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本当は怖い企業の訴訟

第1 はじめに

 この文は何らかの意味で企業を動かす方に読んでいただきたいと思います。経営者とか幹部に限りません。例えば中間管理職でも、自分の言動行動が会社の業績や発展に影響する方なら、ぜひ読んでいただきたいと思います。

第2 法律の考え方は世間の感覚と違う

 普段客先と話をしていて感じるのは、世間の感覚と法律の考え方との違いです。率直に言って、ビジネスマンが常識と思っていることの中には、法律上まったく正しくないものがあります。例えば、裁判官には遠山の金さんのような自発的な情報収集をする方はいません。いてはいけないからです。この「いてはいけない」という点が多分世間の感覚と法律の考え方との違いの一つです。

 世間の感覚と法律の考え方との違いを意識せずにいたらどうなるか。それは裁判のときに身を以て感じることになります。到底納得できない判決が出ます。裁判に直接関わった方の会社における立場は悪くなるでしょう。

第3 ぼったくる法律屋の考えること

 この文の読み手になるような方々からすれば、訴訟を受けて裁判に関わる弁護士だの弁理士だのはどれも悪徳弁護士や悪徳弁理士なんじゃないかなと私は思います。例えばあんまり賠償金を取ってこない割には着手金や成功報酬が高いと思われているかも知れません。

 その悪徳弁理士と思われてそうな私は、訴訟で得られる金銭を時給換算したことがあります。結果、成功報酬なしならコンビニの時給の方が高額で成功報酬ありなら家庭教師のアルバイト程度でした。この時給で悪徳弁理士と呼ばれるなら訴訟はやりたくないなと思います。

 一方で「チリも積もれば山となる」です。弁護士や弁理士が訴訟に費やす時間は相当なものになります。しかも、一つの訴訟に関わる弁護士弁理士は複数になることが多いのです。そのため、依頼者に対する請求額は最低でも数百万円になります。何なら一千万円を超えたりします。ロクな賠償金も取れないのに請求額が一千万円を超えたら、私もぼったくられたと感じます。

 他方、踏んだり蹴ったりなのは賠償金を取られる方です。弁護士弁理士にはぼったくられるは賠償金はぼったくられるは、良いことナシと言わざるを得ません。

 つまり、裁判とは三者がみんな損をする「三方悪し」なのです。これはどうにかしないといけません。

第4 訴訟を避けるには

 訴訟をやる人(会社含む)というのは、やるとなったら何が何でも訴訟をやってきます。つまり訴訟の確率をゼロとすることはできません。それでも、可能な限り訴訟の確率を下げることは大切です。

 ではどうすれは訴訟の確率をさげられるのかとなります。それは訴訟に勝つ準備をすることだと私は思います。

 訴訟に勝つ準備とは何か。私は弁理士ですので一般的な法律でどうなるのか分かりません。一方、専門である知的財産権について言えばそれはまず以下のものです。

1 訴訟の原因になりそうな知的財産権の探知
2 客観的な証拠の蓄積

 例えば技術部門の方々はやはり普段から他社の公開公報を読んでおいた方が良いと思います。公開公報とは、特許出願があって原則一年半後に公開されるその特許の内容を書いた文書です。公開公報のほかにも知的財産権関連の公報にはいろいろなものがあります。携わっていらっしゃる分野に応じた公報を読まれることが大切です。それで訴訟の原因になりそうな知的財産権を探知することが大切なのです。

 客観的な証拠の蓄積という意味では、まずは公証人役場で作業手順書へ確定日付印を押してもらって保管しておくのが良いでしょう。製造業であれば作業手順書は少しずつ変わります。変わるごとに確定日付印を押してもらうのが良いでしょう。客観的な証拠の蓄積にはいろいろなものがあると思いますが、まずはこれをお勧めしたいと思います。

第5 まとめ

 リスク探知がまず大切で、万が一に備える日々の取り組みが次に大切です。裁判所には遠山の金さんがいません。貴方の会社を守るのは貴方ご自身に他なりません。忙しいなかで時間を作ることは難しいと思いますが、どうにかやりくりをしていただけたらなと思います。


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