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古川柳つれづれ 女房を恐がるやつは金が出来 柄井川柳の誹風柳多留三篇③
男尊女卑の江戸時代ではあるけれども、実際の夫婦関係は恐妻家も多かったようだ。
江戸時代に柄井川柳が選んだ「誹風柳多留三篇」の古川柳作品の紹介。
読みやすい表記にしたものの次に、記載番号と原本の表記、前句を記す。
自己流の意訳を載せているものもあり。七七のコメントもつけたりしている。
女房を恐がるやつは金が出来
196 女房をこわがるやつは金が出来 かくしこそすれかくしこそすれ
女房を恐がって付き合いを断るヤツはお金がたまる。「隠しこそすれ」はお金を隠して使わないってことかな。
女房を恐がりゃ金がたまるはず
つきあい悪くどこにも行かぬ
川柳自体、参加料を払って、優秀作に賞金が出る、一種の宝くじみたいなものだった。
テレビでは宝くじのコマーシャルがどんどん流され、パチンコのコマーシャルまで流れ(地方CMかな?)、お金を使え使えと叫んでいる。そのくせIRやカジノには反対意見ばかりが流される。カジノ反対を免罪符に、ギャンブルにお金を使えと世の中が叫ぶ。作品作りのモチベーションにさえもお金がからんでくる。肉体を動かすのではなく、指先を動かして株の売買をする人もいる現代社会。
そりゃあ金はほしいけど、人間が生きていくって何が楽しいからなのかな。金が人生を変えることも多い。
ギャンブルやレジャーを楽しむのではなく、コツコツお金を貯める人を皮肉っている句なのか。
師匠様親類書きの伯父になり
262 師匠様親類書の伯父に成 仕合な事仕合な事
「親類書」は、結婚の時に互いの家族、親戚を書いたもの。個人と個人の結婚ではなく家と家の婚姻。そうなると相手方と比べ、こっちの親戚がもうひとつ。そこで手習いの師匠様に頼んで伯父ということにしてもらった。という句。「幸せな(仕合な事)」結婚にもウラがある。
親戚を結婚式で比べ合い
二人の思いのままではできぬ
湯浄瑠璃着物を着るとけちな声
258 湯上るり着物を着るとけちな声 ひゞきこそすれひゞきこそすれ
「湯浄瑠璃」は、風呂の中でうなる浄瑠璃。湯船では声が「響く(ひゞきこそすれ)」ので上手に聞こえるが、風呂から出て着物を着てからうなると、なかなか下手くそな声になる。
浄瑠璃は、江戸時代に流行した、三味線の伴奏で語る当時の流行歌。
風呂の声外で聞いたら下手な歌
音響効果のすばらしきかな
眉毛へも女六部は手を入れず
278 まゆ毛へも女六部は手を入れず もしやもしやともしやもしやと
「女六部」は、六十六ヶ所を回る女の修行者。化粧もせず、眉毛の手入れもしていない。
当時の女の人は眉毛の手入れをしていた。遊女は陰毛の手入れもする。
「もしやもしや」という前句なのだが、何が「もしや」なのだろう。当時の旅には危険が多かったので、わざと男のかっこうをしたり、ぶさいくに見えるようにした女性もいた。もしや本当の姿は、ってことかな。
毛の手入れしない自然の姿好き
そっちが色気むんむんしている(個人の感想です)
江戸時代の女性は化粧をするし、男は月代を剃っていた。口ひげも禁止されてひげそりもかかせなかった。頭には鬢付け油をつけていた。
戦争のない時代だからこそ、おしゃれが流行した。
江戸文化が栄えるのには平和が必要だった。
創作の場であるnoteが広がるのも、平和だからこそだろう。
タイトル画像は松岡緑堂の百鬼夜行之図より。