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大臺 序乃壱

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此のお話は日本が嫌いな日本人へ…。  日本を愚かと思う日本人へ…。  日本が貧しい国であったと思う日本人へ…。  日本人として誇りを持てぬ日本人へ届ける物語。  此れは我等が…
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2023年4月の記事一覧

大壹神楽闇夜 2章 卑 3賈具矢羅乃姫(かぐやらのひ) 16

大壹神楽闇夜 2章 卑 3賈具矢羅乃姫(かぐやらのひ) 16

 反乱から二十日が過ぎようとした頃、那賀須泥毘古(ながすねびこ)達は迂駕耶(うがや)が住む集落に到着していた。那賀須泥毘古(ながすねびこ)達は着いたは良いが此処からどうすれば良いかに悩んでいた。
 那賀須泥毘古(ながすねびこ)達は人では無く奴婢である。奴婢が突然集落に入り王后に会いたいと言って会わせて貰える筈など無い。正妻がいれば何の問題も無い話ではあるが正妻は連れ去られてしまった。那賀須泥毘古(

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大壹神楽闇夜 2章 卑 3賈具矢羅乃姫(かぐやらのひ) 15

大壹神楽闇夜 2章 卑 3賈具矢羅乃姫(かぐやらのひ) 15

          勃発

 その日の夜、正妻は五瀨の下に連れ出された。本来裁きは日のある内にしか行わない。だが、五瀨は松明を焚き裁きの広場に正妻を連れて来させた。其れ程迄に五瀨に取っては我慢出来ない事であった。
 五瀨は正妻が自身の考えを改めてくれたのだと心の底から喜んでいた。しかも、正妻の考え出す策はどれも素晴らしく国力の増大に大いに貢献してくれた。だから、この裏切りは計り知れない物があったの

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大壹神楽闇夜 2章 卑 3賈具矢羅乃姫(かぐやらのひ) 14

大壹神楽闇夜 2章 卑 3賈具矢羅乃姫(かぐやらのひ) 14

 五瀨はマックスブチである。奴婢の反乱の所為で集落は炭の王国と化したからだ。しかもあろう事か奴婢達は正妻を誘拐して逃走してしまった。此れは何とも言えぬ屈辱である。だから、生け取りにした奴婢を此れでもかと言うぐらい痛めつけた。
 この拷問は見るに耐えない物であった。五瀨は先ず爪を一枚一枚ユックリ…ユックリと剥がさせた。手指の爪を全部剥がし終わると同じ要領で足指の爪を剥がさせた。勿論尋問などはしない。

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大壹神楽闇夜 2章 卑 3賈具矢羅乃姫(かぐやらのひ) 13

大壹神楽闇夜 2章 卑 3賈具矢羅乃姫(かぐやらのひ) 13

 正妻の側に居た五瀨は徐に立ち上がり公務を行う竪穴式住居に向かった。二人の妻が言った策を実行する為である。
 悲しみ悔いていても意味が無い。幸いにも正妻は生きている。だが、二度とこの様な事が起こらぬ様にせねばならない。だから五瀨は人を支配する事に決めた。事が事だけに五瀨から話を聞いた将軍達の中で反対する者はいなかった。其の為、策は直ぐに実行に移され誰が何処を支配するかを決める事になった。
 
  

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大壹神楽闇夜 2章 卑 3賈具矢羅乃姫(かぐやらのひ) 12

大壹神楽闇夜 2章 卑 3賈具矢羅乃姫(かぐやらのひ) 12

 正妻から新たな提案を受けた五瀨は難色を示していた。其れには幾つかの理由がある。其のもっとも大きな部分は正妻が国の人々に好かれていない事だ。好かれていないと言えばまだ聞こえは良い。実際は驚くほどに嫌われている。其処にこの様な政策を盛り込めば収集がつかなくなる事は明らかである。
「確かに素晴らしい案だ。だが、人は納得しないだろう。既に人は奴婢ありきの生活になれているのだ。此れでは人から奴婢を取り上げ

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