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私の悲しみの波動が、ある命を奪った話 #2|私の心を突き刺す言葉

私には、落ち込んだり、悲しい気持ちになったりすると思い出すことがある。

以前、一晩で枯らしてしまった、神棚のおさかきのことだ。

あれは、47歳で神道の大学に入った次の年。コロナ禍の最中だった。

人間には恐ろしい力がある。

そのことを痛感した体験。同時に、自分の逃れられない運命を知ることになった。

▼この話の続きです


悲しい再会

集中授業のため、半年ぶりに大学へ行った私。

少し時間があったので、災禍が始まる前はお茶飲み友達のようにしていた、X先生の研究室へ行くことにした。

一人暮らしの家に籠る日々から一転して、これから何日も大勢の若者に囲まれて授業を受ける緊張感。

先生に会うことで、大学の空間に再び自分を馴染ませてから、集中授業に臨みたい。

そう思った末の行動だったが、思いがけない体験を引き起こすことになった。

***

以前とは真逆の、静まり返ったキャンパス。まるで自分の足音が響き渡るようだ。

心細く感じながらも、ようやくX先生の研究室の前に着いた。ここに来るのは、何ヶ月ぶりだろう。

明かりはついているが、静まり返っている。私は恐る恐るドアを叩いた。

「はーい?」

部屋の奥から、先生の半信半疑な声が聞こえる。本当に人が来ているのか、確信が持てないようだ。

私がドアを開けると、怪訝な顔をしながら、こちらに来てくださった。

予想外のことに、虚をつかれたのだろうか。無事の再会を喜び合う雰囲気はない。表情は硬いままだ。

以前は話をすればあっという間に時間が経った。時には、仕事の愚痴、ご家族のこと、将来への不安など、先生から立ち入った話を伺うこともあった。

この日も、すぐに打ち解けられると思っていたが、結局その顔が緩むことなく終わる。

会話を重ねても、話が一向に深まっていかない。壁に向かって球を投げているようだった。

「来なければ良かった」

その思いが強くなった頃。私は、先生から、思いもよらない言葉を受け取ることになる。

それは、私の心を突き刺す言葉だった。

私の心を突き刺す言葉

実は、私が何を言った時にそう言われたのか、詳しくは覚えていない。

ただ、このときの私が先生の身を案じていたことは、よく覚えている。

突然襲いかかった災禍。大きな制約のある中、いつもと同じ学びを提供しようと奔走する先生。

その対応に感謝しながらも、心身を削っているのではないかと心配していたのだ。

それは、学生の分際で、差し出がましいことだったのだろうか。

理由は分からないが、先生は明らかにイライラしていた。私は、その様子にオロオロしながら、なんとか言葉をつなぐものの、すべてが弾き返される。

そんな、いたたまれない時間が過ぎていった。

どのくらいの時が経った頃だろうか。私の質問に対して、先生が「答えなきゃいけない?」と仰った。

私が「答えたくないなら、もちろん答えていただかなくても構いません」と言うと、思いがけない言葉が返ってきた。

「それをもっと早くに知りたかったよ。知っていれば、今まで余計なことを話さずに済んだのに」

そう言われたのである。

***

その後、私が何を言ったのか、覚えていない。

手が震え、魂が抜け落ちてしまった感覚のまま授業を受け、何とか帰宅したことだけは覚えている。

その日の晩。私はあふれる涙を止められなかった。横になったが、眠ることができない。

翌朝、悲しみを引きずったまま、神棚に手を合わせる。

すると、取り替えたばかりだったお榊が、すっかり枯れてしまっていた。

「私がお榊の命を奪った」

即座にそう確信する。それには、ある理由があった。

つづく

★40代独身女性が先を決めずに早期退職したら、不思議な体験をして、自分の使命に気づく話

★神社実習の話なども書いています。神社の向こう側の世界をぜひ。


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村瀬香奈子
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