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週の真ん中だというのに駅前の繁華街は異様に賑わっていた。ソープ街の串焼き屋に一時間、ド…
牛みたいだね、と二週間ぶりにアパートにやってきた女が言った。顔も丸くて、髭も剃って…
この店には女の客がほとんど来ない。カウンターに並ぶのは、物流施設の作業員、工事現場の肉…
チネチッタの名画座が「ディアハンター」を演っていたから、アルバイト先のベトナム女を誘っ…
憂鬱な冬の時期だった。その頃の俺は女に棄てられた苦しみに喘いでばかりいて、あまり周りが…
だめでした、途中で心が折れちゃって、せっかく勧めて下さったのに、すみません……。厨房に…
或る夏の朝、夜勤を終え部屋で服を脱いでいると、ソファで寝ている女がクックと肩を顫わせているのが暗がりでもわかった。泣いているのかと思い、ギクリとした。疚しい理由などいくらでもあった。が、女は笑っているのだった。安堵した俺は優しい気持ちになり、屈みこんで頬を撫でてやった。あァ、Kだ、と女はいつものように子供みたいに笑う。頼むからそのドブ臭い口を閉じててくれないか、と枕元で俺が言うと、蟹光線、と言って息を吹きかけてくる。多喜二のタの字も知らない癖して、まったくふざけた女なのだ。
女がドアの隙間から顔を出した。鼠色のマフラー越しにはしゃいだような笑い声をだす。俺は原…
アパートの前でトラックのエンジン音が鳴っている。ゴミ収集車だろうか。だとすれば、是が非…
午後に起きてから自瀆三昧だった。同窓らが開く連日の新年会も、野暮用があると言ってスッパ…
壁掛け時計の下に、小さな額縁に入った絵がある。ブリューゲルの、たしか次男坊が描いたもの…