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本を読んで、ゲラゲラ笑う|思い出図書 vol.04

わたしは毎年「ガキ使」で年を越す。
かつては「紅白歌合戦」からの「行くとし来る年」だったのだが、ずいぶん前から「ガキ使」に宗旨替えした。マンネリや中弛みを感じる部分もあるが、それでも毎年、涙が滲むほど笑う。今年も余計なことは考えずに笑いたいと思っている。


昔、「本」というのは真面目なものばかりだと思っていた。
わたしの読書歴は「ドリトル先生」や「窓際のトットちゃん」「シートン動物記」などから始まり、中学生になってからは新選組にハマって歴史物を読み漁っていたので、声を出して笑うようなものがあるとは思っていなかったのだ。

そしてその認識を覆したのが、原田 宗典さんのエッセイだった。
父と母、どちらの所有物かわからないが、ともかく我が家には原田 宗典さんのエッセイが数冊あった。小説も確か「スメル男」があったと思う。

ともあれ、わたしが読んだのはエッセイの方だ。最初は兄が、母に勧められて読んでいた。
定かではないが、おそらく兄の現代文への苦手意識を払拭する目的で勧めたのではなかっただろうか。兄は三国志などは好きなので漢文にはまだ前向きなのだが、古文と現代文には苦戦していたようだった。
その兄が文庫本を読んでゲラゲラ笑っていて、わたしもものすごく興味が沸いたのだ。

確か「かんがえる人」が最初の一冊だったと思う。
犬とのエピソードとか、食べ物(食べ方?)にまつわるエピソードとか、それはもうゲラゲラ笑った。言い方は悪いかもしれないが、要は昔の小学校低学年男子が大喜びするようなネタを、大の大人が真面目くさって文章にしているのだ。それこそ涙が出るほど笑った。
それからすっかりハマって「スバラ式世界」「元祖スバラ式世界」「本家スバラ式世界」「十七歳だった!」あたりも読んだ。どれももれなくゲラゲラと笑い、「本」というものに対する認識が少し柔軟になった。こういうのもアリなのだ。


兄もハマったらしく、これらの本は今、兄が持っている。
わたしも気に入って親の本棚から我がものにした本が数冊あるので、この辺やはり兄妹というものだ。


実家で年末年始を過ごしていた頃は、テレビがある兄の部屋で一緒に「ガキ使」を見て過ごした。母が「紅白見ないと年末な気がしない」と主張し、居間のテレビでは「紅白歌合戦」をつけていたためだ。

今年はおのおのの自宅で年末年始を迎えることになりそうだが、おのおの穏やかに、笑顔で過ごせていたらいいなと願っている。


かんがえる人(原田 宗典)
光文社文庫


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