栴檀は双葉より芳し
センダンの花が咲いていた、センダンの花は高い木の上で小さな花を咲かすので、細かいところまで見たことはなかった。それが、目に見えるところで咲いていたので写真を撮った。
普段見えないものが見えると、何か得をした気分になる。
普段は高い木に咲いているセンダンの花。
センダンが紫の花を咲かせている。遠くから見るとセンダンの花は紫に見える。
センダンが植えてある公園で、小さな子と若い母親が遊んでいた。
つい二人の姿を追ってしまう。
この子はどんな大人になっていくのだろう。
子どもはたくさんの可能性を持っている。
けれど子どもの成長は見えない。高い木の上にあるセンダンの花と同じように子どもの成長も見えない。見えないながらも、きっとこの子はすばらしい大人になるなと思える子も時には、いる。
何か他の子とは違うところがある。
「栴檀は双葉より芳し」は、若い頃からすばらしさの芽が見られる。そういう意味だ。
ここでの「栴檀(センダン)」は植物のセンダンのことではなく、実際はビャクダン(白檀)のこと。「栴檀は双葉より芳し」は、芽が出たばかりの双葉のころからいい香りがするっていう意味。だけど、センダンの木は香料にするくらい、そんなにいい香りとも思えない。いい香りがするのはビャクダンの方。ビャクダンの香りお線香もある。
ビャクダンは古代から香木として有名で、輸入品だ。産地のインドでは近年入手が困難となり、伐採制限や輸出規制が行われているそうだ。
ビャクダン(白檀)はビャクダン科ビャクダン属の半寄生の熱帯性常緑樹。
センダン(栴檀)は、センダン科センダン属の落葉高木。
まちがって覚えられるのは、メジロをウグイスと見ていたようなものだ。まちがって覚えていても、いつの間にかそれが事実になり、鶯色という言葉が生まれる。鶯色をしているのはメジロで、ウグイスはもっと暗い色をしている。
「栴檀は双葉より芳し」も、センダンの木のどこが「芳し」い匂いを出しているのだろうかと思って興味を持った。センダンの木の名前を私はそれで覚えた。
センダンは日本にたくさんある。街路樹や公園の木としてよく植えられている。
木材は建築・器具用材、家具にもなり、下駄の材や、仏像彫刻に使われることもある。
また核(種子)は数珠の珠にする。
薬効としては、果実は 生薬の苦楝子(くれんし)もしくは川楝子(せんれんし)と称して、ひび、あかぎれ、しもやけに外用し、整腸薬、鎮痛剤として煎じて内服した。樹皮は生薬の苦楝皮(くれんぴ)と称して、駆虫剤(虫下し)として煎液を内服した。
樹皮には苦味成分があり、漁に使う魚毒にも使われた。
葉は強い除虫効果を持つため、かつては除虫に用いられていた。
うわあ、いろんなことに昔の人は使っていたんだ。
昔の人々は自然とともに生きていた。
何気なく見ていた木にもいろいろな歴史がある。
人にもいろいろな歴史がある。
「栴檀は双葉より芳し」と言われた人も言われなかった人も、人はみんな、それぞれいろいろな歴史を持っている。
その歴史が積み重なって今がある。
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