![マガジンのカバー画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/3425741/162214aadff107843f5c08fe56be3db0.jpg?width=800)
- 運営しているクリエイター
#金子浩久書店
10年10万kmストーリー 第72回 MINI COOPER S (2018年型) 4年10万2000km 事故とワンコが絆を深めてくれた
拙著『ニッポン・ミニ・ストーリー』という本を読んでくれた人からメッセージをもらった。
BMW製のMINIが登場するのに合わせて、BLMCのミニがいかに1950年代終盤からの日本の自動車産業やモータースポーツ、カルチャーなどに深い影響を及ぼしていたかを探った本だった。
当時の関係者を取材し、ミニがいかに“存在としての新しさ”に満ちていて、みんなそれぞれどうやって吸収していったかを聞くの
10年10万kmストーリー 第46回 スバル・インプレッサ 1.6-L(2008年型) 12年22万3000km スバリストではないスバル愛好家
スバル・インプレッサに12年22万3000km乗り続けている長野県在住の男性からEメールをもらった。その内容に、ニヤリとさせられてしまった。
『私が生まれた当時、父は“ホンダ命”だったそうです。私の名前は父の一存で迷うことなく、本田宗一郎さんからもらい、さらに創造性豊かな人間になって欲しいとのことで“創”の字になったようです』
僕の知り合いにも、ソウイチロウさんが何人かいる。
『私が社会人にな
10年10万kmストーリー 第45回 ユーノス500(1992年型)19年5万7000km マツダのデザインコンシャスは変わらない
緊急事態宣言が発せられる直前の晴れた日に、718ボクスターのトップを下ろして新宿通りを都心に向かって走っていた。半蔵門一丁目の交差点を越え、麹町警察署の前を過ぎ、目の前の半蔵門のT字路の信号で停止した。
内堀通りをはさんだ左斜め向かい側の千鳥ヶ淵公園では、桜が満開の一歩手前だ。しかし、コロナ騒動によるものなのか、例年のような人手とは違う。
「カネコさんッ! やっぱり、いい色ですねッ!」
眼
10年10万kmストーリー 第44回BMW320i(1987年型) 33年7万km モデラーの執念に刮目
タイムスリップしてしまう!
ピカピカのBMW320iを前にして、瞬時に記憶が30年以上前まで遡ってしまった。
まず、驚かされるのがコンパクトな外観だ。この3シリーズって、こんなに小さかったっけ!?
E30と呼ばれる第2世代で、全長4325ミリ全幅1645ミリしかない。現行のトヨタ・プリウスより小さいのだ。
おまけに、2ドアセダンというのがいい。BMWに限らず、この頃のヨーロッパのクル
10年10万kmストーリー 第40回 ホンダ NSXタイプR(1993年型) 19年5万km 世界を広げてくれたスーパーカー
外国語を習得しようという動機は人それぞれだけれども、具体的であればあるほど、そのぶん確実に身に付くと思う。
もっとみる10年10万kmストーリー 第39回 ランドローバー・ディスカバリーS(1997年型)22年9万6000km 墓石からピアノまで運びました
クルマの買取り業者の間には「過走行」という用語があって、彼らが定めた基準よりも中古車の走行距離が長いことを意味している。それによって査定額が下がったり、場合によっては買い取らないこともある。
あくまでも彼らがビジネスをしやすいように定めた基準だから、そこに客観性はない。
「お客様のクルマは過走行なので、こちらでは査定できません」
ちょっと待って欲しい。
距離が長いのは、トラブルなく走り続け
10年10万kmストーリー 第38回 日産セドリック(1989年型)30年10万5000km オイルと地図とカセットテープ
横浜市在住の日産セドリックの持ち主を訪ねた。東京に隣接していながら、緑ゆたかで田んぼや畑などもたくさん残っているところだった。
「高校生の時に国道246号が片側2車線化しました。当時は土手に登ってクルマの台数を数えることができるくらい交通量は少なかったんですよ」
10年10万kmストーリー 第37回 バンデンプラス・プリンセス(1971年型)30年25km 30年間、濃い時間を過ごしてきました
都心にしては例外的に静かな、とある路地の両側の家々のガレージにミニやその派生車ばかり、なぜか5台も集まっている一画があって、取材したのが今から20年前のことだ。
偶然なのか、そうでないのかわからなかったので、一軒ずつインターフォンのベルを押したり置き手紙をしたりして、全員と会うことができた。その取材の顛末は、当時連載していた『ラピタ』誌の記事となり、やがて『ニッポン・ミニ・ストーリー』という一
10年10万kmストーリー 第36回 スバル・インプレッサWRX Type-RA(1998年型)20年25万9000km 愛はどこに行くのか?
最近のクルマには、運転支援機能が次々と装備されてきている。
代表的なところでは、ACC(アダプティブ・クルーズコントロール)だろう。高速道路や自動車専用道で前方を走るクルマとの車間距離を一定に保ちながら追走していくことができる。
長距離を走り続けたり、渋滞に巻き込まれてしまった時に、ACCはとても助かる。僕は自分のクルマだけではなく、ACCが装備されたクルマを運転する時には必ず活用してい
10年10万kmストーリー 第35回 アルファロメオ156 TS 2.0(2002年型)10年3万4000km 三つもの偶然が重なって
同じクルマに続けて乗る人は珍しくない。
同じクルマだというだけではなく、同じ年式で同じグレードの同じボディカラーに乗り継いだという人にも会ったことはある。
しかし、もっと条件が狭まって、「同じ船で同じ時に日本に輸入された同じ色で同じグレードのクルマ」を乗り継いでいる人というのはかなり珍しいのではないか。
クルマは、アルファロメオ156 TS 2.0。同じセールスパーソンから買ったというオ
10年10万kmストーリー 第34回 マセラティ222E(1989年型)26年14万5000km 手入れの痕跡はライフログだと思っている
今から40年近くも前のこと、マセラティ・ビトュルボの出現はセンセーショナルを巻き起こした。
ボーラやメラク、さらに遡ればギブリやクワトロポルテなど、それまでのマセラティはみな流れるように麗しいスタイルをしていたのに、それらとはまったく似ても似つかない四角四面の出で立ちをしていたからである。
おまけに、当時の花形新技術であるターボチャージャーをふたつも装備していることを車名にしていて、実際
10年10万kmストーリー 第34回 トヨタ・ハイエース(2000年型) 19年27万km 優れたクルマと優れたユーザー
トヨタ・ハイエースほど、ユーザーと強固な信頼関係が築かれているクルマもないだろう。ユーザーの“大きな荷物を一度にたくさん運ぶ”という目的のために、メーカーが可能な限りそれに応えたのがハイエースというクルマなのだと思う。
もっとみる10年10万kmストーリー 第33回 ロータス・エランS2 (1965年型) 21年距離不明 ヒビ割れは愛着の痕跡
東京の新宿に世界堂という大きな画材店があって、地下が駐車場になっている。
この店で、ミャンマーで購入した絵の額装を頼んで帰ろうとしたら、赤いロータス・エランが入ってきて、駐車スペースに停まった。
エランを見るのは久しぶりだったから思わず見惚れてしまった。エランで画材店に来るなんて、どんな人なのだろうか?
降りてきた男性ドライバーに声を掛けてみた。気さくに応じてくれ、エランは20年以上乗