読書の記録 狗神
かなり昔に『死国』というホラー映画を見ました。子どもながらに、栗山千明の演じる莎代里の存在感や登場人物のなんともいえない三角関係などで複雑な気持ちになったのをよく覚えています。
ふと思い出して最近また見て、原作者が坂東眞砂子さんだと知り、他のお話を読んでみることにしたのです。読んだのは、坂東さんの代表作でもある『狗神』です。
ホラー映画や小説のどちらにも言えることなのですが、あまりにも日常からかけ離れると本当だとは思えなくて、げんなりしてしまうことがあります。
海外のホラーなどは、確かに怖いには、怖いのですが、ジェットコースターみたいな怖さになってしまうと冷めてしまいがち。やっぱりジャパニーズホラーのおどろおどろしさの方がどちらかというと好きです。
『狗神』は、犬神憑きという伝承や差別をもとに書かれていて、実際にありえそうなお話として読めてとてもおもしろかったです。
確かに狗神様は、恐ろしい存在なのですが、生きている人間の方が恐ろしい。
坊之宮家に好きで生まれたのではなく、生まれてきた運命をまっとうしようとしてきた努力してきたのにもかかわらず、理解されず排除されてしまうのは哀しいです。
日本に祀られている神様も、人間味あふれる個性的な方が多いです。お話はもちろんフィクションなのですが、うまく折り合いをつけて共存するということが必要なのかなと考えてしまいました。