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5歳の息子の「相棒」が、福岡で待っている。
息子は親友のことを「相棒」と呼ぶ。
「相棒」なんて、どこで覚えたのか。息子の友達を見ても、「相棒」なんて言葉を使っている子はいない。
でも、その「相棒」も息子のことを「相棒」と呼ぶ。
そんな「相棒」が、福岡へ引っ越した。親の転勤だ。
2020年1月、「相棒」は旅立った。息子は必ず遊びに行くと約束した。もちろん、私も連れて行く気でいた。
福岡には、92歳の祖母(息子にとっては「ひいおばあちゃん」)もいる。二人目の子ども(娘)も生まれ、会わせに行きたかった。
そんな矢先、新型コロナウィルスの感染が広がった。東京から地域への移動は歓迎されるものではなかった。
祖母の年齢を考えても、自分が感染させて何かあった時のことを思い、会いに行くことをためらった。年齢的に、命に関わる問題だから。
それから一年近く経つ。息子は、いまだに「相棒」とテレビ電話でやりとりしている。便利な時代だ。クレヨンしんちゃんの真似をしてお尻を出して、ふざけあっている。「相棒」と呼びあうだけあって、距離を超える深い絆だ。
「相棒」は、電車好きの息子のために、福岡から電車のバッヂなどを送ってくれることがある。息子も、手紙で返す。親として、この特別な関係が続くことが何より嬉しい。
祖母も、今のところ元気だ。毎日子どもの写真をアップすると、「いいね」をつけてくれる。
ただ、1歳になる娘はどんどん成長する。最近、3つの単語をつなげて話せるようになった。このたどたどしてく、素直で、一生懸命動き回る姿を見せたかった。”今”しかないこの姿を!
でも、92歳・・会いに行くわけにはいかない。新型コロナウィルスは、ロシアンルーレットみたいなものだと思う。なにもないことの方が多いのはわかっている。でも、何かあってからでは遅い。「後悔」なんて生易しい言葉じゃすまされない十字架を背負うことになる。
同じ気持ちを抱えている人は、けっこう多いんじゃないかと思う。新型コロナウィルスは、”今”会いたい人に、会わせてくれない、そんなウィルスだ。
ある感染経験者が「新型コロナウィルスは、大切な人ほど死に追いやるウィルスだ」と言っていた。人と会うことをためらわせる、なんて非情なウィルスなんだ・・
大切な人がいる人にとって、もうしばらく不安な時期が続きそうだ。私たちにできることは、感染予防を続けることしかない。でも、それが今は一番なんだと思う。
祖母は電話で「もう何年生きられるかね―」とたまに言う。これが冗談なのか、本気なのか、私にはわからない。
ただ思うことは、早く会いに行きたい。この春こそは。今年こそは。
待ってろ、相棒!ひいおばあちゃん!
医療現場の手助けとなることを目的に、一人ひとりが感染予防を続けるための「手守り習慣」を提唱している「資生堂 Hand in Hand Project」に賛同します。