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【小説】不完全燃焼18

久しぶりにInstagramを通じてメッセージが来た、いや初めてかも。

「覚えてますか」

確かに覚えている。転職2年目ぐらい(もう20年近く前)からよく飲みに行くようになった店の元ママからだった。特に関係はなかったが荒んだ時期で週3〜4回その店に行っていた。行く前にタバコを二箱買い、ひどいときはオープン同時に店で飲んでいた。そしてママにビールをご馳走し、一人満足感に浸りながらビールを飲み、タバコに火をつけてもらいゆっくり煙を吐き出す。その年代で覚えた優越感であった。

 そして、その当時に流行った黒霧のロック、ロック、ロックと飲み干し、いい気分になって、人が増えてきたらもしくは団体客がきたら帰る。

 もうひとつの優越感は、その美人ママとの同伴での食事に行くことであった。その当時の精一杯の背伸びをしてママと食事に行くことがその時の最大の優越感であった。なぜなら二人で歩いていたら必ず何回かはそのママを振り返る人がいるぐらいの美人だからだ。その隣に俺がいるなんて信じられなかったし、ある意味夢の瞬間であった。そしてママはつかず離れずでいい感じの距離感の人であった。


 たしかドライブにも1回行ったが普通に食事をして帰った。その当時はアン・ルイスの「ウーマン」が大好きでそのママにも無理やり唄ってもらった。

 それからその店は閉まり、それから行きつけの店がなくなった。その店は自慢の店だったのでなんかその店の近くを通ると今でも思い出すし、すごいその当時の自分を思い出す。仕事は一生懸命せず、ただただその店の開店時間までなんとか時間をつぶす感じだった。

 コロナが落ち着いたらそのママに飲みに行こうと誘われた。特に何かを期待しているわけではないが楽しみが増えたことがなんか嬉しい。懐かしい時間を思い出すことができるかもしれない。


 最近は新しいことに挑戦することをモットーとしているがたまには懐かしむことや思い出にひたることもいいなぁと思う。

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