セールスフォースを使い倒すフロー事例~部門別の実例①営業編~
セールスフォース開発において「自動化機能」はとっても便利な道具です。日々の入力業務を効率的にさせたりデータをキレイに整えたりと、活用の場面はたくさん。2023年にはプロセスビルダー機能が廃止されるようですし、フロー機能を活用する重要性は急激に高まっています。
私自身、2012年からセールスフォース開発に関わり、フローを使った自動化をたくさん作って自社内で活用してきました。このノートでは、そんなフローの実例を部門別に分けて紹介したいと思います。1回目は営業編です。
※この内容は、2021年6月5日の「新機能トレイルブレイザーズユーザ会」で参加者の満足度が4.78/5.00と好評いただいた「ブレインパッド社のフロー公開!~実際に使われている便利な実例11選」の内容から抜粋しています。フルスライドはこちらから↓
営業部門で大活躍したフロー自動化事例 4選
営業部門での利用促進は、セールスフォース定着の1丁目1番地です。ただ、日々コツコツとシステムに入力するという業務が最も苦手なのも営業部だと思っています。
そんな彼らの日々の負担感を軽減するために何かできる事は無いだろうか?そんな想いで開発して、今でも動いているフローを4つ紹介します。
商談と活動の更新を10倍ラクにするフロー
営業の仕事は「商談を前に進めること」です。結果的にセールスフォースの更新業務は商談と活動の2つがメインになります。この2つの更新業務をいかに楽にできるようにするか?このど真ん中の問いに対して開発したのがこのフローです。
フローを使って、下のスライドのような専用の入力画面を作りました。これを上から下まで埋めれば、必要な商談更新と活動が自動で登録されます。しかも表示される項目は、今の商談フェーズで入力が必要な項目だけ。
「1ページを何も考えず上から下まで埋めれば必要十分な入力がなされる」というのをコンセプトに開発しました。
加えてこの画面は、商談一覧レポートから1-Clickでアクセスできるように作ってあります。ですので商談一覧レポートとこの画面。2つの画面を往復するだけで日々の入力業務の大半ができるように作っています。
このフローの利用対象者となる営業は当時30人以上いたのですが、劇的なスピードで活用が進みました。営業を集めた説明会を開いてからたった2週間後には98%の活動入力がこの画面からなされるようになりました。営業にとってラクになるものは、受け入れられるスピードも非常に早かったです。
※このフローの設計を詳しく知りたい方はこちらもどうぞ。
複数レコードを一括更新してくれるフロー
これを開発した2014年当時には「売上明細」というオブジェクトがありまして。12ヶ月に渡って月額利用料を請求するような商談の場合、1つの商談に12コの子レコードをつけるようなデータ構造でした。その結果、商談のフェーズが変わったり金額が変わるたびに12コの売上明細レコードも全て更新しなければなりませんでした。
月額利用料は固定なので、金額は12コの子レコード全てが一緒です。であれば一つ一つのレコードを個別に更新しなくても自動化できると思いフローを開発しました。(そもそもこんな使いにくいデータ構造そのものを変えたほうが本当は良いのですが、当時はそんな発言力もなく。。。)
実際のところ、この機能を開発する前は、商談初期~中盤の情報はセールスフォースにほとんど入力されていませんでした。金額やフェーズ変更の手間があまりに多い設計だったので。結果、金額や日付がほぼ確定した受注寸前になったタイミングで入力する運用が常態化しており、当時は正確な売上予測やパイプライン管理がセールスフォース上では全くできていませんでした。
営業の役員が「商談を入れろ!」と檄を飛ばしてもなかなかデータが入るようにはなりませんでしたが、この機能をリリースをしてからは以前より少し早い段階から商談データが入るようになり、セールスフォース活用が少しずつ進む第一歩になりました。
商談チームの名前をレポートで表示可能にするフロー
最近は扱う製品も多くなり、1つの商談に複数の営業やプリセールスが関わるケースが出てきました。そうなると商談所有者だけでは誰がどの商談に関わっているかを表現できなくなるため、商談チームを活用することになりました。
となると、どの商談に誰がチームメンバーとして関わっているかを商談一覧で見たくなるのですが、通常の商談一覧レポートでは商談チームメンバーを一覧で見る事は出来ません。(積み上げ集計を使えば、何人登録されてるかは見れるものの誰が関わっているかを見ることができないのですよね)
そこで、普段営業会議で使う商談一覧レポートでも商談チームメンバーの名前が見えるように、名前を積み上げ集計することにしました。
姓名が引っくり返っちゃっているのは気持ち悪いですが、これで普段の商談一覧レポートに名前を表示することができました。これで普段の営業会議で使うレポートのままで、誰がどの商談に関与しているかと、登録漏れがある商談はないかをすぐ把握できるようになりました。
もちろん「商談チームが関連する商談」のレポートタイプを使えば普通に実現できますが、そのためだけに普段の営業会議で新しいレポートを開いたり確認すると言うのはちょっと手間なので、普段通りのレポートで見えるようにという取組でした。
取引先チームを商談に自動で登録してくれるフロー
商談チームメンバーの活用が進んでくると新しい悩みが出てきました。特定の取引先との商談には特定のアカウント営業を含めるなど、商談チームメンバーの登録を自動化できるパターンが見えてきました。
「取引先チームの追加」ボタンを押せばそれでいいのですが、このひと手間がなされずに登録モレちゃう商談もちらほら。アカウント営業からは「自分の知らないところで商談が発生していて、、、」という声も。そこで、これをモレなく自動的にやってくれるフローを作って自動化しました。
まず事前に取引先に取引先チームメンバーとして特定のアカウント営業を登録しておきます。そしてその取引先に商談が新しく作られると、自動的に取引先チームメンバーを商談チームメンバーに登録するというフローです。
こちら、実際に運用してみる中で起きた失敗もありまして。初期の実装だと、取引先チームメンバーが退職するなどでセールスフォースのアカウントが無効化されてしまうとエラーが出てしまいました。(非有効ユーザを商談チームメンバーとして登録する事はエラーになってしまうため)
そこで、そのユーザが有効ユーザかどうかを判定するループを加えて、非有効ユーザであれば登録対象から外すという処理を後から追加しました。
※開発に慣れたIT部門や外部SIに開発を依頼していていれば、こういった初訪的な例外対応は事前にテストした上でリリースしてくれると思います。こういった考慮モレを予防できるのは外部にお金を払う価値の1つなのでしょうね。
フローは、セールスフォースを使い倒す最高の武器
フローを活用することで、ユーザの入力を効率化させたり、入力モレを防いだりと、システム定着の難易度をぐっと下げることができます。
セールスフォースはデータが入力されなければただの箱です。データが入力されるための仕組み作りや、ユーザが感じる入力負担の最小化はアドミンに求められる重要な要素の1つだと思っています。
セールスフォースはノーコードでも多くのことができるため、いわゆるローコード開発の部類に入るフローは敬遠されがちなように思っています。そんなとっつきにくいフローですが、使いこなせるとセールスフォースを使い倒すための最高の武器になると思っています。
そんなフロー活用の第一歩として、こんな事例たちが役に立てば幸いです。