マルチェロ・マストロヤンニ生誕100年:映画『マルチェロ・ミオ』レビュー
第37回東京国際映画祭クロージング作品は今年のカンヌで話題になった『マルチェロ・ミオ』のジャパンプレミア。主演をマストロヤンニとカトリーヌ・ドヌーヴとの実子、キアラ・マストロヤンニがつとめ、ドヌーヴが本人として共演。2024年がマルチェロ・マストロヤンニ生誕100年ということで製作された正真正銘(?)のオマージュ。マストロヤンニ好きだけが分かる楽屋落ち的シーンの連続で、映画祭という祝祭気分にまことに相応しい一本。ただオールドファンには嬉しいが、若い人たちにはどうなのだろう。今年の東京国際映画祭は、マストロヤンニ100年を記念して代表作を何本も上映したが、若い人たちはそれら名作を観てくれただろうか。スクリーンで観てこそのマストロヤンニ、フェリーニと個人的には思っている。
冒頭のキアラの写真撮影シーンから『甘い生活』か、と思わされるが、終幕近くに満を持してといった流れでトレヴィの泉の場面が用意されている。イタリア映画の往年の名優たちも次々登場する。
父の存在そのものとの葛藤は、傑作『8 1/2』の映画監督の苦闘を重ねたか。コメディのカテゴリーだが、個人的にはそう笑えなかった。残念。