時間切れ!倫理 10 共時性、内向的・外交的、性格類型
神がかり的なところで言うと、共時性というのもある。あるときユングが女性患者の夢を聞いていた。その夢がコガネムシの夢だったのですが、その話をしているときに窓にピシッと何かがぶつかった。何だろうと思ってみてみると、コガネムシが窓にぶつかっていたのです。
遠くの住む親戚の夢を見たら、翌日その人が亡くなった知らせが来たとか、昔の友達に連絡しようかなと思っていたら、その友達から電話がかかってきたり、そんな経験は誰もが一度や二度はあるらしい。私はないけど。
こういうのを共時性という。それは偶然かというと、そうではなく元型の力が作用している。深い部分で、人間や動物、植物はみんなつながっているのだ、とユングはいうのです。
かなりオカルトじみている。スピリッチュアル(本来「霊的」の意味ですが、大きな本屋に行くとスピリッチュアルコーナーがあって不思議なことを書いた本が並んでいます)とよばれる潮流と親和性の高い理論だし、そもそも彼自身がそういう流れの源流でもあります。ちょっと宗教的な部分があると思います。
さらに、私たちが普段使う、内向的、外向的という性格分類もユングが始まりです。
フロイトの弟子で、ユングの先輩にアドラー(1870~1937)という精神分析医、心理学者がいます。この人も、フロイトと袂を分かっていく。近年、日本でものすごく人気が出て、本屋さんに行くと、平積みしてあったりする。このアドラーとフロイトを、ユングがどう見たかという話から始まります。
ある時同じ患者さんの夢をフロイトとアドラーが解釈したのですが、全く異なる解釈になった。ユングはそれを聞いて、どちらの解釈も理解はできると思った。どちらかというとアドラー寄りだったらしいのですが、なぜこんなにも解釈が異なるのかをユングは考えた。
ユングは、フロイトとアドラーの人間としてのタイプが違うのだと考えた。フロイトは対人関係、つまり外の世界との関係を重視する。ユングはこれを「外向的」と名づけた。アドラーは、権力欲という自分の内側の心の動きを重視する。これを「内向的」としました。人間は、心のエネルギーが「内向」「外向」のどちらかの傾向があると考えました。
さらに、臨床を続けるなかで、こころに4つの機能があるとことを見出した。思考、感情、感覚、直観の四つです。思考=理屈で判断する。感情、つまり好き嫌い・快不快で判断する。感覚=ものごとを「あるがまま」「そのまま」に感じ取る。直感=「おもいつき」「ひらめき」で行動する。以上4つです。人によってこのうちの何が支配的かは違う。
この4機能と外向、内向を掛け合わせると8つのパターンが生まれる。これが、ユングの性格類型です。(つづく)
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