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本当のお金持ちはどこにいる?

ネットを見ると富裕層のイメージ画像が出ています。南の島の高級リゾートや、ラグジュアリーな装飾品や、天井が高いラウンジでのアフタヌーンティーセット。そこに優雅に佇む人たちが「お金持ち」なのでしょうか。
 
私たちは富裕層をアイコン(具像)で見る癖があります。長く運用相談の仕事を続けてきたので、ある程度確信を持って言えますが、本当のお金持ちは(いわゆる)お金持ちには見えません。
 
お金持ちの人は、グレーの服を着て日比谷線に乗って、そっと蕎麦屋さんに入ったりします。煌びやかとは対極で(実は)目立たないのです。
 
タワーマンションのラウンジでパーティーを催す人は、お金持ちという具像(イメージ)を真似ている人だと思います。

分かりやすく言えば、お金持ちという名のコスプレを行っている。したがって彼ら/彼女らは、お金持ちの本質とは離れた場所にいると思います。
 
 
話は変わりますが「日本語ってホントに難しい」と日々感じています。例えば「お金持ち」という言葉ですが、数分間だけ私と一緒に反復練習をやってみませんか。
 
「お金持ち」とは、お金(資産)を現に持っている。という意ではありません。お金(資産)を持ち続けている、その状態を維持できている人を指します。
 
「あの人はお金持ちだ」と言う場合、その瞬間の「所作」や「印象」を指すのではなく、過去から未来に連なる、継続的な「状態」を意図しているのです。なんでもそうですが、長くコトを続けるためには、それなりの行動規範が必要になります。
 
仮にお金持ちの人が、他者が期待する「イメージ」に固執してしまえば、それは単にステイタス・シンボルを掲げる人になってしまいます。

華やかな印象をまとうことには出費がかさむため、結果お金持ちでいることが難しくなります。また、華やかで目立ってしまうと心身ともに疲れてしまい、セキュリティー上もデメリットしか生じません。
 
真のお金持ちは、その場に馴染んで、自分の色を消しています。事実、事業を成功させ、株式や不動産を継承してきた富裕層の多くは、代を重ねるごとに地味さを増します。そして、なるだけ印象に残らない容姿へと進化します(たとえば公益財団の要職に就いているとか、資料館の学芸員でいるというふうに)。
 
 
資産運用界隈では言わずと知れた本があります。それが書籍「となりの億万長者」です(トマス・J・スタンリー (著)、ウィリアム・D・ダンコ (著))
 
同書はフィールドワークに基づく統計本です。といっても堅苦しいわけではなく、むしろ読み物として面白いです。なぜなら、今まで私たちが抱いていた「お金持ち像」を小気味よく裏切っていくためです。
 
同書は、1万人以上の億万長者に聞き取り調査を実施し、その資産額や職業、日頃の消費行動などを聴取して、さまざまな特徴を炙り出しています。同書によると、私たちのイメージとは違い、億万長者の大半はふつうの職業、ふつうの家庭を持つ、ふつうの人々なのです。
 
まさに「となりの億万長者」。

つまり世間から可視化されていない事こそが、お金持ちの真のキャラクターなのです。
 
 
書籍「となりの億万長者」には7つの法則が登場します。
 
1.収入より低い支出で生活する
2.資産形成のために、時間、エネルギーをかけている
3.お金の心配をしないですむほうが、世間体を取り繕うよりもずっと大切だと考える
4.社会人になった後、親からの経済的な援助を受けていない
5.億万長者の子供たちは、経済的に自立している
6.ビジネス・チャンスをつかむのが上手だ
7.ぴったりの職業を選んでいる 
 


もっとも重要な特徴は、1の収入より低い支出で生活する。でしょう。倹約を旨として暮らす。これはある意味当然で、倹約出来たからこそ、お金持ちになれたわけです(同書では多くの億万長者が国産の中古車を所有していると記しています)。
 
倹約は、3の世間体をあまり気にしない。に繋がります(煌びやかな服、高級車、高級住宅に執着しないということ)。それよりも内なる充実を優先させているわけです。
 
また、慎ましく暮らすとは、4の親からの援助を受けない。にも繋がるでしょう。暮らしの基本姿勢は自然、子どもにも伝わるものです。結果、5の子供たちは経済的に自立している。に帰結します。
 
また、お金持ちの人は自分に合った職業を選び、自分の出来る範囲で長く資産運用を続けている。この点も深く頷けます。
 
数世代に渡り、お金持ちでいるためには、お金はあるが、お金があることを忘れるくらいの超然さが求められます。しかしこれは特殊な技能ではなく、自然と身についてくる技量なのです。

冒頭、"本当のお金持ちは(いわゆる)お金持ちには見えません。"と述べましたが、これこそお金持ちの人の生き残り戦略なのでしょう。
 

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カン・チュンド
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