家の庭の金木犀が咲き出した。 いよいよ秋が深まってくるのを感じる指標の一つだ。 金木犀の香りを嗅ぐと、息子を妊娠していたときのことを思い出す。 悪阻真っ最中の最悪な気分の中、これまたイヤイヤ期真っ最中の娘のワンオペ育児プラス義両親との同居生活3年目突入期という、満貫ハネマン役満と全く嬉しくない状況下の中 唯一、唯一、唯一気分をリラックスさせてくれたのは、この金木犀だった。 こんなに気分最悪なのに部屋にほのかに漂う香り。思わず顔が綻び、訳の分からないことで騒ぎ立てている娘
旦那と私は幼馴染み婚で、25年来の腐れ縁である。 こんなに長く顔を見合わせていると会話なんてなくなりそうだが、案外ウチら夫婦は良く会話をしている方だと思う。 会話の内容は寝てしまえば次の日には忘れているような些細なことばかりだ。 娘が弟のものを取り上げる。だとか、息子が姉を挑発するようなものの言い方をする。だとか…。 それらは大体子どもたちが寝静まった夜行われることが多い。 最近夫婦で楽しんでいるのは昔流行った90年代のアニソンやファミコンBGMのイントロ当てクイズだ。 スラ
実家をリフォームするそうだ。 システムキッチンにして母の老後の家事を楽にできるように作り替える。 さて、それに伴い断捨離を実行中なのだが、 これでもかと言うほどモノが溢れている。 よくぞこんなものまでとっていたな。と思うほど意外なものまで出てくる。 失敗した写真。 成績表。卒業証書。父の日に描いた絵。 期限切れの免許証。 カステラが入っていた桐箱。 38年前に書いた夫への怒りの手紙。 30年間の思い出が溢れて溢れてまるで大洪水だ。 私は、一つ一つの思い出をゴミ袋に入れ
歴史が好きなのだ。 いや、思い出が好きなのだ。 日本史が好きすぎて歴史の大学に進学したし、就職してから子どもが出来るまで毎年京都に旅行に行くくらい、歴史が好きなのだ。 過去の人々の生活に想いを巡らせ、当時を思い馳せることに、たまらなくエクスタシーを感じていた。 中でも好きなのは路地裏散策だ。 昭和の香りがただよう、狭く細く生活音が聞こえる路地が大好きだ。 人1人が通るのがやっとな道を、その両隣には木造の家々が連なる。玄関には職人が貼ったタイルなんかあると最高だし、
12年前に亡くなった父方の祖母が生前口酸っぱく言っていた。 ガソリンはこまめにいれなさい。 と。 これは父が祖母を宗像の病院に連れて行った時の出来事。 父はガソリンを限界まで補給しない人だった。 口癖は ランプがついても大阪まで走らぃ! だった。 今考えるとなんと馬鹿らしいことなのだが、当時、私は小学生。なんの疑いもなく そーなんだぁ。 と思っていた。 さて話を戻そう。私の住んでいる所から宗像まで2時間近くかかる。途中赤池と言う所から小竹を過ぎてそこまでの道のりは、ほぼほぼ山