積みくずし日記|2024年10月28日(月)
移動の疲れや久々の社会活動の影響か、昨日マクドナルドの辛ダブチを食べてから腹を下している。
辛いものが合わなかったというよりきっと連日の気温にそぐわない薄着で冷やしたんだろう…と納得することにした。
体調のこともあり今日はゆっくり過ごすことに決めた。
体を労わるべく温かい黒豆茶でも淹れよう。
幼い頃から水分という水分を飲むのが苦手で、意識して水筒を持っていっても一口も飲まなかった、ということがざらにあった。
そのせいか夏は常時砂漠で脱水状態、頻繁に頭痛が起こるという有様で、母には口酸っぱく「死ぬぞ」と言われ続けてきた。
20代も半ばに差し掛かり「美肌には水分」と耳にタコができるくらい聞くので流石に500mlは意識して飲むようになったけど、今だに食卓に飲み物がないまま食事を終えてしまうことが度々ある。
そんな私だけど、黒豆茶に出会ってから少し水分を摂るのが好きになったように思う。
会社に備え付けの飲み物のバラエティに飽きてしまいコーヒーを1日5〜7杯ほど常飲するようになった頃、友人から「カフェイン中毒で不眠になりかけてコーヒーを減らした」と聞いたことがきっかけだった。
当時(おそらく心因性だけど)とにかく毎日体調が芳しくなく、毎日と言っていいほど起床した時点での肩こり/首こり/頭痛/めまい/腹痛/謎の吐き気に悩まされていた。
朝起きてとりあえず歯を磨き、胃の不快感から空吐きをするも何も出ず、諦めてとりあえず出勤。脳みそが動かないのでとりあえずメールチェックしつつ大きめマグカップにブラックコーヒーを淹れて飲む。その後胃が痛くなるので備え付けのクッキー等を齧りつつ14時ごろまで仕事…といった感じの毎日だった記憶がある。
友人からコーヒーについて聞いた私は「私の不調もカフェインの摂りすぎが原因だ」とひらめき、カフェインを含んでいない飲み物を飲むようにしよう、と決意したのだが、会社に備え付けのルイボスティーやハイビスカスティーは昔苦手だった記憶があり飲む気にならず、麦茶は飲んでも普通すぎて気合いが入らない。
このまま私はカフェイン中毒で震えが止まらなくなるのだろう…と諦めながらコーヒーをガブガブ飲んでいたある日、立ち寄ったダイソーで「黒豆茶」なるものを見つけた。
この時スーパーで買える蒸しサラダ豆にハマっていたこともあり、なんか豆だし良さそう、という曖昧な理由で購入した。
次の日早速会社で淹れてみると、びっくり。
まず香りがとってもいい。
袋を開封した瞬間、香ばしい豆の香りがふわ〜と鼻をくすぐる。温かいお湯を注ぐと、きな粉のような香りがまた広がり、ガチガチの肩をほぐしてくれる。
気合いを入れるにはちょっとそぐわないかもしれないが、凝り固まった背中をなんとなく緩めてくれるような印象だった。
そこから徐々に、コーヒーからのオロナミンC、その後コーヒー3〜5杯…の流れに黒豆茶が加入し、コーヒーの陣地を奪っていってくれた。
あいにく体の不調は大して良くはならなかったが、温かいお茶を飲む、という行為が私の生活にインストールされたので黒豆茶には出会えてよかったなと思う。
黒豆茶片手にこの日読んだのは江國香織さんの「ぬるい眠り」。
帰省のタイミングで友人が貸してくれた短編集で、10月初旬に読んだ「きらきらひかる」の続きが気になり、積読には該当しないが先んじて読むことにした。
「きらきらひかる」の感想↓
「ぬるい眠り」を借りた日のこと
「きらきらひかる」で登場した笑子や睦月、紺のその後を描いた「ケイトウの赤、やなぎの緑」や表題作の「ぬるい眠り」など全部で9編の短編が収録されている。
短編を読む上で、表題からどんな内容かぼんやり探りつつ読むのが個人的にすごく好きなのだけれど、そういった点でこの本は飛び抜けて好きだったなと思う。
⚪︎ラブ・ミー・テンダー
⚪︎ぬるい眠り
⚪︎放物線
⚪︎災難の顛末
⚪︎とろとろ
⚪︎夜と洗剤と妻
⚪︎清水夫妻
⚪︎ケイトウの赤、やなぎの緑
⚪︎奇妙な場所
読んでいてにやにやしてしまったのは「ラブ・ミー・テンダー」。なんだかんだ一番好きな短編かもしれない。
普段、花束の一つも母にプレゼントしない父が、バイクでいった旅先でなんだかちょっと気の利いた小物をプレゼントして、母が口を尖らせながらまんざらでもなさそうに「いつもこんなセンスがあったらいいのにね」と呟く姿を見かけた時のくすぐったさ、私の知らない両親の歴史を感じた時の気持ちを思い出すような素敵な短編だった。
ゾワゾワ、としながら読んだのは「災難の顛末」と「清水夫妻」。
「災難の顛末」には猫を飼っていた人間として、村松友視さんの「アブサン物語」を読んだ時のような「きゃー今だとそれは…虐待になってしまうのでは…!」的なカルチャーショックもありつつ、平和な日々が、(周りの人にとってはであり本人にとっては重大な)ちょっとしたことで、薄く透き通った膜がぱりぱりと剥がれて中身がむき出しになってしまうさまが恐ろしく、でも引き込まれてあっという間に読んでしまった。
「清水夫妻」もとっても良い。
清水夫妻の清廉とした狂気のようなものにのめり込んでいく主人公の姿もそうだけど、私自身、清水夫妻に出会っていたら虜になっていたかもしれない…と感じたのが一番怖かった。
「ぬるい眠り」と「ケイトウの赤、やなぎの緑」はあえてあまり書き残さずにいたい。
一つ言えるのは、江國さんが描く女性はめんどうくさくて、でも抱きしめたくなっちゃうくらい愛おしい。男たちはどこか情けないけど、しょうがないなあ、と結局許してしまいたくなる。
いくつか好きな部分を記録で残しておく。
ネタバレになるかもしれないので、未読の方はささっとスクロールしてください。
ではまた。
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