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お母さんはどうしてお箸が上手に使えないの?
家族でごはんを食べていると、4歳の娘が「お母さん、お箸の持ち方がちがうよ。」と言いました。それまで私(妻A)は、子育てを「私が娘に教えるもの」と思い込んでいたようです。親の私の方が未熟なこともある、とハッとしました。
娘は、何年も前から保育園で毎日正しいお箸の持ち方を訓練してきました。エジソン箸ではなく本当の箸で、食べるわけでもない豆をつまみお皿からお皿に移す練習など、悔しい思いをしながら重ねてきたのです。
保育園で練習する娘(当時2歳1か月)
夫に指摘されたことがあったのに…
私(妻A)は、この歳まで箸を好きなように持ってきました。結婚当初(今から8年ほど前)夫から指摘されたことがあります。でもそのときは「ふ~ん」ぐらいの気持ちで流していました。どちらかというと「できたてのおいしいごはんをおいしく食べたい」「慣れない手つきで食べるなんて、嫌だよー」というのが本音でしたね。夫には失礼ですが、その当時は、箸を正しく持つ必要性が私にはありませんでした。
毎日3回の練習の機会がある
私は仕事を通じて仲間たちにたくさんのフィードバックをもらい、成長の糧としてきた自負があります。しかし4歳の娘に「お母さん、お箸の持ち方がちがうよ。」と直接的なフィードバックをもらうとは思いもしませんでした。これは一生涯忘れられないフィードバックのひとつになると思います。「この歳で正しいお箸の使い方もできないなんて…」と、自分のことがとても恥ずかしくなったのです。娘と私のやりとりを見ていた夫(K)は、8年ぶりにあのときと同じ言葉をもう一度言いました。
箸の持ち方は、毎日3回も練習できるんだよ。1か月で90回。箸の持ち方はきっといつの間にか、自然になる。
出所:8年前の夫Kによるフィードバック
わたし、持てる、お箸。
「いただきます!」のあと、心の中で毎回「正しい箸の持ち方」と唱えました。忘れそうになったら、付箋に書いて、テーブルの私の席に貼っておきました。こうやって、いま2か月ほどが経ったところです。
「おかーさん、だんだんできるようになってきたね。」とさっき娘に言われました。まだ、重量級のおかずは持てません。ツルッとした表面の食材や細かすぎる食材(米粒より小さなもの)はつまめません。それでも正しい持ち方がどんな形なのか、一本いっぽんの指がどの位置でどんな動きをするのが美しいのか、私にはわかっています。あと少しのところまで来ました。
子育ては親育てだ
お箸の持ち方に限らず、子育てをしていると、親の成熟度を試される機会がたくさんあります。私がどのようにしてここまで生きてきたかを娘に問われている、そんな感じがします。まだまだ未熟者なので、子どものお手本になるために自分を育てながらの日々です。
・素直に自分の非を認める
・失敗しても何度でもチャレンジする
・道ですれ違う人に挨拶をする
子どもから気づかされるばかりの毎日です。子どもを育てながら、親である自分も育つ。まさに子育ては親育てですね。子どもたちは親をしっかりと見ています。これからも私は「自分は娘の鏡になれているだろうか?」と自問自答していこうと思います。
夫K「箸がきれいに持てない人は、なんとなく、挨拶とか、いい加減なんだろうなという印象があるよね。あなた(妻A)だけが、本当に例外だった。」
妻A「食いしん坊だから、おいしく食べることがゴールだったのよ。持ち方はそっちのけで。でも今は、お箸がきれいに持てることに誇りすら感じております。」
夫K「フィードバックを受け止めて、行動につなげる、というその素直さが素敵だね。」