リフォーム
実家をリフォームするそうだ。
システムキッチンにして母の老後の家事を楽にできるように作り替える。
さて、それに伴い断捨離を実行中なのだが、
これでもかと言うほどモノが溢れている。
よくぞこんなものまでとっていたな。と思うほど意外なものまで出てくる。
失敗した写真。
成績表。卒業証書。父の日に描いた絵。
期限切れの免許証。
カステラが入っていた桐箱。
38年前に書いた夫への怒りの手紙。
30年間の思い出が溢れて溢れてまるで大洪水だ。
私は、一つ一つの思い出をゴミ袋に入れて処分する。薄情な娘だと思われるだろうか。
本当は手元に残して置きたかったのに。と泣かれるだろうか。
物を手放すとき、胃がキリキリ痛む。
とても切なく、少し泣きたくなる。
目を瞑ると幼い私が無垢な笑顔を晒している。
汚れも汚らしさも何も知らない笑顔だ。
今とは違う幸せを感じている私だ。
母も昔の物を通して家族の思い出を見ているのだろうか。
大変なことも沢山あった。思い出すと顔から火が出るようなこともあった。完全な家庭とは言えないこともあった。
でも確かに幸せだった。
片付けに1週間、実家に通った。
重たい荷物を上げ下げしてアラフォーの身体はガタガタしている。
毎日死んだように眠りに落ち、朝はゾンビのように起き上がる。
それでも、なんとなく幸せなのだ。
昔の事を思い出すというのは、むず痒くもあり、幸せなのだ。
何故なら記憶の中の昔の私はいつも笑顔なのだから。