『薫る花は凛と咲く』はきっと誰が読んでもピンとくる漫画
『薫る花は凛と咲く』は、誰が読んでもピンとくる高校生ラブストーリーのど真ん中のような漫画です。
はじめはタイトルと表紙が気になり、この作品を読み始めました。
ストーリーとしては、隣り合った高校に通う二人の話です。
主人公の凛太郎くんは男子校に、薫子ちゃんはお嬢様学校に通っており、
タイトルの『薫る花は凛と咲く』は二人の名前から取られたものだと思います。
一巻を読み、これほで典型的な設定は久しぶりだなと感じました。
ただ、最新刊まで読み進めると、この漫画は単なる恋愛ではなく、
男子校と女子校のグループで交わされる会話に物語の鍵があると思います。
対話を重ねて相手を知り、誤解を解くシーンが多く、丁寧に描かれていました。
このときに、登場人物それぞれの優しさ、素直さ、不器用さが伝わってきます。
それが作品のもつ柔らかさや瑞々しさに、つながっているのかもしれません。
10歳くらいの子どもが読んでも、多くのことを感じ取れるのではないかと思います。
たとえば、40歳の僕からすると、大した問題ではなく、すぐに言えば済むようなことかもしれません。
しかし、15歳や16歳の高校生にとって、
本当の自分をさらけ出すことは勇気がいることの一つだなと思いました。
それを受け止める側も、覚悟を持って聞く必要があると感じさせられます。
これまでのnoteにも書いてきたことですが、高校時代は伝説化し、美化されていくものです。
思い出は色褪せないですが、戻れないものだからこそ、この物語はさらっと進んでいるようで、
その過程に重きが置かれていると思います。
最新刊でも、二人の恋愛は非常にスローペースで進みます。
今の高校生にとって、このスローペースは珍しいかもしれません。
しかし、こうした毎日の過ごし方には、
他では得られない重みと、色褪せない良さがあるのかもしれないと感じました。
最後に、この漫画で特に印象に残っている話を紹介します。
凛太郎くんが金髪をやめるシーンです。
とても大切な意味があって、金髪を続けていた凛太郎くんですが、
薫子ちゃんと出会い、関係が深まるなかで、黒髪にする決断をします。
これも愛ゆえの決断と言ってしまうと軽くなってしまいますが、このエピソードは好きです。
いつまでも過去の栄光として、俺はずっとこうだから金髪だ、ということではなく、
その時々に応じて変化を反映させていくことも大切だと感じます。
このエピソードからは、彼らも成長しているし、時代も流れていることを感じました。
『薫る花は凛と咲く』は純粋で、心が洗われるような物語だと思います。
ぜひ、皆さんもこの作品を手に取ってみてください。
(ヘッダー画像引用元:薫る花は凛と咲く【公式】)