックで大事なこと
肩甲骨主導でボールを肩のラインまで持ち上げること
⑵ 胸椎の回旋で上半身と下半身の始動に時間差(捻転動作)を作ること


■ 肩甲骨主導の重要性
2️⃣ で解説した肩甲骨の上方回旋による直線運動をより効果的に行うためには、テイクバックでその準備動作として肩甲骨の下方回旋を行うことが大切です。


■ 捻転動作の重要性
3️⃣ で解説した上半身の前屈エネルギー(縦回転のエネルギー)を十分に活用するためには、骨盤回旋の後に行われる骨盤前傾に合わせて上半身を始動させることが大切です。

上半身が始動するタイミングは 軸足で地面を押し込んだ後 がベストです。(骨盤回旋に自然と引っ張られるぐらいがちょうど良い)


投球動作のしくみ(理論)に関する解説はこれで以上になります。
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📋 練習方法 (12種類)


ここまでは、投球フォームの理論について解説してきました。しかし、理論が分かっても“体で表現できない”と意味はありません。ここからは、理論を動きのイメージ(感覚)に落とし込むための練習方法を紹介します。


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