しあわせ運べるように
亡くなった方々のぶんも毎日を大切に生きてゆこう
多くの方々が亡くなった2011年3月11日の東日本大震災を象徴する福島から東京オリンピックの聖火が2021年3月25日にスタートした。
2011年FIFA女子ワールドカップで優勝したサッカー女子「なでしこジャパン」のメンバーが第一走者をつとめた。なでしこを代表する澤穂希は体調不良を理由に不参加。
オリンピックが実施できるかどうかわからないが、世間からいろいろ言われるだろうことがわかっていても、聖火ランナーとして参加した人たちには強い思いがあっただろう。聖火ランナーに決まっていたのに辞退した有名人のニュースが出るが、辞退した人も強い思いで辞退を決意したのだろう。自分一人で勝手に決められる立場でもない。何か言われるのはわかりきっている。走る人、走るのをやめた人、それぞれ強い思いを持って決意したことだろう。軽い気持ちで決意できるものではない。立場は逆だが、それぞれの思いが伝わってくる。
テレビで国会中継が流れていたけど、野党は相手を徹底的に叩く。叩かれる人にしても、流されて実行した人だけではない。必死で考えてだめといわれる結論を出したのかもしれない。そんな思いを無視して、相手へのリスペクトのない、質問という名の攻撃ばかり続けている野党は、いつまでたっても国民の支持が伸びない。
みんな必死で考えている。
神戸では、1995年1月17日の大震災の後に作られた「しあわせ運べるように」(詞曲・臼井真)が歌い続けられている。
地震にも負けない強い心をもって
亡くなった方々のぶんも毎日を大切に生きてゆこう
何かが起きた後にどうするか。今をどう生きるか。
東北バージョンの歌もある。
神戸の震災の後、臼井先生は必死の思いでこの曲を作っただろうし、その歌を歌い継いで子どもたちは、心を込めて歌ってきた。自分の思いを伝えようと必死に歌った。今を生きていこうと必死で歌った。
そんな歌も政治的に利用されたりもする。なぜか神戸市の市歌に制定された。誰が決めたのか。急に決まった。
聖火ランナーの人たちも政治的に利用される部分がある。
けれど、当事者のランナーたちは、みんな必死で走る。
子どもたちは必死に歌っている。
阪神淡路を乗り越え、東日本を乗り越え、人々は今を生きている。
時には嫌になって逃げ出したくなることもある。
正宗白鳥は「日本脱出」で日本を飛び出す夢を語った。
加川良は「教訓1」(詞曲・加川良)で生きることを歌った。
命はひとつ人生は1回
だから命をすてないようにね
離婚騒動で心が疲れていただろう杏はこの歌を歌った。何か心に響くものがあったのだろう。
歌が生きる力を与えてくれる。
野坂昭如は「大脱走」(詞曲・能吉利人=桜井順)で「逃げ出せ、逃げ出せ」と歌った。
車を捨ててマンション捨てて逃げ出せ逃げ出せ ゴタゴタいうこたないさ
仕事を捨てて女房捨てて逃げ出せ逃げ出せ 命が大事だよ
人間人間もともとハダカ カネもメイヨもメンツもギリも みんな捨ててこステテコシャンシャン
命が大事だよ
正宗白鳥はもとより加川良も野坂昭如ももうこの世から逃げ出してしまった。残った人々は今を生きなければならない。
逃げるわけにはいかない。
災害列島日本では、地震や津波だけでなく、土砂災害や火山の噴火もある。富士山も何度も噴火してきた。それを人々は乗り越えてきた。
自然災害だけではない。広島長崎の原子爆弾。
何度も何度も繰り返された空襲。日本のいたるところが攻撃された。女、子ども、老人が殺された。なんにもなくなった。焼け野原になった日本を、人々は乗り越えてきた。
原子爆弾の放射能で、75年は死の町になるといわれた広島で、翌年にはイチョウの芽が出た。希望は必ずある。
コロナの今も乗り越えよう。
密を避けるという当たり前のことをしよう。
我々にはできる。90%の人たちはきちんとやっている。
負けないで、今を生きよう。