「技術力なし・ヒット作なし」だった個人ゲーム開発者が1000本の記事を書いた結果
はじめに
kanのメモ帳という技術ブログを運営しているのですが、
なんと投稿数が1000本を突破しました!
1000本達成を記念して、「技術力なし・ヒット作なし」だった個人ゲーム開発者が、1000本もの記事を書いた事で何を得たか、どういう目的で続けているか等を、余すことなく紹介します!
なお、そもそも技術ブログをどう続けたか、書いているか、広めているかを知りたい方は以下の記事を参照の事。(結構前の記事ですが、今でもほとんど同じような感じ)
誰?そのブログ何?
まずは一応、筆者やブログの紹介をします。
自己紹介
筆者は、独立してゲームを作っている「kan.kikuchi」という者で、スマホ、PC、VR、Switch、UEFN、とプラットフォームやデバイス、ゲームのジャンルを問わず、何でも作る個人ゲームクリエイター兼プログラマーです。
個人で開発したゲームは40本近くあり、
共同開発としてもSwitchやPC向けにピコンティアや神巫女というゲームも作りました。
また、ふんどしパレードという会社でスマホアプリ開発のお手伝いをしていたりもしています。
と、今でこそ色々と紹介出来る実績がありますが、
ブログを始めた当初はまだ学生で、スマホのアプリ自体は結構リリースしてたものの、紹介出来るような実績も名刺代わりになるようなゲームでのヒット作もなく、「動けばいいじゃん」でやってたので大した技術力もありませんでした。
ブログ紹介
(:3[kanのメモ帳]は10年以上前である2013年11月に当時バズってた以下のスライドをキッカケに始めました。
(ちなみに今回の記事のタイトルはこれのオマージュだったり)
ブログを始めて1~2ヶ月で一旦更新は止まったものの、定期更新に切り替えてからは9年間かかさず週2投稿を続けています。
内容としてはUnityというゲーム業界では個人や企業、日本や海外問わず超人気のゲームエンジンに関する記事をメインに書いていて、
他にもお金に関する話や考え方の話、最近だとFortnite上でゲームが作れるUEFNの記事も書いてたりします。
PVは累計約553万ぐらいで、
月だと多い時には10万、年間90万近くあったのですが、最近Googleのアルゴリズム変更により半減してしまっている状況です。
技術ブログで1000本の記事を書いた結果
それでは本題の「技術ブログで1000本の記事を書いた結果」です。
約195万円を得た
いきなりお金の話ですが、広告収入で約195万円を得ました!
なお、いつもToggleで作業時間は記録しているので、
ブログにかけた累計時間(調査や勉強含む)を調べた結果、約2670時間でした。
つまり、1記事あたり約2.67時間かかっていて、時給換算すると約730円でした!
お金という観点だけで見ると、本業のゲーム開発してた方が間違いなく収入は増えていたので、正直、得られるものがお金だけだったらここまで続けていなかったです。
技術力、執筆力が向上した
技術記事を書く際には以下のような事が必要になるため、技術力向上に繋がりました。
分かりやすく説明出来るように技術をより深く理解する
自分の知識が合ってるか調べ直す
記事を書いていて新たに認識した事を追加で調べる
記事を書く事により知識が定着する
よく「人に教える事が一番自分の勉強になる」と言われるのと同じ事だと思います。
また、文章を書く上での構成力や執筆速度といった執筆力も間違いなく向上しました。
新しい事に挑戦しやすくなった
技術ブログの定期更新をしていると、常にブログのネタが必要になります。なので、新しい事というのを常に欲していて、結果的に新しい物に手を出す事に慣れました。
例えばUnityの使った事ない機能や新しいサービス、最近だとAI系のサービスもいくつか試して、記事にしました。
「とりあえず触ってみて、自分には扱えなさそう or 使わなさそうでも記事にすればいいか」と、絶対に無駄にならないという感じで心理的な負荷が下がる事も大きい気がします。
実際はちょっと触っただけでも、知識や経験として蓄積されていくので、無駄にはならないとは思うのですが、すぐに形(記事)となって役立つのは嬉しいですからね。
仕事に繋がった
自己紹介で「ふんどしパレードという会社でスマホアプリ開発のお手伝い」をしているという話をしましたが、これはブログを続けていたからこそ参加出来たと思います。
元々、知り合いの会社だったというのもあるのですが、ブログを続ける事でエンジニアとしてのイメージを確立出来ていたのも大きかった気がします。
個人ゲーム開発だけだと、ゲームは公開してもコードは基本公開しないので、いまいちエンジニアとしてのアピールは弱いですからね。
また、参加した当初は他にエンジニアの社員がおらず、ブログから採用に繋がればという思惑もありました。(実際、ブログに求人広告を出してた)
ちなみに受託案件や共同開発、書籍執筆等の仕事の話が月に数件ぐらいの来るようにもなりました。
(現状募集はしていなので、基本的には受けてはいない)
Unityにインタビューされ、Unityのカンファレンスに登壇した
Unity公式のnoteにインタビュー記事を載せてもらった事もありました。
さらに同様の話をUnityのイベント『SYNC 2022』でも話しませんか?的なお誘いを頂き、オンラインイベントではありますが、初の登壇をする事も出来ました……!
しかも一時的ではありますが、人気順で講演が1番目になったりもしました。
ちなみにブログとは直接関係ありませんが、他でもインタビューされてたりします。
Unityを使ってる初対面の人がブログをほぼ知ってる
これだけ長い事続けていると、Unityを使ってる人はブログを何かしらで見てる事が多く、kan.kikuchiや作ってるゲームは知らなくても、ブログは知ってくれている事がほとんどになりました。
しかも「〇〇の記事助かりました!」と言った感じでお礼を言ってもらえる事も多々あったり、Unityを使ってない人(特に技術ブログを書いたり続けたりする事の大変さを知ってるエンジニアの人)に凄いと言われたりするのもシンプルに嬉しかったりして、モチベーションにも繋がりました。
Twitter(X)のフォロワーが2.1万人を突破した
Twitter(X)のフォロワーも2万という大台を越えて現在2.1万になりました。
もちろん、ブログ以外からのフォロワーもいるのですが、体感だと「Unityでゲームを作ってる人」というUnity系の情報を求めてるっぽい方が多く、ブログの記事投稿時もフォロワーが増えやすい感じがします。
個人開発者は広告費というのは基本かけられないので、知名度というのは物凄く重要ですし、今後もし仕事の募集や就職する事になった時に大きなプラスになるという意味でも大事だったりします。
(本業のゲーム開発だけでその知名度を得るのは相当難しかったりもする)
自信(自己肯定感)を得た
前述の通り、技術ブログを長年続けた結果、インタビューや登壇の機会が出来たり、記事のお礼や褒められたりする事が多くなり、これが自信(自己肯定感)に繋がっています。
実は個人的にははこれが一番大きい効果で、なぜかと言えば自分が属している(?)個人開発者界隈というのは「個人または数人で作った物でお金を稼ぎ生きている」という良い意味で普通ではなく化物みたいな人ばかり(それぐらい厳しい世界)なので、ちょっと気を抜くと自信喪失する事がよくあったからです。
例えば
「企画、プログラム、グラフィック等、一人でだいたい出来ちゃう人」
「大ヒットしたゲームの開発者が実はまだ学生」
など、ゴロゴロいる世界です。
もちろんそんな人達に負けじとゲーム開発も頑張るのですが、やはりヒット作を出すというのは難しく自信にも繋げ辛いものがあります。
なので現在では精神安定剤的な意味合いで技術ブログが必要不可欠となっています。
ちなみに技術力や知名度等は技術ブログを始めた当初から想定していた利点でしたが、自信に関しては想定していないモノだったので、結構嬉しい誤算だったりします。
ヒット作に繋がった(かも?)
これはかなり間接的で、感覚的にすら断言は出来ないのですが、ブログを継続した事がゲームでのヒット作にも繋がってるような気がします。
例えば、ブログのおかげで新しい事に挑戦出来るようになったという話をしましたが、その新しい事(VRやUEFNなど)でヒット作が出たりもしましたし、
また、ブログのおかげで知名度が上がったことにより、そもそも新作の宣伝もしやすくなっているというのも繋がっていると思います。
これからもブログを続ける目的
このように1000本も記事を書くと、色々な結果に結びつきました。
ブログを始めた当初は「就職とか転職とか仕事に多少有利になったら嬉しいな」ぐらいの気持ちだったので、感慨深いものがあります。
そして、その色々な結果からブログを続ける目的(効果)が増えたり変わったりしながら次第に明確になり、今では主に以下のような目的でブログを続けています。(上の方が優先度が高い)
他の人の役に立つことで自信(自己肯定感)を得るため
継続的に学んで発信する事で、自分自身を広めて知名度を上げていくため
技術力や執筆力などの能力(価値)を高めるため
使わないかもしれないけど記事に出来ると新しい事を試す理由付けのため
ただし、そもそも個人のゲーム開発がメインであって、理想は「自分が面白いと思うゲームを一人で好きなように作ってそれが売れる」なので、ブログに時間を書け過ぎてはいけない、あくまで保険のような物という意識も持っています。