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自分を探してペンを持つ。 #読書感想文

なんだか心がざわざわする日々の中、言葉を書くことで救われている。

書くことは、自分の気持ちと向き合うこと。
そう教えてくれた一冊について。

『さみしい夜にはペンを持て』 著・古賀史健

「思う」と「言う」の距離が遠くてもいい。

「思う」と「言う」の距離は、人それぞれ違うという。思いついた順にポンポン話す人もいるし、話す順番を考えて言葉が渋滞しちゃうこともある。
私は渋滞してばかりで、話すことがとにかく苦手。本書では、それは言葉を外に出すまでに時間がかかっているだけで、ていねいに話そうとしている証拠だと教えてくれた。
性格であり個性だから、あんまり気にしなくていいかもと思えた。うまく話せないからこそ、書くことで整理したり伝えたりしようと思えるようになったから、言葉が渋滞しがちなのも悪いことばかりではないのかも。

「あのときの自分」と対話する。

誰しも、人に言えないことを抱えている。そんなときは、書くことで自分に相談するとよい。

書くってね、自分と対話することなんだよ

自分の思いを言葉にして書くことは、「言葉にならない思い」が、かたちを持った「考え」に変わっていくということ。
たしかに私も、言葉にならない思いをぶわーっと書き出して、自分の気持ちや考えをたしかめている気がする。そんな何気なくやっている”書く”ということの意味や価値を、この一冊を通してわかりやすく知ることができた。

とくに印象に残ったのは、自分の思いを言葉にするために、「あのときの自分」と対話するということ。

あのときの自分はどんなことを感じて、何を考えていたのか。自分の気持ちを見失わないためにも、「あのときの自分」と対話をする。そしたら少しずつ、ありのままの自分の答えを見つけることができるかもしれない。

ネガティブな気持ちを整理する。

書くことでネガティブな気持ちを過去のものにする、というのも実践したいと思った。
「あの人のことが嫌いだ」という今の気持ちではなく、「あの人のことが嫌いだ、と思った」と、過去形で書いてみる。そうすると、解決したことのようにネガティブな気持ちと距離をとることができるというのだ。

また、「心配ごと」と「考えごと」には違いがある。心配ごとは、考えても答えがでない悩み。考えごとは、いまの自分にできることがある悩み。
心配ごとはいくら考えてもしょうがない。だから、どうすれば解決できるのか、答えを出すことができる考えごとに向き合う。そうやって、抱えているモヤモヤを整理することができるのも、書くことのメリットだと思う。

ぼくは、ぼくのままのぼくを、好きになりたかった。

自分で自分のことをわかりたいから書く。自分とは何で、何を思っているのか。その答えを見つけようとしない限り、流されて流されて、自分という形がなくなってしまう。
そんな経験をしたことがある私だからこそ、自分が自分であるために。ありのままの自分でいられるために。自分のことをわかってあげるために。これからもペンを持ちたいと思った。

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書くことが好きな人も、そうでない人も。一度、読んでみてほしい。私も、いつか自分に子どもができたら絶対に読んでほしいと、いつになるかわからない未来のことまで考えたりしちゃうほど、惚れ込んだ一冊です。

素敵な作品に出会えて、幸せです。ありがとうございました。


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