食材じゃない。食感がムリ。【触覚過敏】
生姜焼きは食べられないけど、餃子は食べられる。
たこ焼きのタコは食べられないけど、タコ煎餅は食べられる。
唐揚げは食べられないけど、つくねは食べられる。
お寿司のイカは食べられないけど、さきいかは食べられる。
きのこは食べられないけど、きのこ風味は食べられる。
あっちのお店のハンバーグは食べられないけれど、こっちのお店のハンバーグなら食べられる。
小中学生の頃は、「わがまま」と言われ、
高校生の頃は、「人生半分損してる」と言われた。
どう言われようと食べれないんだもん、仕方ないじゃん。ただそれだけだった。
ちょっとでも噛んじゃったもんなら
吐き気と言うかなんと言うか…
言葉に出しはしなかったものの
あの感覚は「地獄」だと思ってた。
ちょっと触るのを拒むような虫を
素手で掴む方がまだマシだって思ってた。
おえぇってなってた。
噛まなければ大丈夫。
だからまずは目でチェック。
そして自分で箸で取り除く。
口に入れたら噛む前に舌でもチェック。
食事はいつも口の中、頭の中が大忙し。
噛まなければ大丈夫。
だから、高校生にもなると、多少口に入ったものはそのまま飲み込んでた。
大学生、まだ「感覚過敏」の言葉を知らずに
「好き嫌い」なのだと認識していた頃、
円卓で食事をいただく機会があって。
頑張って食べたいと思った。
メインディッシュが、豚肉のステーキと、マッシュポテト、付け合せの野菜が少しと、丸く蒸し上がった小さめのエビが2匹だった。
ポテトと野菜を食べて、
少しでもお皿を空に近づけたくて、
エビを1匹飲み込んだ。
直径は2cm以上あったと思う。
豚肉のステーキとエビもう1匹は残してしまった。
その後の人生を含めて、一番大きな丸呑みだった。
色々と苦しかった。
他にも素敵なお料理をいただいたはずだけど、記憶に残ったのはあのお皿だけ。
その後、触覚過敏(味覚過敏)と言う言葉を知って、食との向き合い方が大きく変わっていった。