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繁華街を、野良犬のようにさまよっていた。火照った顔を冷たい夜気が痺れさせた。忘年会帰…
洗濯機はベランダにある。無精な男ふたり暮らしゆえ、カバーなどなく雨風にさらされている。…
この室での最古参、それは浅葱色の革のソファだ。とはいっても、アパートに越してきて買った…
机に突っ伏したまま午後を迎えた。クリスマス・イヴだ。褒美に映画でもとチケットを購ってい…
ねえ、何か肌黒くない? 三十だから? また、鼻がプツプツしてきてない? 女が俺の頰を撫…
夜勤から帰ってくると、靴下から順に脱いでいくのだが、どうしてか洗濯カゴが冷蔵庫のまえに…
変わらぬ朝だ。夜勤を終え、ジムで汗を流して帰って泥のように眠るつもりだった。上がりぎわに、相方がビールを三本くれた。誕生日の前日だからだ。それでよくよく考えてみると、いまこの瞬間が、俺の二十代最期の朝だということに思い至った。まだ、九時だ。澄んだ青を見上げなから、自転車でいつもの路を走った。感傷的というわけではないが、三十という齢を思うと、妙に重々しい心もちになった。齢だけは一廉の男というわけだ。締め括る、というほどのことでもないが、このまま寝て一日を終えるのは惜しい気がし
珍しく大家から電話があった。俺は夜勤を終えアパートに帰るなり、荷物を置いて三階の大家の…
夜勤明けに、例の火事の現場を通りかかった。そのアパートは帰り道にあった。ひと気のない、…
夜勤を終え、ジムで汗を流した。ここ一週間ほど、エルヴィスを見ていなかった。最後に会ったと…
部屋に入るなり彼女から一枚のMDを手渡された。何、アヴリル? ひっくり返してみたが、シー…
柔らかな風が頬を嬲る、快晴の朝だ。十二月だというのに、気温は二十度を上回っている。二十…
壁の画鋲にひっかけていたはずの眼鏡がなかった。枕元や毛布を手で探るが見当たらない。…