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かみゆりね
2020年12月1日 02:33
「それはさあ、お前、やめといた方がいいぜ。その女はさ。」港町のくたびれた居酒屋で、机に置かれた一枚の葉書を、男が二人が覗き込んでいました。一人は郵便局員の中村、そして「やめとけ」と発言したのは高校からの同級生、玉置です。葉書は中村宛のもので、東京に住むミキという女性からのものでした。先日、中村が出した葉書の返事が届いたのです。可愛らしい猫の写真の絵葉書に、一言、こう書いてありました。
2020年11月30日 00:23
2019年11月28日「勇者の憂鬱ってやつね。」夜の公園、男はベンチに座りながら、耳だけを傾けていました。「勇者?」「そう、勇者。少年漫画とかで主人公になっている、あれです。」「あれ、かぁ。」男は少し疲れてしまっていました。「いや、疲れているわけじゃないんですどね。」「疲れているなんて言っていないわ。憂鬱って言っているのよ。」自分が疲れていると思いたくない。男性
2020年11月14日 18:03
恋をすると思いの深さに苦しくなったり、相手に嫌われないかと不安になったり、幸せなことばかりではありません。それでも人はなぜか、恋に落ちてしまう。それならそういう恋の辛い側面は、どうすれば良いのでしょうか。今日はそんなことを悩む、37歳のミキの話です。「お前たち、タマを知れへん?エルっていう名前でも呼ばれとるんやけど。」ミキは店の裏手に餌をねだりに来ている若猫たちに話しかけます。5年
2020年11月11日 01:44
お久しぶりですお久しぶりです。元気そうですね。おかげさまでメール検索していたら、2010年のメールが出てきたの10年前ですねーそう、10年。早いですねー何のメールでした?打ち合わせの日程調整w打ち合わせ、最近してないですね。そろそろしたいですね。何か一緒にやらないとそうですねーとりあえずします?打ち合わせ何の?何か一緒にやりたいですねっていう、打ち
2020年11月10日 00:02
「歩くの、早いねぇ」イルミネーションが点灯し始めた11月の表参道。冬景色の到来に、歩調を緩めて立ち止まりながら往来する人々を縫うように歩いていた刈野は、そう言われてハッと立ち止まりました。一緒に歩いていたはずの男性は、いつの間にか少し後ろから小走りでついてきていたようです。「すみません、つい。」彼女が頭を下げたのは、連携先の大学のビジネスパートナーである真木という男性でした。懇親会とい