笠置山の行場の野良猫、笠やん、の崇高な姿。
奈良時代の線刻仏から亀井水の時代考証を確信する
亀井には、ふちどり、かお、しわ、尾など、細工が施されています。こうした線刻が、
1400年の時間に耐えるものだろうか、それが最初の疑問でした。
で、調査に行ったのが、笠置山の山頂の行場の、線刻仏です。
奈良時代に彫られた線に、手を触れて確かめられます。
石の風雨太陽に耐える新鮮さ。
本堂よこは、火災の炎で岩が剥離しています。亀井堂も何度か火災の被害を受けていますが、亀井は下にあるから火炎を浴びることはなかった。
みんなに愛されながら野良猫として短く生きぬいた、笠やん。
笠置山の修行場の線刻仏の記事を読み返していて、思い出したのは、のら猫の笠やんです。
写真は、山上に一軒だけある料理屋の庭で撮影された、貴重な姿。
平成2年、いずこからともなく現れたのら猫は、なぜか山を登ってきた参拝者の前に立ち、岩の修行場の途中まで先導し、ふと姿を消すようになった。
やがて、笠やん、と呼ばれるようになり、新聞報道で全国に知られるようになる。
住職の家なりに、寺猫として保護されてもよさそうなものを、笠やんはのら猫でいつづける。
平成6年2月2日、すみかであった駐車場で、むくろとしてみつかる。
笠やんの実際の年齢は、誰にもわからない。なぜ、風雨厳しい山上をついの棲みかときめたのかも。
奇岩ひしめく太古の信仰は、ひょっとして数万年の歴史を秘めているのか。
笠やんは、のんきに人間をおもてなししていたのではないだろう。