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ボタン一つでできちゃう方法も!『おうちでできる子どもの国語力の伸ばし方』
「語彙力がない」
「日本語が下手」
こんな言葉を、ちょくちょく耳にするようになりました。
英語や中国語が母語というわけではなく、日本語で育っているけれど、うまく思っていることを表現できないという意味です。
そのせいか、「語彙を増やす」「表現力を鍛える」みたいな本もよく目にするようになりました。
でも、そうした本を親が読んだところで、子ども自身にフィードバックしていくのはなかなか難しいですよね。
そこで、親も子もストレスなく、言葉の力を伸ばしていこう、というコンセプトの本が、今回紹介する『おうちでできる子どもの国語力の伸ばし方』です。
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そもそも「国語力」とはなんでしょうか。
すばる進学セミナーの代表であり、小説創作教室かまくら国語塾を主宰している、著者の中本順也氏は、このように言っています。
私が考える国語力とは、言葉を知り、それを自分のため、人のため、社会のために運用していく力です。その国語力の入り口には、まず、豊かな「言葉の力」がなくてはなりません。
だからできるだけ多くの方法で、さまざまな角度から言葉の力を伸ばしていくことが最優先だと考えています。
この「多くの方法で、さまざまな角度」というのは、勉強のやり方に留まりません。
中本氏は、「意識的に経験値を増やせば、それだけ国語力は伸びていく」ことを根拠に、むやみに勉強ばかりするのではなく、家庭環境そのものをととのえることを勧めています。
国語力はほとんど遺伝せず、環境によって伸びていくという研究結果があるそうです。
つまり、「私も語彙力ないし、国語が苦手だったから子供ができなくても仕方ないか」とママパパが諦める必要は全くなく、環境づくりを意識さえすれば、お子さんの国語力は十分伸ばしていけるのです。
でも環境づくりって面倒くさそう。
そう思う人も大丈夫です。
本書で紹介するのは、普段の生活にちょっとプラスしたり、少し心がけたりするような方法が多く、それも全部やれというのではなく、できることから、という方針です。
各方法には取り組みやすさが示されていて、ハードルの高さが一目瞭然。
国語力の4つの力である「聞く力」「話す力」「読む力」「書く力」のどの分野に効くかはもちろん、未就学児から小学校の低学年・中学年・高学年とおすすめ年齢の目安もついています。
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例えばこの例の取り組みだと、「テレビの字幕機能をオンにするだけ」。
ボタン一つででき、今、この瞬間からでも始められるごく手軽な方法です。
そのほかにも、語彙力・表現力を伸ばせるようなゲームやアプリなど、大人でも「あっ、これやってみたい」と思うものが紹介されています。
本をあまり読まないという親御さん向けには、小学校の低・中・高の学年別におすすめのブックリストも掲載されています。
そこからどのように読む本を広げていくかも解説されているので、参考にしてみてください。
各項目の最後には、その項目で紹介している方法によって、こんな問題に強くなる、という例題があります。
試しに、次の問題を解いてみてください。
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もし「意外と難しい……」と感じたら、環境をととのえ、親子で国語力を強化していくチャンスかもしれませんよ!
(文=安岐はづき)