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中国の宴席👉丸テーブルで繰り広げられる無限デスマッチ


中国の滞在期間中に、約一年間ほど、仕事や生活で殆ど日本人と関わることが無い環境に居たことがありました。当時勤めていた「会社」も所謂「現地企業」、仕入れ先やお客さんも「現地企業」という環境で、中国三昧?の日々を過ごさせて頂きました。


当時のこの「会社」は、カッコよく言うと「スタートアップ企業」、普通に言うと、「自社のオフィスも工場もない、営業許可書取り立てホヤホヤの会社」で、他の工場に委託生産をしていました。


と言うと、聞こえが良いのですが、「工場」も所謂現地の町工場で、写真のような門構えの小さな工場でした。

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※ 写真はイメージですが、ざっくりこんな感じでした。

  建物の中の様子はご想像にお任せします。(笑)


その「中国どっぷり」の環境の中で思ったのですが、中国の人が人間関係を構築するときは、どちらかと言うと、相手との距離を徐々に縮めていくのではなく、一瞬で「必殺の間合い」まで縮めるような気がします。


こんな感じで。

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そして、その一瞬で「必殺の間合い」に縮めるのに効果的なのが、所謂「宴席」で、酒を一緒に飲んだ瞬間に、それまでは赤の他人同士だった人が、いきなり「兄弟」に変わり、「兄弟」がどんどん量産されます。


人類皆兄弟です♡


そして後に、たった一度しか会ったことが無いとしても、


「彼とは一緒に酒飲んだことがある」

「俺と彼とは兄弟だ!」

「俺は兄弟が多い!」(お母さん大変だね)


と、いかにも凄そうにアピールします。


では、その宴席で、兄弟が量産される様子を綴らせて頂きたいと思います。


参加者は、あるつながりを持っているグループ(2人~3人くらい)や、個人が入り混じった構成となることが多いです。集まった人たちの関係は、ビジネスで関係がありそうな人や、全くなさそうな人もいて、まちまちです。


そして、ウェイトレスさんを呼び、「酒は何にする?」とお互いに聞きあいます。この場の参加者は、この宴席の最後は毎回同じ「末路」をたどり、翌日は軽く再起不能になる事をリアルに想像できる猛者ばかりなので、お互いアイコンタクトで、


「どうせ末路は同じだから、せめて最初はソフトに行こうね♡」


という確認をしながら、「まずはビールで」というのですが、ほぼ必ず一人くらい、軽くKYな、進んで「破滅の刃」になりたい人がいて、


「いや、白酒や!」(度数高いやつです)


・・・


と、みんなが軽く沈黙するのですが、私には、


「アホかお前!んなもん後からでええやろ!」

「お前ひとりで飲んどけ!」

「調子乗るのは明日にしとけ!」


と、沈黙の中に響き渡る、国会のヤジのような心の声が聞こえてきました。


で、結局、ビールと白酒の両方が出てきます。そして、白酒が運ばれると、中国5,000年の歴史と文化の力で、ほぼ「飲まない」という選択肢が与えられません。もれなく全員のショットグラスに白酒が注がれます。


そして、お互い顔を見合わせて、恐る恐る、


「じ…じゃあ… 乾杯」


のような感じで乾杯するのですが、飲み干した後、お腹をさする人や、苦虫を嚙み潰したような表情をする人はいるのですが、誰一人として美味しそうに飲む人はいませんでした。


で、料理が運ばれるのですが、ここからがさらに面倒です。


日本でのビジネスで食事の接待をする時は、皆それぞれが好きなように飲めばそれで良いのですが、中国の人の話によると、中国の宴席で一人で好きなように飲むのは「酒が強い」と思われるか、「礼儀を知らない」と思われるようです。


私のように中途半端に酒が好きな人間は、中国の人たちに混ざってガンガン飲むことは出来ませんが、飲みたいときに飲めないのも、これまたつらいものです。


しかし、「どうせ末路は同じ」で、後で飲まされるので、とりあえず酒には手を付けずに、料理ばかり食べるようにして大人しくしていると、再び破滅の刃の彼が、


「ほんなら、一人ずつ順番に回ろか♡」


・・・


(いやいや、破滅の刃はあんた一人で十分です。)


破滅さんは、例えばAさんが、この席にいる全員の一人ずつと乾杯し、それが終われば、Bさんが同じことをし、次はCさんが…と言う事をやろうと言っているのです。


勿論、破滅さんが言い出しっぺなので、彼が率先してそれをやります。やり終えた後、だいたい二番手か三番手くらいまでは持つのですが、その後は、みんな酔っぱらって続かなくなり、空中分解します。


私と同じように、「破滅はあんた一人で十分や」と思っている人もいます。それらの人は、自分でビジネスになりそうな人や、関係を作っておくと後々良い事がありそうな人に、個人的に乾杯をしに行き、破滅の無間地獄で体力を消耗することを避けるのですが、勿論一対一でも、何度も乾杯すると、酔っぱらって行きます。


そして酔っぱらっていくにつれ、その二人は、次の日には肝臓で分解されたアルコールとともに、跡形もなく消え去っていく「強い絆」で結ばれた、今宵限りの兄弟になります。


そして、テーブルのあちこちで兄弟が量産されると、兄弟同士で、テーブルをはさんで、


「カンパーイ♡」


とやるのですが、兄弟達はすでに酔っぱらっているので、グラスを当てた時の衝撃で、ビールや白酒が爆弾のように、テーブルの料理に投下されます。さながら「同時多発テロ」です。こうなれば、もう料理は食べることが出来ません。(いや、食べたくない…)


そして、「死滅の刃」の一歩手前の「破滅の刃」が寄ってきて、おもむろに私の肩を抱き寄せます。(オエッ)


「この後一緒にホテルに泊まろう」とだけは絶対言われたくないので、最悪クロスカウンターで逃げたいのですが、間合いが近すぎてクロスカウンターも出せません。


中国の人の声はそもそもデカいので、周りがうるさくても、十分聞こえるんです。でも、彼は、彼の声を私が聞き取れない心配をしつつ、「熱い兄弟感」を醸し出し、耳元でガンガン唾を飛ばしながらデカい声で、


「ええか、俺とお前は兄弟や!俺とお前が一緒に酒を飲むっちゅ~事はな……せやから、○▼※△☆▲※◎★●・・・、分かるやろ?」



うんうん、メッチャ分かる♡

(分かるから、はよ顔洗わせてくれ!汚い!)



こうして、また貴重な一日が虚しく過ぎ去っていくのでした…


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