なんとなく寂しい金曜日の夜とヴィーニョ・ヴェルデ
華金。気分が華やぐ金曜日の夜。きっと多くの会社員にとってそうだと思うそれは、わたしにとっても同じこと。今現在は訳あって仕事を休んでいるが、社会に出てからというもの暦通りに休暇がもらえる企業に勤めているわたしにとって、金曜日の夜は、1週間頑張った仕事から一時的に解放されて開放的な気分になれる少し特別な時間。
条件反射みたいなものだろうか、仕事を休んでいる今でさえ華金はなんだかおいしいものが食べたくなる。いや、それは華金でなくともそうなのだけれど、わたしの中では「おいしい食事 〜華金ver.〜」みたいなものがあるのだ。家族ではなく友人や知人と外食するだとか、家で食事をするにしても普段より手間暇かけた料理を作るだとか、ちょっと綺麗に盛り付けてみるだとか、デリバリーでピザあるいはお寿司を届けてもらうだとか。
今日は特に友人と会う予定はない。夫と外食するのも良いかと思ったけれど、最近少しお金を使いすぎている。ここ1〜2週間の生活をかえりみて、わたしは自炊という選択をする。
そういえば、1ヶ月くらい前に近所のスーパーで買ったワインが冷蔵庫に眠っていると思い出す。せっかくの華金だからそれを開けたい。
ワインに関する本を読んでいて、「ヴィーニョ・ヴェルデ」という存在を知った。ポルトガル語で「緑のワイン」を意味するというそれは、完熟前の若い葡萄を収穫して作られるワインとのこと。
それはもうぜひ飲んでみたい……! そう思い立ってすぐに、家から比較的近く珍しいお酒を多く取り扱っているスーパーへ赴き、わたしの感性をくすぐるこの愛らしい猫と透き通る水色のボトルとの出会いを果たした。
この手のワインに合う料理といえばやっぱり魚料理だろうか。パスタも食べたい気分だ。あまり手の込んだものはちょっと面倒くさい。いくつか思考をめぐらせた結果、わたしはペペロンチーノと魚のカルパッチョをこしらえることに決めた。野菜も摂ったほうが良いから、簡単にサラダも用意しよう。
ひと通り準備を終え、会社から帰宅した夫とともに、乾杯。
楽しみにしていたワインは、ひと口飲んだ瞬間に軽やかな酸味とみずみずしい芳醇な葡萄の香りが広がり、さらには微かな炭酸を舌が感じとる。渋みがなくすっきりと飲みやすい。そして何より、おいしい……! 初夏の青空の下で飲んだらとても爽やかでぱっと明るい気持ちになれそうなお酒だ。
自分で作ったペペロンチーノも、良い感じににんにくが効いていてそれなりに上手くできている。ブリのカルパッチョはソースに浸かっていなかった部分に若干の生臭さを感じたため、とりあえずソースをたっぷり絡めてごまかした。
外出の予定もなくなんとなく寂しい金曜日だったけれど、おいしいワインと自分で作った料理でそれなりに幸せになれたので大満足だ。
普段から「映え」を意識して生活しているタイプではないわたしの家にはこだわりの食器がなく、ワイングラスも100均で適当に買ったものしかないので写真を撮ってもいまいち格好がつかない。まあそれも等身大のわたしらしくて良いじゃないかと思いつつ、でもこうして写真を撮ってネット上に掲載する以上、見栄えは良くしたい。
わたしは週末にちゃんとしたワイングラスを買おうと決意した。