ランニングパフォーマンスにおいて重要な指標となるAT値(LT,OBLA)
皆さんこんにちは。
パーソナルトレーナー/トライアスリート/ランナーの康です。
いつもご覧いただきありがとうございます。
今回の記事ではランニングパフォーマンスにおいて重要な指標の一つとなるAT値について執筆していきます。
ではATとはなんでしょう?
◾️AT(Ananerobic Threshold-無酸素性作業閾値)
〜負荷を漸増的に加えるような運動を行わせた場合に、有酸素運動から、無酸素運動に切り替わる地点の事。
※負荷を漸増的に加える運動を行なった場合、運動負荷が低い初期段階(ウォーキング等)では主に有酸素的エネルギー供給機構が働きますが、高い運動強度(ランニング、ダッシュ)に達した際には無酸素的エネルギー供給機構がより多く働く様になります。
自身の有酸素的エネルギー供給機構から無酸素的エネルギー供給機構に切り替わる地点(AT値)を把握する事で、マラソンなどレースの際のペース配分や、日々のランニングのトレーニングにとても役立ちます。
AT値は主に血中乳酸濃度、換気量、二酸化炭素排出量など、運動強度の増加に伴い「ある地点から急激に上昇するデータ」から算出します。
さらに血中乳酸濃度からみた場合にATは段階的に2種類に分けられます。
①LT(Lactate Threshold-乳酸性作業閾値)・・・血中乳酸濃度2mmol/l前後
②OBLA(Onset of Blood Lactate Accumulation-血中乳酸蓄積開始点)・・・血中乳酸濃度4mmol/l前後
わかりやすく伝えるとするとLTは乳酸が溜まり始める地点、OBLAは乳酸が急激に溜まり始める地点と考えます。
上記の図で見るともう一つわかる事があります。
それは非トレーニング群とトレーニング群ではLT値、 OBLA共に開始点がずれている事がわかります。
非トレーニング群は運動強度30~40%VO2maxでLT強度に達するのに対して、トレーニング群は運動強度50~60%VO2maxでLT強度に達します。
つまり、運動をした事がない初心者は低強度の運動(30~40%)でも無酸素運動となってしまい、すぐに乳酸が溜まり始めてしまうが、ある程度トレーニングを積んで行った場合30~40%の運動強度では無酸素運動とならず乳酸も発生しないという事を表します。
ランニングの場合km/分の考え方が多いかと思うので、例に出すと
運動初心者の場合、km/6分でも無酸素運動となってしまい息が上がってしまい乳酸が溜まり始めてしまう事で長時間の運動が困難となりますが、
ある程度経験を積んでいけばkm/6分のペースであれば有酸素運動の領域で息を上げずに長時間のランニングが可能となります。
もう少し上のレベルの話でも同じで、一般市民ランナーにとってはkm/4分ペースはかなり早いペースとなりますが、プロランナーにとってはおそらくジョギング程度のペースでしょう。
この様にトレーニングを継続的に積む事によってLT、OBLAの開始点を右側にスライドさせる事を「ラクテートカーブのスライド効果」と言います。
ランナーやアスリートのみなさんがトレーニングを行う目的の一つはここになります。
つまりタイムを上げていきたい、今よりもパフォーマンスを高めていきたい場合は自身のAT値(LT、OBLA)の値を押し上げる必要があります。
また、AT値以下で運動を行えば乳酸を発生させずに運動が継続可能となるので長時間行うレースや試合などにおいては、AT値以下、もしくは付近でペースを設定することが最後まで失速せずにレースを進めるための重要な要素となります。
このように 自身のAT値(LT、OBLA)を把握する事でより効率的にトレーニングやペース配分を行うことが可能となりますが、測定するとなると通常はなかなか大掛かりになります。
呼気ガス分析装置を用いて、測定する必要があるので専門の施設に出向いて測定を行う必要があります。
もう一つ方法としてはGARMINなどのフィットネス用ウェアラブル機器を用いても測定が可能です。
こちらは筆者のGARMINを用いたデータになります。
こちらによると心拍が180超える場合、ペースで言うとおよそキロ4分15秒前後から乳酸が溜まり始めるとなっています。
(テストではなく自動算出機能)
正確性で言えばやはり専門施設に出向いて測定する方に軍配が上がりますが、いつでも簡易的に測定出来るのはプロアスリートではなく一般の方々にとっては使い勝手が良いと思います。
もし自身のAT値を知りたい場合は定期的に専門施設に出向いて測定を行うかウェアラブル機器などを用いて簡易的な測定を行うかしてみるといいかもしれません。
やや簡易的な書き方となりましたが、AT値について記述させて頂きました。
参考にして頂けますと幸いです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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