「卒制」→「修論」≒階段3階
どうも,最近研究関係でポストが欲しいと思い始めるも知識足りなさすぎおこがましい…!と一進一退している院生です.
さて,B4は卒制,M2は修論という卒業に向かって校内がなんとなくピリリとした空気を醸し出している時期ですが気をつけたいインフルにも負けずになんとかやっております.
来月初頭の論文発表会(最終研究報告会…論文審査みたいな)に向けてのスライドも9割昨日のゼミ後終わらせたので今日はマイペースに作業しに学校来ました.夕方副査の准教授から論文返却とのことでそれも待っています.
・総合大の「卒制」
・B4の卒制
・大学院の研究と制作の関係
・M2の論文(と制作物)
という感じで今日はちょっと書こうかと思います.
・総合大学デザイン科の「卒制」
美大ではなく総合大学の中のデザイン科ということですが,私の大学以外の国公立総合大のデザイン科…ご近所さんですと関東圏内になりそうなので千葉大さんや筑波大さんでしょうか.千葉大さんは個人的に大好きなので,ほぼ毎年学外での卒制展「意匠展」は拝見させていただいております.レベル高いです.面白いですよ.
(去年の学会で千葉大の学生さんが発表のタイトル一覧見て「今年首都大の人いるよ〜」「ね,お菓子のパッケージだってね〜」と会話してる真後ろに発表者である私がいました,話題にしてくれてありがとうございます…嬉しかったです…)
さも回し者かのように言ってますが,自分の大学をディスっている訳ではなく,同じ総合大のデザイン科として尊敬しつつも違う形態をとった卒業制作なので見解も学部構成も違うので面白いという話です.
本大学
・卒業制作の制作物
・論文は研究室ごとによるけれど必須ではない(生徒の8割は作品提出のみ)
・学内展前に制作物の評価として制作発表会(5分のプレゼン)
・学内展有り,学外展は東京都立美術館(以前はプロダクト系を中心にAXISギャラリーをお借りしておりました)
千葉大学さん
・卒業制作の制作物
・プロダクトだろうがグラフィックだろうがUXだろうが卒論は提出必須!
・学外展は都心で開催(去年は五反田…?だったかな,千葉まで行けないけど都心なら行ける…!)
・意匠展での作品一覧,卒制カタログはアンケートに回答すればもらえる!(B4の卒制の参考にと持って帰ったりします…)
こんな感じでしょうか.千葉大さんの内情はそこまで知らないのですが学会で会ったM1(昨年度「意匠展」当時B4)の方と名刺交換して直接話を伺うことができました.まず学部での卒論が必須条件です.ここでまず論文を書くか書かないかで院に進学したりD進まで考えてる人にとってはちょっとハンデかなと思いました.とはいえ本大学のB4生にとっては美大と同じような卒業条件なので,制作を中心とした表現スキルを磨いて卒業できるのがうちのメリットなのではと思ってます.
一方で千葉大さんは論文の提出が必須ということで,制作物に加えて論文も書きます.なので制作に至った背景やリサーチ,ターゲットが具体的で実際に空間系だと遊具とか大きなものを作って公園とかに置いちゃうんですよね.それで実際に遊んでもらって親子にアンケートをとって,というところまでやっています.うちの大学も勿論ターゲット層の明確化や制作物についてのリサーチ,割とB4前期での教授のプロジェクトのおかげでしっかり鍛えられています.
しかし,きちんとそうしたことを行なって制作した卒制に対して評価となるプレゼンが5分しか設けられていない点や一度制作物について論文という形で言語化するということをしていない点は相違点としてあげておきます.実際制作で手いっぱいになることが多いため論文を書いている時間がない生徒が多数,作って発表さえすれば就職先・進路決まってるし卒業はできる的なところも否めません….
勿論学部のうちから論文にならないものは作らせない,という方針の先生もいらっしゃいますし研究室もありますし,人間工学系に至ってはどちらかというと制作物というより提案や考察・検証等が多いため全員制作ではなく論文を提出しています.大学それぞれ,研究室それぞれと言ったところでしょうか.
・B4の卒制
私のB4時のことで話しますが,もう見たくもないほどに悲惨でした.丁度夏休みに留学先(フランス)から帰ってきまして,留学前のB4前期で決めていた卒制のテーマが変わり,面談はしたもののなかなか決まらず作りたいものと言われてもそう上手くターゲットの設定や作品を制作する意義的なものが見つからない.じゃあってことで留学先と日本での生活の違いの洗い出して「当たり前と思っている日本の生活感・日常を再発見」みたいな感じでB1ポスター5枚作成したわけですが.まず修士課程への院試が帰国の日程によって自ずと後期試験になってしまったことにより,今まで受けたことのなかったTOEICを急遽受ける羽目に.(留学先で英語は余程のことがない限り使わなかったのでもう忘れてるよレベル)
留学先で受けた外国人向けのフランス語の語学レベル認定試験DELF・DALFのDELF B2(大学生レベル)に3点足りず落ちていたため,日本で受け直すも東京・神奈川会場が埋まっており名古屋にて受験,しかも口頭のみ別日なので1週間ごとに名古屋に行って受験という羽目に.その間にTOEICの勉強と院試のためにポートフォリオ制作,卒制,ゼミでの進捗による精神的ダメージ,バイト(なぜ卒制期間もやっていたのか甚だ謎である)により制作発表のリハーサル兼ゼミ直前にしてパニック発作,自律神経失調症を発症.完全にスケジュール難民でした.
そのポスターも,教授がグラフィックデザイナーであるためかなりこだわりが有り,フォントの選び方やレイアウト,配色,全てにおいて「なぜ?」の質問攻めというか,答えても答えても制作背景が薄いんですよね,急いで決めてしまった内容と自分の留学経験が基準になってくるので.
幸い発症前に院試は受験していたので進路決定はしていましたが,それからはあまりポスターを作ることに積極的にはなれませんでした.グラフィックデザインは好きな分野で続けていきたかったけれどグラフィックを作るデザインスキルが圧倒的に足りない,デザイナーにはなれないと諦めてしまったこともあります.
今M1の後輩も卒制でポスターを作り,私と「もう一生ポスターを卒制では作らん(苦笑)」という話をしていますが彼はデザイナー職希望なので院に進学してからも自主制作はして,というスタンスを続けています.すごい….
・院での研究と卒制の関係
これは人によります.卒制での成果物を携えて院に進学して研究に落とし込む人もいますし,私や彼のように一度卒制は卒制,と区切りをつけてから自分の好きなものをもう一度洗い出してから2年という期間自分が熱中して深掘りできるテーマを設定し直す人もいます.
結果的に私はグラフィックデザインの制作というよりも寧ろゴリゴリの分析側に回り,体調不良のため1年休学しましたがその間に行なっていたイラストレーターとしての活動,作家としての活動や展示に関わること,美術業界の市場,マーケティング事情を知ったことで,いかに視覚情報が人間を左右するかということを知りました.なので,パッケージデザインという商品の顔とも言える視覚表現自体が広告のような宣伝効果を持っているのではと思ってから,復学して論文を読み漁ってパッケージ解体しまくってロングセラー商品がそうあり続けるためのパッケージデザインにおける法則性についての研究として調査して出張して数学的な検証して分析して,とぶっちゃけ学部の時より楽しかったです.今では研究どっぷりしたおかげか副査の先生にも面白がってもらえて,しかも元々卒制で触れようとしていた大正時代に繋がってきたのでもうこれは研究続けるしかないという思いでD進という決断をし,皆が就活を頑張っている時に研究を進めるというここで既に同期とは違う進路をとっていたのでよく研究について行動早いとか言われたり,嫌味かというくらいにからかわれたりもしますが,就活しないことを選んだのだからそれ相応の研究成果は出さないといけないとは思っていました.なので卒制に至る紆余曲折が必ずしも無関係だった,ということもなく色々後々わかってくることもあるなあということが最近多いです.
・M2の「論文」
さて,長々と綴っております,延長戦にいきそうですね,これ笑.現在は修論の第二校を副査の先生に提出(これも卒業条件)してチェック待ちですが,それでもその間にちょこちょこ書き直したりしてるので今は4校目くらいになってるでしょうか.博士課程での指導教員(現・副査)からの返却が今日19時ということですが,今日メールが来て力作ですねと.まあ,細かいところの赤をたくさん入れられるそうなので恐ろしいですが笑
しかし最初の項目で記述しましたように,私たちは卒制で学部卒となっているので,「修論」が初めての論文になってしまうんですね.そこでM1(取り損ねたらM2でも取れるような選択授業なので必修ではない)の授業では前期に論文の書き方や基礎に関する講義があります.いや,あるんですよ.それでも実際に書いてみないとわからないことなんてたくさんあるので,予備知識として持っておいて損はないという講義です.私は学会の発表紀要のために自分の研究を言語化して紙面に纏めたのが最初ですが,かなり戸惑いました.そして実際論文を書くとなった時,まず骨組みを作れということでA3の紙に見出しとか,全部書く内容をざっくりとアナログ人間なので申し訳ないのですが,付箋で構造を可視化しました.(DC2今年受かった同期にはそれを今度から画面上でできるといいねと言われてしまったほどです…)
こんな感じです.付箋がもうヨレヨレで見苦しくて申し訳ないのですが.これのおかげでわりとダーッとは書けました.12月には第1校を提出してるので2週間の添削期間を経て冬休みを挟んで第2校,そして訂正祭りが行われて副査チェックの間は論文発表会(発表15分質疑5分)のスライドを作ったりしてました.いや,恐ろしいものです.卒制に比べるとスライドで作品の作り方や見せ方,制作ではなくて今(まで)どんな研究をしている・してきたという過程を見せることがメインとなってくるのでただ綺麗なスライドを作ることだけではいけない,と何度も言われました.(スライド作りは何回やっても憂鬱になります.)
そこでB4での卒制時と比較すると,しっかりとした研究背景があってこういう問題点(検証すべき点)があって課題解決,というか,作りたいものを作っての卒業ではなく(自分の興味あることでいいので)研究としての調査・制作・検証をストーリーというか起承転結を組み立てて言語化し,もうとにかく事実を淡々と述べる世界だなと感じました.失敗は失敗でいいんです.なのでそれを受けてどうするかと改善に向けてまた提案をしたということが事実であればいいんです.成功したらめっけもんですが失敗だっていくらでもあるんですから,審査はそこをみてるのではなくて過程をみています.それが,制作物での評価との違いでしょうか.私は絵を描いたりたまに気分転換に装丁やDMなど小さなグラフィックを作るのは好きですが,過程を評価してくれる世界の方が性に合っていると感じた3年間です.それに気づいたのは院での生活ですし,B4の時点では気づかなかったことは院で気づいたりして,M2の最終形態として比較して見るとやっぱりB4の時の自分よりも数段上のところにはいるのではないかと思います.
(今年の目標は自己肯定なので許してください…!)
・最後に
今月末が論文提出日ということですが,今論文8.5割スライド9割というところで,執筆中の人には余裕じゃんだの早いですねだのなんか嫌味に思われてるのかな…とか思うことを言われたりしておりますが,改善に改善を重ねても拍手喝采の論文はなかなか難しいと思うんです.なので早めにやって何度もチェック入れてもらって,とにかく校正校正…!ということをやっているので別に余裕があるわけでもなく,第1校提出直前は死に物狂いでしたし,決して余裕でやってきたわけではありません.提出して12月の第1週は死んでましたからね(苦笑).
でもその一方で同期達は就職活動という,私が経験していない苦労を経験して論文に臨んでいるので私より後に始めた方は当たり前のようにいますし寧ろそっちの方が一般的かと思います.というか私からしてみれば就活して論文書いて…ていう方がすごいです.進路が違うから進度や求められるクオリティが少し違うということもあるかと思います.副査の先生は私がD進するのを知っているので結構厳しめに赤を入れてきます.その点は院卒で就職される方との違いだと思います.
なので,そういうことを言われてももう進路が違うからとしか言えませんし,求められるレベルが修士と博士では違うことも耳にタコができるレベルで聞いているのでもう割り切るつもりでいます.
まあ,まだ提出日まで日数はあるので頑張りますよ,校正しますしやるだけのことはやります.なので余裕はそこそこに,慎ましく地道に論文をやろうと思います.
(言っとくけど!日本で研究室があって指導教員が最初からいるなんて恵まれてるから!フランスじゃ大学院入ったら自分で論文の指導教員探しから始めてリジェクトされたら他当たって,とか全部1から自分でやるんだからね!
ただ奨学金とかポストの問題はどうにかしておくれ!本庶先生のスピーチみたいにノーベル賞で脚光浴びた時しか取り上げてくれないんだから!)