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Love Everybody

 たかのてるこさんの講演がZoomで聴けるというので、よろこび勇んで参加した。(宮崎小児科医会さん、ありがとうございます!)
 前にも書いた気がするけど、私はたかのさんの本と、旅の仕方が大好きだ。心をいっぱいにひらいて、笑って、つっこんで、出会う人や場所とまっすぐに全身全霊でかかわって、まるで世界にハグしてまわってるみたいで、読んでいるだけで嬉しくなる。
 去年の秋、やっぱりZoomで参加した講演で、はじめて生でたかのさんの話を聴いたのだけれど、本と同じように、声を上げて笑って泣いて、終わった時にはハートがひらいて体がぽかぽかになっていた。
 たかのさんの言葉とあり方からは、ただただ、愛と生きることへの全肯定そのものがつたわってきて、心の奥がぶるぶる震えてよろこぶのがわかる。
 生きてるって素晴らしいよ!世界はよくなっているよ!って、体全体で感じられるのだ。

 たかのさんの本には、よくうんこやおしっこの話が出てくる。
 講演でも、やっぱり、うんこやおしっこの話をしてくれる。
 排泄って生きていくために必要なとっても大事なことで、体は毎日がんばってはたらいてくれているのに、みんなあんまり話そうとしない。だから、たかのさんが堂々と楽しそうにうんことおしっこの話をしてくれるのを聞くと、なんだか体から嬉しくなる。
(子どもがよく「うんこうんこー!」みたいなことを言ってはしゃぐのも、大人がタブーとしてるからおもしろいのもあるかもしれないけれど、体で嬉しいんじゃないだろうか)。

 今回も、「うんこは食べたもののカスだけじゃなくて、死んだ細胞でできている。それを知ったら余計にありがたくて、うんこをするたびに、『ありがとう、お疲れ~~~!』って見送ってあげる」という話をしてくれて、涙が出るほど笑って、めちゃくちゃいいなあ!と、思った。
 死んだ細胞だと思うと、たしかに有難みがすごく増す。
 トイレに行くたびに感謝を忘れないようにしよう!
 と、前回の講演を聴いた時にも思って、それでも結構忘れるのだけれど、なるべく思い出してしてみようと思う。私はトイレ(小の方ね)が近いので、そのたびに感謝していたら、その頻度だけでもかなり心身に良い影響がありそうだ。

 そうやって考えると、月経も子宮ががんばって用意してくれたベッドが出てきてるわけだし、おならだって、汗だって、鼻水だって、体ががんばって出してくれているのだから、すべての生理現象にありがとう!といいたくなる。

 そんなふうに、たかのさんの話を聴いてそのあり方にふれているだけで、自然と体を持って生きているということ、その経験をしている自分自身をすべて肯定する気持ちになってくる。
 愛でいるって、こういうことなんだと思う。

 ラム・ダスの若き頃、インドで出会ったグルが彼に「Love everybody(すべての人を愛しなさい)」といったそうだ。晩年のラム・ダスは「私はすべての人を愛している。あの壁ですら愛している」といっていたけれど、最初にグルにそれをいわれた時は「すべての人を愛する?そんなの、絶対に無理だ!」と、思ったという。
 私も、ラム・ダスの講演の録音でそれを最初に聴いた時、「すべての人を愛するなんて無理!」と、思った。
 頭でそういうふうにいうことはできる。ほんとうのところはすべてはひとつで、みんながすべてを愛しているんだとも思う。頭では。でも、一人の人間として、すべての人を愛して生きるなんて、途方もなくむずかしいことに思えた。そんなに心を広くしていくなんて、できるのかなあ、と、思っていた。

 でも、たかのさんの講演で「自分を大切にして」「自分を愛して」と、何度も語りかけてくれる言葉を聴いていたら、ふと気がついた。
 ああ、そうか、すべての人を愛するには、自分を心から愛すればいいんだ!
 なにをしていても、どんな状態でも、なにもかもひっくるめて心の底からいとおしい、生きていてくれるだけで嬉しい。あかちゃんを見るときみたいなそんな愛しかない目で自分のことも見られるようになったら、自動的にすべての人も愛せちゃうにちがいないと思う。
 そして、逆に自分を大切にする前に誰かを大切にして「すべての人を愛そう!」と必死に努力してみても、きっとどこかで無理が出て、自分にも出会う人たちにも苦しいことになってしまうのだ。

 だから、みんな、自分が大好き!っていえたらいいな、と思う。
 日本は文化的に、大きな声でそういいづらい雰囲気がある気がするけれど。
「私は私が大好き!」
「私も私が大好き!」
「素敵だね!」
 って、誰もが自分が大好きで、すべての人を大好きで、お互いに祝福し合っていく、そんな、おめでたいくらいの世界でいい。それがいい。

 と、いっても、くじけてそれができないことはしょっちゅうだ。「大好き!」といいたいのに、なんとなく周りが気になって小声になってしまったりする。いまの世界ではまだ、おめでたい生き方を貫くにはいくらかの覚悟と決意が必要なんだと思う。

 それでも、同じように生きようとしている人たちは必ずいる。
 世界は、よくなっている。
 だから、できるかぎりのんきに、おめでたく生きていたい。
 そして、気持ちが揺れて弱気になったとき、自分のことを大好き!と思えなくなったときは、たかのさんの本を読み返そう。あの底抜けの愛の感覚を体で感じて、充電して、歩いていこうと思う。
 「すべての人が大好き!」と、心からいえるように。

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友だちが誕生日にくれたサイン入りの三部作。何度も読み返す、宝物です。


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