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Kによる手記集(無料版)

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何気ない日々の出来事を書いています。
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2018年12月の記事一覧

茶番

  繁華街を、野良犬のようにさまよっていた。火照った顔を冷たい夜気が痺れさせた。忘年会帰…

石子犬太
6年前
35

洗濯日和

 洗濯機はベランダにある。無精な男ふたり暮らしゆえ、カバーなどなく雨風にさらされている。…

石子犬太
6年前
42

夢見るソファ

 この室での最古参、それは浅葱色の革のソファだ。とはいっても、アパートに越してきて買った…

石子犬太
6年前
36

聖コウモリ

 机に突っ伏したまま午後を迎えた。クリスマス・イヴだ。褒美に映画でもとチケットを購ってい…

石子犬太
6年前
44

天秤

 ねえ、何か肌黒くない? 三十だから? また、鼻がプツプツしてきてない? 女が俺の頰を撫…

石子犬太
6年前
46

燈らぬ光

 夜勤から帰ってくると、靴下から順に脱いでいくのだが、どうしてか洗濯カゴが冷蔵庫のまえに…

石子犬太
6年前
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一廉の男

 変わらぬ朝だ。夜勤を終え、ジムで汗を流して帰って泥のように眠るつもりだった。上がりぎわに、相方がビールを三本くれた。誕生日の前日だからだ。それでよくよく考えてみると、いまこの瞬間が、俺の二十代最期の朝だということに思い至った。まだ、九時だ。澄んだ青を見上げなから、自転車でいつもの路を走った。感傷的というわけではないが、三十という齢を思うと、妙に重々しい心もちになった。齢だけは一廉の男というわけだ。締め括る、というほどのことでもないが、このまま寝て一日を終えるのは惜しい気がし

日曜大工

 珍しく大家から電話があった。俺は夜勤を終えアパートに帰るなり、荷物を置いて三階の大家の…

石子犬太
6年前
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暗鬼

 夜勤明けに、例の火事の現場を通りかかった。そのアパートは帰り道にあった。ひと気のない、…

石子犬太
6年前
50

煤の雪

夜勤を終え、ジムで汗を流した。ここ一週間ほど、エルヴィスを見ていなかった。最後に会ったと…

石子犬太
6年前
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2006.DEC.8

 部屋に入るなり彼女から一枚のMDを手渡された。何、アヴリル? ひっくり返してみたが、シー…

石子犬太
6年前
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憩いの蛾

 柔らかな風が頬を嬲る、快晴の朝だ。十二月だというのに、気温は二十度を上回っている。二十…

石子犬太
6年前
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気晴らし

   壁の画鋲にひっかけていたはずの眼鏡がなかった。枕元や毛布を手で探るが見当たらない。…

石子犬太
6年前
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