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junsus79
読書の記録 遠巷説百物語
年末に父から借りた、京極夏彦さんの『遠巷説百物語』を読みました。
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読み始めは、時代を感じさせる文章や漢字の難しさでなかなか進まなかったのですが、慣れてくるとあっという間に読み終えました。
地元岩手の遠野が舞台ということもあり、方言も頭の中で再現でき、舞台地もイメージしやすかったです。
御譚調掛という職を遠野南部家の城主、南部義晋様から任じられた浪々の身である宇夫方祥五郎が殿の代わりに噂話などのお話を集めていました。
江戸時代のこと、伝えられている不思議な妖怪のお話が実際の事件となると科学的な検証もされず、だいたいはあやかしのせいで終わることも多い。
歯黒べったりという妖怪が出た際、不思議な話の裏の真実をアウトローに生きるものたちから明かされ、真実を知った祥五郎。
そこからそのものたちとつかず離れず関係を築き、さまざまな事件の真実を知っていきます。
当時の世間ではうまく采配できないことを妖怪の事件に見せかけて解決してしまう頭の良さと、からくり作りはあっぱれとしか言いようがないです。
だれからも愛される祥五郎の人柄の良さも魅力的で、やりきれない世の中で起こるひどい事件は、重いものの、存在が癒しでした。
最後のお話の『出世螺』は、悪役の成敗にスッキリするものの、少し寂しくなってしまいました。
このシリーズを始めて読んだのですが、歴史的事実と妖怪をうまくお話にしていて、とても面白かったです。妖怪好きにはたまらないですね。