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中1女子に大事なカメラをあげた話

先日愛用のカメラとレンズを娘の友達のお姉ちゃんにあげた。

中学1年の女子だ。

家族ぐるみの付き合いだ。
ある夜「手巻き寿司をやるから一緒に食べない?」とママから誘われたのでということで、家族みんなで自宅に伺った。
手巻き寿司なんて久しぶりだ。

その夜、そのお姉ちゃん、中学1年の女子が突然「カメラほしい!」と言い出した。

その突拍子もない発言に、僕は二つ返事で「あげようか」と言ってしまった。

「え!?ほんと!?」と食いついて目を輝かせる女子。

翌日、僕は本当に愛用のカメラとレンズをプレゼントしてしまった。

「レンズはこうやって外れて、交換ができるやつだけど、一つだけしかレンズあげないから、ずっとこのままつけときな」

「ここを回すと、ほら、こうやってレンズの中で穴が大きくなったり小さくなったりするだろ。広げるとボケるて明るくなる、狭めるとボケない、暗くなる。」

「こっちはピントで、ほら、あってるところが光る」

「ここはシャッタースピード。でもこのへんは難しいからとりあえずA(オート)にしときな。ここのダイヤル(露出補正)で暗くする、明るくするを自動でやってくれるから」

中学1年には難しいか?と思ったけど、彼女はぶんぶん縦に首をふって聞いていた。

「大丈夫そう?」

「うん!!!」

目がキラキラしている。

「じゃあ5000枚撮ったら、ほんとにプレゼントする。それまでは一応貸しとくから、撮らなくなったら返してな」

「わかった。雰囲気いい写真を撮りたい!インスタで鍵アカしか持ってないけど、ママに言って普通のアカウントも作ってもらお!」

そんなやりとりをして、僕が3年間使い続けたカメラは呆気なく旅立って行った。

雰囲気のいい写真。彼女はどんな写真を撮るのだろう。

「好きなインスタのアカウントとかあるの?こんなの撮りたいとか」

撮影方法の説明をするために僕は質問した。

「そんなのない」

と当然のように彼女は言った。

その答えを聞いて、なんてくだらないことを聞いてしまったんだ、と凹んだ。

そう、彼女が写真を撮るためにはそんなのいらないのだ。

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