kakutoshika

いつかきれいなとげとげに。

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最近の記事

眠気の理由。

声が好きな人に吸い込まれる習性があるらしく、好きな人たちを思い出すと、その人の口癖と声が頭をよく回る。 少し真似してみたくなり、1人のときにそうやって話してみたりする。 なんだかちょっと憧れが自分の一部になったような気分だ。 母の声は昔からどうしても眠くなる。 子供の頃、宿題を教えてもらうときも、どうしても眠たくなって集中できなかった。 頑張ろうとしても、途中でうとうとしてしまう。 妹もそうだったらしい。 2人でなんでだろうねと話す。 そんな声がずっと好きだ。 近頃、わた

    • 無菌と抗体

      赤ちゃんは母体の中で無菌で10ヶ月を過ごす。 妊娠してからそんなことを耳にして、想像していたよりもはるかに神聖なものであることを実感した。 生まれてきて、母乳を飲んで、抗体をつけこの世界で生きていく強さを身につけて大きくなっていくという。 出会うこの世の人はみな、無菌を体験してきたわけで、その人が生きていく上で必要な抗体をそれぞれが身につけてきた。 食べるものが違う、寝る場所が違う、関わるものが違う。同じ人などどこにもいない。 それは当たり前のように謳われることではあるが、

      • 快報

        人によって物事の捉え方はそれぞれだ。 彼と再び出会ったその日は大雨で、季節の香りも特にないただ寒い夜だった。 彼は本を作っているという。 令和になって万葉集を研究し始め、梅の花の歌だけで歌集を作ったそうだ。 私は1つの和歌を教えてもらった。 彼の一番のお気に入りらしく、雲が切れ光がさすような、そんな明るい歌で、説明をしてもらうと本の中から梅の香りがより鮮明にひろがった。 和歌なんて興味もなかったけれど、過去の偉人が作ったその歌はなぜかとても共感できた。 彼曰く、日本語は歌

        • 彼らを大切にするもの

          私の家からは高校が見える。 体は大人のように成長した彼らは、しっかりと並べられた机に座り、毎日みんなで同じ方向を向いて学んでいる。 なんとも愛おしく可愛らしい光景だ。 忙しい日々が続き、仕事に続く仕事で、日常の些細なことや、かけがえのないことが見えなくなっていたとき、赤ちゃんができたことに気が付いた。 一生懸命働いてきて、ある程度仕事も信用して任せてもらっていたときだった。 妊婦様って言葉があったり、他の人に迷惑はかけられないと、つわりが始まっても少しの間頑張った。  彼や

          幸せの判断として

          このところ人と話をすることが極端に減り、自分の中で考えを巡らすことが主になってきた。この極端な休みの中で、自分というものをよりクリアに捉えることができているとともに、一人で生活する事に寂しさを一切覚えなくなったことに驚いた。一人暮らし4年目の春。 1年前までは寂しくて仕方なかった。友達も多くはない、恋人もいない、甘えたくなるようなお店もなく、私はこれからどこに行くのだろうかという問いを何回も作り出しては忘れる努力をし、世の中の人々の強靭さにいつも怯えていた気がする。どんな人

          幸せの判断として