GIGA開きファシリ シナリオ(案)©kanakanazemi
いよいよGIGAスクールが動き出します。
まだまだ準備中ですが、できるところから始めるという文科省の理念に沿って、始めたいと思います!
でもでも、学校としての動きは微々たるもので・・・まずは自分が始めて、周囲を巻き込む作戦をとります。というか、学校の先生ICT弱すぎです。そしてICT機器が登場するとそれに目を奪われて、大事な入り口の指導をおろそかにしてしまう…。
ICT機器は道具にすぎません。何を大事にするのかを確認しながら進めていくGIGA開きの授業を考えてみました。未来をみつめて、自分の成長をみつめて学んでいく子どもたちを育てたい、支えたい!そういう方向へ向かうための授業です!(私の学年は総合で「キャリア教育」に力をいれているので、GIGAとの相性が良いと予想されます。)
では!授業の開始!
(iPadを教卓に置いて見せながら) これは学習者用iPadと言われるものです。
質問1)iPadが手に入ったら、どう使いたい?何をしたい?何ができる?夢を語ってみよう!
《生徒》
メール! LINE! 写真撮る! YouTube! おもしろ動画を撮る! YouTuberになる ノートの代わりにする ネットで調べる 面白いものをみんなに見せる! 紙を減らせる! ものを無くさない カバンが軽くなる! 友達と連絡する 部活の連絡 字が下手でも大丈夫!
手軽に写真でメモできる ゲーム! ジャニーズ見る!
【教師】
そうですね!色々出来そうです。
「生活の楽しみ」だけでなく「生活の利便性」も「学習の効果」に役立ちそうですね。
これは学習者用iPad。どう使う?ICT機器の使い方についても、保護者の方が強い関心をお持ちです。
そこで、次の質問です。
質問2)色々出来そうだと分かったところで、さて、何が学びの妨げになるでしょうか? 学びの妨げ、学びの邪魔をするもの、学びの妨げになるもの、こと、行動などを、出来るだけたくさんあげてください。
《生徒》
許可を得ないで動画や写真をあげてトラブルになる ずっと使っている 目が悪くなる ブルーライト 充電を忘れる iPadを忘れる iPadを壊す 人のものを勝手にいじる 悪口を書く 噂話をする
確認しないで情報を信じる 授業中に別のことをする(YouTubeとか)
知らない人を写真に撮ってトラブルになる 勝手に加工して笑う 手作業を忘れる ネット中毒になる iPadを頼りすぎて筆記用具やノートを忘れる 書かないから覚えなくなる
コピペでズルをする コピペで著作権を侵害する アカウントやパスワードを忘れる ネットが止まる 停電
【教師】
そうですね!色々皆さんも経験してきたから、具体的に分かってきていますよね。(出なかったものは他のクラスから出たことにして追加していく)
こういう予想できる問題や学びの妨げになるものへの対応を考えなければいけません。
どうしますか?
《生徒》
黙る ルールを作る きまりを守る マナーを守る
【教師】
ルールやきまりで規制・管理した方がいいですか?罰則も必要ですか?コロナの緊急事態宣言みたいに?
先生たちは、ルールやきまりというよりは、学習者が仲間と「合意形成」をできるようになってほしいと思っています。iPadは道具です。一人ひとりに貸し出される道具ですが、個人で好きなようにできるということではありません。この道具を使って、「より良い未来を目指して、他者と協働する」ことを目指します。 つまり、何よりも優先するのは「人」であり「信頼」の関係です。
では、最後の質問です。
質問3)学習者として、お互いを大切にし、「より良い未来を目指して、他者と協働する」ためには、どんな「合意」をする必要がありますか?(合意・・・他者と生きるための約束、大切にする価値観。これらが将来的に支持的風土や気風、学習者の文化になる。合意形成は「学びの文化」づくりの入り口。)
《生徒》
自己管理をしっかりする 他人が不愉快になるような使い方をしない わからないことは助け合う 自分勝手な行動をしない 相談する 法に触れることは絶対にしない 物事は事実を確認する
自分と他人が同じ気持ちだと考えない 時や場に応じた使い方をする 信頼を無くすようなことをしない
【教師】
どういう雰囲気の学びの場にするのか、どういうレベルの学習者になるのかは、私たち自身の行動にかかっています。これが自分たちで「学びの文化」をつくるということです。GIGAスクールを通して、ICT機器との正しい向き合い方を学ぶことで、みなさんが最初に語った多くの夢やアプリを、各自で楽しく使えるようになります。大人も子どももありません。「学習者」として一緒に学びましょう。
まとめ方
質問3の答えを大きく貼り出す。契約書形式にしてサインし教室のプリント入れに入れる。チェックリストを作る。などなどできます。学年委員会の活動としてもいいと思います。
どれだけ「合意」を大切にできているかを、時々振り返り、評価させることも学びです。振り返りには「バックキャスティング思考ワークショップ」が使えそうです。
Global and Innovation Gateway for All (仲間と共に、ものごとをよりよくすること、そのための入り口をみんなに)という考え方がGIGAスクール構想です。どんな学校の雰囲気ならそれができるかを考え、どんな学び方をしたら学びやすくなるのかをみんなで考えながら、学習者として成長していきたいものです。生徒も、教師も。
「どうしたらみんなで学びやすくなるか」「何を残して何を消す?」という問いは、今後、振り返りのたびに考えさせてもいいように思います。
その他
これからの指導で大切にしたい内容
〇「情報の消費」は学びではないという理解。イノベーションは「問い」から始まる。問題発見者を育てる。
〇学習者は運転手、ICTはアクセルに過ぎない。何度でもやり直しができる、変えられる可能性を示す。
〇変化は素晴らしいことをする機会と考え、絶え間ない変化を応援する。
〇孤立はイノベーションの敵である。仲間との「共有」と「編集」によって変化が促進される。
〇「今あるもの」+「出会った知識・スキル」=「新しい学び」
〇生徒も教師も方法(iPad)の使用を目的化しないように、GIGAの意味をおさえたい。
〇授業づくりは文化づくり。個のレベルで積み重ねた経験の総体が学級や学校の文化になる。徹底した個への関心と、緩やかな協働性による個別最適化へ。 〇最も大切にすべきは「人間」「人間関係」。突き詰めれば、これからの世をつくる「市民教育」である。(注意!モラル、生徒指導ではないのです。)
【参考文献】
「教育のプロがすすめるイノベーション 学校の学びがかわる」 新評論 2019.7 ジョージ・クロス 白鳥信義 吉田新一郎 訳
「インクルーシブ教育を通常学級で実践するってどういうこと?」学事出版 2019.1 岩瀬直樹 他
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