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【読書感想】魔偶の如き齎すもの

『魔偶(まぐう)の如き齎(もたら)すもの』

刀城言耶シリーズ 十冊目。
『密室の如き籠るもの』『生霊の如き重るもの』に続く短編集三冊目です。

短編と言えど、侮れない怖さ…(´ºωº`)
今回はどちらかと言うと「奇妙さ」の方がしっくりくるかも…。
刀城言耶シリーズ、裏切りません。



【妖服の如き切るもの】
坂の上下に分かれている砂村家で殺人事件が起こる。志津子が見た、軍の外套が突如電信柱に現れる「妖服」の奇妙な話と、犯人の行方は。

驚くべきトリックをやってのけてます。
「日本軍の外套が襲ってくる」怪談話という所がまた恐怖を仰ぎます。

【巫死の如き甦るもの】
敗戦後帰郷した不二生はすっかり以前と変わってしまう。
社会主義的思想に取りつかれた不二生は、村の中に自分の村を作り、自給自足を始める。
後に宗教のように信者が集まり、家が蜘蛛の巣のように増えてゆき、壁を作り始める。

この話が1番好きです。
すごく面白かった。
人間消失の謎を解くのですが、彼が信者に命じる「儀式」も、とても興味深かったです。
蜘蛛の巣のように増築…も、米実話ホラー「ウィンチェスターハウス」思い出しました。((((;゜Д゜)))

【獣家の如き吸うもの】
戦前、歩荷の仕事で山道を抜けようとしていた男は霧で迷子になってしまう。
何とか道を抜けようと歩き続けると、獣が飾られた不気味な家に行き着く。

この不気味な家の謎に纏わる話で、怖い中に「なるほど」と腑に落ちる納得感。
いや、読後はちょっとモヤッとしますよ。

【魔偶の如き齎すもの】
禍いを齎すと言われる「魔偶」を見るため、宝亀家に集まった刀城言耶と客人たち。
宝亀家には数々の収集品を展示する「卍堂」があり、そこで事件が起こる。

館モノの話で、卍の形に展示部屋があり、興味をそそられます。
見取り図好きにはたまりません。(*´﹃`*)
すごく面白い!

【椅人の如き座るもの】
「人間家具」と呼ばれる家具を作る鋼三郎。
雑誌編集者の祖父江偲が取材に訪れるのだが、その日親族がそこで行方不明になっていると告げられる。

人間消失の話。
この話はもうめっちゃ好みです。
まず「人間家具」!
名前だけでよだれが出ます。笑

人間が肘掛け椅子に両手と両足を広げて座った格好そのままを、独り用の肘掛け椅子として作った「椅人」(いじん)。

欲しいです。( º﹃º   )
乱歩の人間椅子を即座に思い出しますが、作中にもそうと出てきます。
他の家具も色々あるのですが、個人的には本棚仕様の「本人」(ほんじん)も欲しいかな♡


刀城言耶シリーズ1作目
【厭魅(まじもの)の如き憑くもの 】の読書感想です。^ ^


なんて奇妙な話をこんなに沢山思いつくのか。
三津田信三先生は天才です.☆.。.:*・°

不気味でゾワッとするあの読後感。
くせになります。

新しく文庫化された最新刊という事で、我慢できずに順番無視して先に読んじゃいました^ ^
短編集シリーズでは三冊目に当たるのですが、短編シリーズを一冊も読んでいない私でも問題なく楽しめます。
「他のも読みたい!」と思わせてくれます。


ホラーな絵を描くのも、楽しい‼️😆

夏と言えばホラー!
ホラーミステリ、いかがでしょうか…。

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