甘蜜亭 土竜
此のお話は日本が嫌いな日本人へ…。 日本を愚かと思う日本人へ…。 日本が貧しい国であったと思う日本人へ…。 日本人として誇りを持てぬ日本人へ届ける物語。 此れは我等が始まりのお話である。
実儺瀨(みなせ)達が八重国でファイトしている頃、賈具矢羅乃姫(かぐやらのひ) は国を千佳江(ちかえ)に任せ狸島に来ていた。勿論賈具矢羅乃姫(かぐやらのひ) が此の島に来ているのは狸を食べる為でも観光の為でも無い。賈具矢羅乃姫(かぐやらのひ) が従える千の娘達と砦と馬鹿でかい葦船を作る為である。と、言っても砦を作っているのは奴婢達である。 さて、此の奴婢は何処で調達して来たのか ? 勿論現地調達である。賈具矢羅乃姫(かぐやらのひ) は此の狸島に砦を作る為に近隣の小さな国を四
五瀨が大王への返事を書いたのは次の日であった。伝令兵はユックリ出来ると思っていたので実にナンジャラホイな感じではあったが文句は言えない。否、寧ろ有難いと言うべきである。伝令兵は書状を受け取るとテクテクと集落からバイバイキン。来た道を戻って行った。 其れから一月が経とうとした頃、ア国に八重国の大将軍を務める宇沙都比古(ウサツヒコ)と其の妻が到着した。宇沙都比古(ウサツヒコ)は到着するなり迂駕耶(うがや)の下に駆けて行き王后の死を悲しんだ。 「大王…。この度は何と言う不運であ
王后が五瀨の国を出て三日が過ぎた頃、巡回中の船が大きな葦船を発見した。此の大きな葦船は八重国に攻め入る様な素振りは見せていなかったが直ぐに五瀨に報告された。此の報告を受け五瀨は警戒を強めた。何せ、元正妻の事があって直ぐの事なのだから当然である。否、其れを見越して船を出していたのだ。 王后が何も言わず帰ってから五瀨はずっと考えていた。だが、如何にも答えを見出せない。だから、念の為にと巡回させていたのだ。 そして、動きがあった。 だが、大きな葦船を見たと言うだけでは警戒
一月が経ち…。三人は何とかア国に帰って来た。ア国に戻った三人を見やり国中の人々は騒ついた。 国中の人々が騒つくの当然である。出立の時は王后、将軍含め百五十二人いた人が三人しか帰って来ていないのだ。これが戦ならまだしま、王后は娘に会いに行っただけである。しかも其処には王后も将軍もおらず、居るのはただの兵士と侍女である。如何に旅が困難であっても此れは無い。だから、此れはただ事でない事は容易に想像出来るし、何より荷車に乗せている死体らしき物に胸を痛めていた。 本来旅の道中で死
ソソクサと国を出た王后一行は山に入る前に日が沈んだので平地で一夜を過ごした。王后は日の出より少し前に目を覚まし五瀨の国の方角を見やっていた。五瀨が使いを送って来るだろうと思っていたからだ。だが、其の当ては外れた。 「王后…。もぅ起きておられたので。」 宇豆毘古(うずびこ)が言った。先に言っておくのだが宇豆毘古(うずびこ)は変えの服を持って来ていたので既に其れを着ている。 「ええ…。」 と、答えた王后の表情は寂しげであった。 「使いは来ないでしょう。」 「其の様です。」
王后達が住居でナンジャラホイな最中、番兵達は矢張り自分達の事を必死に考えていた。中で何が起こっているのか ? 番兵達は勿論知らない。だから、異様な雰囲気を漂わせ戻って来る王后達を見やっても何も感じとる事は出来なかった。 侍女達が先に柵の外に出て其の内数人の侍女が百人の兵を呼びに行った。王后は其の後に宇豆毘古(うずびこ)は布に包まれた正妻を担ぎ最後に柵から出ると番兵達を睨め付けた。ビクッと体を震わし宇豆毘古(うずびこ)を見やり何故裸なのかを不思議に思った。 宇豆毘古(うず
王后が国を出立して十日が過ぎようとした頃。正妻は見事な肉の塊となっていた。眞奈瑛と樹莉奈は毎日ルンルンでやっていたのでツイツイやりすぎてしまったのだ。本来ならもう少し時間を掛けて肉の塊にするのだが、既に正妻の首から下の皮は全て剥がされ、四股は綺麗に無くなっていた。二人が首から上の皮を剥がさなかったのは其れが誰かを分からせる為である。 だから、其れからの毎日は死なない様に薬草を塗りたくるだけの日々が続いたのだが、王后が到着する三日前には残しておいた耳を引きちぎり、目をくり抜き
反乱から二十日が過ぎようとした頃、那賀須泥毘古(ながすねびこ)達は迂駕耶(うがや)が住む集落に到着していた。那賀須泥毘古(ながすねびこ)達は着いたは良いが此処からどうすれば良いかに悩んでいた。 那賀須泥毘古(ながすねびこ)達は人では無く奴婢である。奴婢が突然集落に入り王后に会いたいと言って会わせて貰える筈など無い。正妻がいれば何の問題も無い話ではあるが正妻は連れ去られてしまった。那賀須泥毘古(ながすねびこ)達は草葉の陰に身を潜め農作業をしている人達を見やった。 「其れで…
勃発 その日の夜、正妻は五瀨の下に連れ出された。本来裁きは日のある内にしか行わない。だが、五瀨は松明を焚き裁きの広場に正妻を連れて来させた。其れ程迄に五瀨に取っては我慢出来ない事であった。 五瀨は正妻が自身の考えを改めてくれたのだと心の底から喜んでいた。しかも、正妻の考え出す策はどれも素晴らしく国力の増大に大いに貢献してくれた。だから、この裏切りは計り知れない物があったのだ。 「何か言う事はあるか ?」 正妻を見やり五瀨が問うた。正妻は手枷をつけら
五瀨はマックスブチである。奴婢の反乱の所為で集落は炭の王国と化したからだ。しかもあろう事か奴婢達は正妻を誘拐して逃走してしまった。此れは何とも言えぬ屈辱である。だから、生け取りにした奴婢を此れでもかと言うぐらい痛めつけた。 この拷問は見るに耐えない物であった。五瀨は先ず爪を一枚一枚ユックリ…ユックリと剥がさせた。手指の爪を全部剥がし終わると同じ要領で足指の爪を剥がさせた。勿論尋問などはしない。ただ痛めつけて苦しめるのだ。 爪を全て剥がし終わると剥がした部位に海水をかける
正妻の側に居た五瀨は徐に立ち上がり公務を行う竪穴式住居に向かった。二人の妻が言った策を実行する為である。 悲しみ悔いていても意味が無い。幸いにも正妻は生きている。だが、二度とこの様な事が起こらぬ様にせねばならない。だから五瀨は人を支配する事に決めた。事が事だけに五瀨から話を聞いた将軍達の中で反対する者はいなかった。其の為、策は直ぐに実行に移され誰が何処を支配するかを決める事になった。 那賀須泥毘古(ながすねびこ) 五瀨が新たな策の取り決めを行なっている頃
正妻から新たな提案を受けた五瀨は難色を示していた。其れには幾つかの理由がある。其のもっとも大きな部分は正妻が国の人々に好かれていない事だ。好かれていないと言えばまだ聞こえは良い。実際は驚くほどに嫌われている。其処にこの様な政策を盛り込めば収集がつかなくなる事は明らかである。 「確かに素晴らしい案だ。だが、人は納得しないだろう。既に人は奴婢ありきの生活になれているのだ。此れでは人から奴婢を取り上げる様なものだ。」 「五瀨の言う通り取り上げるのです。其れにより多くの人が奴婢から
翌日、正妻は五瀨に奴婢の待遇改善を求めた。五瀨は正妻の顔を見るや怪訝な表情を浮かべたが正妻は気にせず訴えた。 「良い加減にしてもらえぬか…。私も忙しいんだ。」 「分かっています。ですが、此れは重要な事です。五瀨が奴婢を消耗品として考えているのでしたら構いません。ですが、もしそうであるならいずれ奴婢は死滅し私達は元の生活に戻らねばならなくなるでしょう。」 「どう言う事だ ?」 「はい。私は昨晩奴婢が収容されている住居を見に行きました。其処には横になって眠る事も許されない奴婢が
五瀨の正妻が国に戻って来たのは二月後の事である。この二月と言う期間は非常に大きいものと言えた。これが行って帰ってを三日で済ます事が出来ていれば状況は大きく違ったかも知れない。だが、実際は行くのに一月弱帰るのに又一月弱…。五瀨の正妻を孤立させるには十分な期間と言えた。だから、従者を連れて帰って来た正妻を迎える者は一人もいなかった。 此れはあからさまに異様だったと言える。いつもなら従者の姿が見えたら誰かが其れを伝え人々は集落の入り口に集まり出迎えてくれていたからだ。 其れ
五瀨は不機嫌である。 理由は勿論正妻である。 あの日、真実を知った正妻は戻って来るなり激しく五瀨を責めた。五瀨は終始正妻を宥(なだ)めたが正妻の機嫌は治る事なく、正妻は装飾品を投げつけ、服を脱ぐと其れも投げつけた。 「其方は人では無い。ただの裏切り者です。」 「おい…。良いから少し落ち着け。」 「落ち着け ? 落ち着ける筈が無いでしょう。あの様な光景を見てどう落ち着けと言われるのです。」 「だから、何回も言っているだろう。此れは国の為だ。」 「国の為、国の為と…。足首を
皆さん… 明けましておめでとう御座いますですじゃ 昨年は我の作品を読んで下さり感謝ですじゃよ🏆🏆🏆今年もファイトで書いていきよるから皆さん読んで下さいじゃ🧟♂️🧟♂️🧟♂️ 今年も皆さんにとって良い年になります様に… 素晴らしい新年を有難うございますですじゃ🍎🍎🍎