四国カルスト 天空の道をゆく
天狗高原
高知県と愛媛県の県境に位置する「四国カルスト」。山口県の「秋吉台」、福岡県の「平尾台」と並ぶ日本三大カルストの一つである。中でも最も標高が高く、山頂に広がる高原からの景色はまさに絶景。
細い山道を走る車。山村集落を抜け生い茂る木々の中を進む。まもなく頂上を迎えると徐々に木々は減り、道の幅員は広がる。高原に出た。緩やかな起伏のある山頂に金色に輝くススキが手を振って出迎えてくれる。
天空の道
貫かれた一本の道は日本百名道のひとつ。爽快なドライブが楽しめるこの道は「天空の道」と呼ばれる。緩やかな起伏の高原は日本のスイスとも称され人気だが、険しい山々を越えようやく辿り着けることから、混雑してはおらず大自然を満喫できる。
金色に輝くススキ
車を降り、ススキの中を歩く。太陽の光を浴び、金色に輝くススキとその先に見える絶景。澄んだ空気。この景色を独り占めできる。
高原の展望台から絶景パノラマが見える。天狗高原は四国山地の中腹。南への視線は遥か先まで抜ける。四国は、西日本中でも特に高い山々集まる地域で、天狗高原から南は、近しい高さの山々が南北に伸びるのがわかる。
羊のような岩の正体
カレンフェルト
突如、ススキの中に白い塊が出現した。羊のような大きな岩。カレンフェルト(羊群原)である。ここからが今日の本題。そもそもカルストとは何だ?という方もいらっしゃることだろう。このカレンフェルトと深く関わり、壮大な大地のドラマが読み取れる重要な鍵である。
カルストとは
カルストとは、石灰岩でできた土地。海底火山が噴火し、活動が終わるとそこにサンゴが付着。死骸が石灰岩となる。海底プレートに載って大陸とぶつかり、隆起し石灰岩の土地ができたのだ。雨水で溶け出す石灰岩で地形はみるみる変化を遂げ、残されたのがカレンフェルトというわけだ。
保水力の弱い地形で植物が育たず、樹木が育たないことからススキやササの群生地になっている。以前紹介した剣山のササとはまた違った理由で繁殖を遂げているわけですね。
五段高原
天狗高原に隣り合って、五段高原がある。羊のような岩が無数に点在している。
高原には姫鶴牧場があり、春から秋にかけて放牧している。草原の豊富な草をため、大自然の中、優雅な時を過ごしているのだ。
動く大地は、特徴的な地質を生み出し、樹々のない広大な平原をつくる。雨と地質の関係が織りなす、特徴的な岩。絶景の裏にはさらなる大自然のストーリーがあるようだ。