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長良川鉄道と東海圏の鉄道完乗の旅

 いつもお読みいただき、ありがたうございます。玉川可奈子です。

 今回の旅は標題のとほりです。岐阜県の長良川鉄道、そして名鉄、さらにリニモと名古屋市営地下鉄の完乗を目指したものです。

 どうか最後までお付き合ひください。

パピヨン号と美濃太田駅

 今回の旅の始まりは、夜行バスです。今宵は、小田急バスのパピヨン号で一夜を明かします。

パピヨン号 バスタ新宿

 ここ最近、疲れ切つてしまひ、偏頭痛や謎の倦怠感もありました。出発前のサウナ(ひだまりの泉 萩の湯)も長く入れませんでした。

 二十三時三十五分、定刻にパピヨン号はバスタ新宿を出発しました。

パピヨン号 可愛い外装です。

 明日は新嘗祭。車内はそれなりに混んでゐます。

パピヨン号座席 コンセントも付いてゐます。

 零時を過ぎて、車内は消灯されました。しかし、熟年のカップルが小さい声でボソボソと話し込んでゐます。これが実に耳障りで、五月蝿いのです。耐へかねた私は両者を注意したのですが、お酒を飲んでゐるせゐか、しばらく静かにしてゐましたがまた話し始めます。
 さすがに私も眠くなり、寝てしまひましたが、気分はよくありません。

 かつて、某都知事が、

 「文明がもたらしたもつとも悪しき有害なものはババア」

と述べましたが、この件についてはまさにさうでせう。

 翌朝。
 四時半に目を覚まし、車内でボーッとしてゐました。さすがに疲れてゐます。また、昨夜の五月蝿い二人は鼾をかいて寝てゐます。

 五時二十分頃、バスは美濃太田駅前に着きました。

美濃太田駅前

 外は寒く、まだぬばたまの闇の中です。

美濃太田駅

 長良川鉄道のホームに行けども、灯りもなければ人もゐない殺風景な感じです。

長良川鉄道の乗り場へ

 六時二十六分の始発列車が来るまでの間、しばらくホームで待ちました。

向かうの窓口は九時からの営業ださうです。

 空が徐々にあかねさすむらさき色へと変はり始めた頃、ホームに列車を待つ人も現れました。

しののめの美濃太田駅

長良川鉄道越美南線

 六時十分、美濃太田駅の始発列車が入線してきました。おくみの号で運用されたナガラ600形です。

ナガラ600形、来ました!素敵なデザインで眠気も醒めます!

 車内はロングシートで、お手洗ひは付いてゐません。

車内 ロングシートです。

 六時十六分、目の前を富山駅行きの列車が通過して行きました。

出発を待つ始発列車

 定刻になり、美濃太田駅を出発しました。車内は、私を含めて七名です。東の空は青く、皇国を照らす日の大御神がさし昇ります。

 しばらく列車は住宅地の中を走ります。最初の停車駅、縣主神社が目の前に鎮座する前平公園駅では、ホームの前の柿の木に秋の実りがなつてゐました。

 maxellの工場を横目にして加茂野駅に到着、ここで乗客が一人増えました。

 車窓には、色を変へた草木、尾花の穂がなびく姿が見え、民家もまばらになると富加駅です。とみか、と読みます。

富加駅

 ここで上り列車と交換しました。木造の素敵な駅舎です。わが国最古の戸籍の町だとか。

 関富岡駅あたりから、車窓に稲刈りを終へた田んぼが目立つやうになりました。関富岡駅で一人降りて行きました。

 関口駅で、数名の乗客がありました。うち三名は日本人ではありません。民家もにはかに増えてきました。岐阜関刃物会館を過ぎると、せきてらす前駅です。若者が一人乗つてきました。

 次の関駅は、この路線の中心部の一つです。

関駅
関駅

 しかし、大きな建物がなく、落ち着いた風景で、駅舎も木造で味があります。

関駅

 列車交換のしばしの停車時間で、フリーきつぷ(2,700円)を買ひました。

長良川鉄道1日フリーきっぷ

 このフリーきつぷ、スタンプ帳まで付いてゐます。

中を開くとスタンプ帳になつてゐます。あとで押してみました。

 すぐに次の関市役所前駅に着きました。駅名に反して、市役所らしきものは見えません。

関下有知駅あたりの車窓

 太陽があかあかと玉鉾の道を照らす中、関下有知駅に着きました。せきしもうち、と読みます。
 関下有知駅を出ると、木々のトンネルを抜け、木々が近付いてきたと思つたところで松森駅です。

 しばらく民家のそばを走ると、次は美濃市駅です。なになに市駅といふと都市を想像しがちですが、美濃市駅はその想像を裏切ります。ここで観光列車ながらの車両(かわかぜ)と交換しました。

美濃市駅

 車窓には山々が近付いてきた感があります。梅山駅から見える山には、黄葉が照り、鮮やかです。

梅山駅あたりの車窓
梅山駅あたりの車窓

 木々のトンネルを抜け、もや立つ山、柿の実りつらつらなる木々の景を過ぎると、車窓左手には長良川が見えてきます。湯の洞温泉口駅あたりです。

 川を渡り、トンネルを抜け、清き流れが車窓右手に見えた頃、洲原駅に着きました。「ブッポウソウの繁殖地」が近いと看板にありました。

 次は母野駅、なんとも寂しい駅です。しかし、不思議と落ち着きます。

母野駅

 木尾駅で一人乗り、車内は十一名となりました。
 長良川鉄道は駅間が短く、頻繁に停まります。

八坂駅あたりの車窓

 清流の佳景を眺めつつ、八坂駅を経て、みなみ子宝温泉駅に着きました。美濃太田駅を出てちやうど一時間です。「子宝」といふ私には一生関係なささうな名称が付いてゐますが、温泉には入つてみたいものです。駅前が温泉施設になつてゐます。二十五度程度の鉱泉を温めて、かつ循環濾過してゐるさうです。

 すごくどうでも良いのですが、私、とある学校に勤めてゐた時、生徒から「峯岸」といふあだ名を付けられてゐました。顔がAKB48の峯岸「みなみ」に似てゐるからだとか。不本意です。あんなガチヤピンみたいな顔ではありません。
 しかし、玉川、ただでは転びません。
 授業中の雑談で、

 「みんな知つてる?AKBつてほとんど整形してるんだよ。板野友美とか見てごらん、ググつたらいくらでも元の顔、出てくるし。それとね、峯岸みなみつてゐるでせう、あの子も整形してるから。彼女は私の顔をモデルにしてるのよ」

と言ひ、逆手にとつてました。

 閑話休題。
 ここで清流が車窓左手に移ります。大矢駅で上り列車と交換し、一人降りて行きました。この駅も木造の素敵な駅舎です。

 福野駅前には、珍しくローソンがありました。

 美並苅安駅も素敵な木造駅舎です。また一人降りて、車内は九名になりました。長良川の流れは、ずつと見えるわけではなく、たまに見えるのですが、それもまた良いものです。

赤池駅あたりの車窓

 赤池駅は川に挟まれたやうな駅でした。

赤池駅あたりの車窓

 山と川、そして尾花を楽しみながら、深戸駅に停まり、相生駅に向かふ途中、清流の美を間近で楽しめました。

深戸駅から相生駅間の車窓
深戸駅から相生駅間の車窓

 鉄橋を渡る瞬間を前面展望で見たときは、ワクワクしました。

相生駅あたりの車窓 前面展望

 車窓右手に朝日に照らされた清流が見え、田園の中を走り郡上八幡駅に着きました。

郡上八幡駅

 思ひの外、山深いところです。

郡上八幡駅

 駅舎は改装されて綺麗です。そして駅前にはワークマンがありました。

郡上八幡駅をお見送り

 川が車窓左手に移り、右手にはエディオンやコンビニが見えました。それでものどかであることは変はりません。

 自然園前駅に八時ちやうどに着きました。

自然園前駅あたりの車窓

 あと、四十分。

自然園前駅あたりの車窓

 しばらく川沿ひを行き、前方を見ると雪を冠した山がかなたに見え、山田駅に到着。車内があたたかく、眠くなります。

山田駅

 徳永駅には、目の前にホームセンター、駅の近くには牛が飼はれてゐました。民家には薪は積んであるものが数軒ありました。

 次の郡上大和駅で一人乗りました。ところで、皆さん終点の北濃駅まで行くのでせうか。気になるところです。

万場駅あたりの車窓

 万場駅、上万場駅、大中駅、大島駅と田舎な車窓を見ながら通過して行きました。川はほとんど見えません。思ふに、長良川鉄道の良さは川ではなく山にあるやうな気がするのです。色付く木々は、旅人に心を慰めてくれるでせう。

 美濃白鳥駅に着きました。ここまで二時間あまりです。

美濃白鳥駅

 三分の停車時間でスタンプを押してきました。

美濃白鳥駅

 サア終点まであとわづか。次は白鳥高原駅です。もみつ木の葉の美しさに心を洗はれ、ゆつくりと列車は駅に着きました。せきてらす駅で乗つた若者はここで降りて行きました。車内は六名になりました。

白鳥高原駅あたりの車窓
白鳥高原駅あたりの車窓 前面展望

 終点の一つ手前、白山長滝駅は近く長滝白山神社が鎮座してゐます。白山神社といへば私には平泉寺が馴染みですが、長滝も白山信仰の中心として重要です。

 そして八時四十分、終点の北濃駅に着きました。これで長良川鉄道、完乗です。

 北濃駅は、とても素敵な駅舎。

北濃駅
北濃駅

 目の前は清流、そして黄葉の照るみ山。

北濃駅前

 線路の向かうはどうなつてゐるのでせう。

北濃駅

 転車台もあります。

転車台

 わが国に現存する最古もアメリカ製転車台です。

転車台

 八時五十五分発の列車で折り返します。

北濃駅

 ロングシート車ですが、ナガラ601、好きになりました。

北濃駅

 なんか小さくて可愛いし、無駄のないデザイン、色合ひ、完璧です。また乗りたいです。

北濃駅

 ところで、もし、この長良川鉄道こと越美南線が、越美北線と結ばれてゐたら、と夢想します。越美線といふ閑散とした長大なローカル赤字線ができてゐたことでせう。
 今、両者が結ばれることは、私が結婚すること以上に無理なことでせう。

北濃駅 出発前の前面展望

 さすがに疲れてたので、少し寝ました。途中、美濃市駅で目が覚めてゐたのですが、交換した下り列車がとても混んでゐました。

 関駅で、列車がナガラ304と表示された車両に変更となり、短い時間ですがボックス席に座れました。ところで、外国人の姿が目立ちます。観光客風の人もゐれば、地域に溶け込んでゐるやうな人も。

ボックス席

 十一時四分、美濃太田駅に戻り、四時間半にわたる長良川鉄道の乗車を終へました。

 お土産に、長良川鉄道手ぬぐひを買ひました。

手ぬぐひ、お世話になつてゐる鉄道好きのおぢさんへお土産にしたところ、「家宝にします」と述べてゐました。お世辞とはいへ、ぬくぬくです。

 長良川鉄道、素敵な路線です。きつとまた乗りに来るでせう。

美濃太田駅

名鉄完乗一日目

 ここから、名鉄の乗り潰しをしました。やつてゐることは作業なので、ダイジェストです。そして、手抜きです。はつきり言ふて。

美濃太田駅から太多線に乗り、出発してすぐに絶景!素敵な車窓に感激。

 可能ならば、地図をご参照ください。一応、以下に名鉄の路線図を。

名鉄路線図。
これを一日で全て乗つた強者もゐるさうです。

 美濃太田駅→可児駅→新可児駅→御嵩駅→新可児駅→犬山駅→名鉄岐阜駅→笠松駅→新羽島駅→笠松駅→名鉄一宮駅→玉ノ井駅→名鉄一宮駅→津島駅→弥富駅→須ヶ口駅→名鉄一宮駅→名鉄名古屋駅→犬山駅→平安通駅→栄駅→藤が丘駅→八草駅→瀬戸市駅→新瀬戸駅→尾張瀬戸駅→栄町駅

新可児駅。
可児駅と新可児駅は隣合はせですが、どう見てもJR東海の可児駅よりも、名鉄の新可児駅の方が立派です。ここから名鉄完乗の旅が始まります。よく晴れてゐて暑いくらゐです。
新可児駅で名鉄全線が二日間乗り放題といふとても便利なきつぷを買ひました。4,000円でそれほど高くありません。俄然、やる気が出てきました。景気付けにYakult1000を一気飲みしました。
御嵩駅。
新可児駅から御嵩駅、そして新可児駅に戻り犬山駅、名鉄岐阜駅を経て笠松駅。笠松といへばオグリキャップを産んだ笠松競馬場、または笠松刑務所で有名でせうか。なほ、後者は女子刑務所です。笠松駅から新羽島駅に向かひます。それにしても、私が乗る列車の全てがロングシート車です。
弥富駅。
笠松駅から名鉄一宮駅まで、珍しくクロスシートに座れました。名鉄一宮駅から、玉ノ井駅に行き、さらに津島駅、弥富駅へと乗り潰して行きます。なほ、玉川、かつて名鉄一宮駅から津島駅まで乗つたことがありますが、敢へて乗りました。
リニモの車内。
弥富駅から再び名鉄一宮駅、さらに再び犬山駅。そして栄駅から地下鉄で藤が丘駅に行きリニモに乗りました。リニモ、揺れなくて良いですね。無事、完乗です。
尾張瀬戸駅。
瀬戸線に乗つて終点の栄町駅へ行きます。やつと、けふの予定を終へました。栄町駅には二十二時半頃に着きました。
今宵の宿は栄です。栄には初めて来ましたが、雑然としてゐて歌舞伎町のやうです。

名鉄完乗二日目

 この日は以下の行程で乗り潰しました。

豊橋駅。
大活躍してくれた特急列車。

 栄駅→名古屋駅→名鉄名古屋駅→大江駅→東名古屋港駅→大江駅→内海駅→富貴駅→河和駅→太田川駅→中部国際空港駅→神宮前駅→国府駅→豊川稲荷駅→豊川駅→豊橋駅→新安城駅→吉良吉田駅→蒲郡駅→刈谷駅→碧南駅→知立駅→猿投駅→梅坪駅→上小田井駅→名鉄名古屋駅

東名古屋港駅。
最初はいきなり難所です。朝と夕の運転する大江駅から東名古屋港駅までの築港線です。七時の始発に乗り、往復しました。
富貴駅。良い駅名です。
知多半島の路線に乗りました。よく晴れて、遠く伊勢湾の景色が見事でした。はつきり言ふてアクセスは悪いのですが、車窓はとても良いです。ちやうど通学時間帯で、高校生らが将来あまり役に立たなさうな勉強をしてゐました。
神宮前駅。神宮とは、熱田神宮であることはいふまでもありません。
中部国際空港駅から神宮前駅まで、ミュースカイに乗りました。車内は支那人ばかり。支那語が飛び交つてゐました。
 神宮前駅から特急で国府駅を経て豊川稲荷駅へ。目の前の豊川駅から飯田線で豊橋駅に行きました。
豊橋駅でお稲荷さんの駅弁(650円)を買ひました。少し遅くなつた昼食です。新安城駅から吉良吉田駅を経て蒲郡駅へ。西尾線では、たまのをばかりですが三河の海を楽しみました。
蒲郡駅で知立名物のあんまきを買ひました。これがまた美味しいです。ここから東海道線で刈谷駅に行き、碧南駅。さらに知立駅、猿投駅へと乗り継ぎ、地下鉄舞鶴線を経由して名古屋市営地下鉄と名鉄を完乗しました。はつきり言ふて名鉄はわかりづらく、列車は頻繁に来るのですが、何度も間違へさうになり厄介でした。特急の特別車両は、マア乗り心地がよくWi-Fiもつながりました。
名駅のチャオであんかけスパゲティをいただきました。カキフライをトッピングしました。
食べてから、のぞみ50号で帰宅します。いやああああ疲れました。しかも、豊橋駅で不審物があるとかなんとかで一時間遅れて東京に着きました。その不審物はただの駅弁のゴミ…げに烏滸なり。

 これで残りは沖縄モノレールのみとなりました。

 最後までお読みいただき、ありがたうございました。次回は、国内鉄道全線完乗を達成する沖縄モノレールの旅をお送りいたします。

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