アダルトチルドレンでHSPだと何が違うのか?
アダルトチルドレンがHSPだった場合に何か変わることがあるのでしょうか?
愛着不安のあるアダルトチルドレンがHSPの特性も持っている場合、身体症状への影響が強まるという研究があります。
アダルトチルドレンは愛着の問題
アダルトチルドレンとは親が親としての役割を果たさない機能不全家族で育ったことで生きづらさを抱えている人のことです。
親がアルコールやギャンブルに依存していたり、暴力を振るったり、育児放棄をする家庭では親子間に健全な愛着が形成されません。愛着が形成されないと自己肯定感や社会への安心感が育たず大人になってからもうまく人づき合いが出来ないことがあります。
そして特定の友人や恋人に過度に依存したりします。「自分なんかまともな人からは相手にされない」という思い込みがダメな相手とばかり付き合うという行動につながることもあります。反対に親密になることを恐れ他人を回避するということもあります。
アダルトチルドレンはこのような愛着の問題を抱えているのです。
HSPとアダルトチルドレンの関係
HSPの持つ感覚処理感受性の高さは愛着とどう関係するのでしょうか?
カナダのマウントサイナイ病院が186人を対象に以下の4項目を調査しました。
・感覚処理感受性(HSPの傾向)
・愛着不安(アダルトチルドレンの傾向)
・身体症状(体の痛みやめまい疲労感など)
・うつ病傾向
これらの回答を分析したところ感覚処理感受性と愛着不安が身体症状と有意に相関していました。詳しく見ると愛着不安のある人が感覚処理感受性の高さを持っていると体の痛みやめまい、息苦しさといった体調不良につながりやすいという結果が出たのです。これはうつ病傾向による影響を排除した後でも成立する相関でした。
つまりアダルトチルドレンにHSPの特性が加わると身体症状につながりやすいということです。
別の研究ではHSPは遺伝と環境の影響がおよそ半分ずつあるという結果もありますから、HSPの気質を持って生まれた人が機能不全家族で育つことにより敏感さが高まるというパターンも考えられるでしょう。
アダルトチルドレンの生き辛さ
HSPは生き辛さを抱えているとは限りませんがアダルトチルドレンなら必然的に抱えていることになります。ダメな人間ばかり寄ってきてそれに依存してしまったり何をするにも自信が持てなくなったりするのです。
こういったアダルトチルドレンの生き辛さは自己肯定感の低さや持つ必要のない罪悪感に原因があることが多いです。これらは認知の歪みを調整したり安心できる環境を作ることで改善できることがあります。
アダルトチルドレンでHSPという人は生き辛さの原因が何かを分析することが社会生活に対応しやすくなる第一歩かもしれません。
参考にした論文:Relationship between insecure attachment and physical symptom severity is mediated by sensory sensitivity.