ロシア紙から「原爆投下」について取材を受けました。
ロシア紙Rossiya Segodnyaから取材を受けました。記事はこちら。
取材は、すべてが記事のコメントになるわけではないですが、私が答えたすべてを以下に記します。
記者からの質問。
「なぜ日本政府は、原爆を投下したのはアメリカであることを演説で決して言及しないのだと思いますか?日本が正式な謝罪を要求すれば、他のアジア諸国が1930年代から1940年代にかけての日本に対して謝罪を要求するような事態を招きかねないと思いますか?」
日本のメディアからは絶対に来ないような質問ですね(笑)。
私の回答。
「日本政府が原爆投下についてアメリカに謝罪を求めないのには複雑な理由がある。
第一に、日本は第二次世界大戦後、アメリカに従属し続けてきた。日本は安全保障をアメリカに依存している。日本はいわゆるアメリカの「核の傘」によって守られている。したがって、日本はアメリカの原爆投下を率直に批判することはできない。
第二に、冷戦時代以来、日本は「アメリカには共産主義よりも正当性がある」というアメリカの歴史観を否定することができない。言い換えれば、日本は「ソ連や共産主義」の存在を認めるわけにはいかない。つまり日本は、第二次世界大戦の終結は、ソ連の樺太侵攻によって引き起こされたのではなく、アメリカの原爆投下によって起こったというアメリカの歴史観を肯定せざるを得なかったのである。
日本国内にも複雑な事情がある。日本では、アメリカの原爆投下を批判するよりも、日本が戦争を始めたのが間違いであり、原爆投下のせいで多くの人が死んだという考え方が強い人が一定数いる。今の野党とその支持者だ。野党はいまだに、今日の自民党政権につながる勢力として、第二次世界大戦中の日本政府を批判している。
この状況が不思議なのは、本来反米の立場をとりがちな野党が、自民党を批判していて、アメリカの原爆投下を直接的に批判していないことだ。
日本がアメリカに謝罪を要求しても、近隣諸国やその他の国々は、日本に対してこれまで以上の謝罪を要求することはないと思う。日本政府もそれを恐れているとは思えない。
アメリカの原爆投下が正当化されたと考えるアジアの国はない。特に中国はこの件に関しては、日本の立場を擁護するわけではなくても、アメリカを厳しく批判すると思う」。