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20年前のベストセラーに衝撃と感動「国家の品格」

この記事は以下のような方に参考になるかと思います。
・小さなこどものいる方
・経済的な不安を抱えながら働いている方
・子どもの教育方針に悩むママ、パパ

この記事は書籍「国家の品格」を読んだ感想とともに、その内容へ自分を当てはめ、考え、行動した記録を書いています。

今回の本


日本人特有の感性

もののあわれ

歴史や古典に疎い私でもなんとなく意味が分かるこの言葉。
この「もののあわれ」という感性が私にも備わっている。
このことへの感動が押し寄せ、本書を読みながら泣きそうになった。

人間の儚さや、悠久の自然の中で移ろいゆくものに美を発見してしまう感性です。物が朽ち果てていく姿を目にすれば、誰でもこれを嘆きます。
無論、欧米人でもそうです。
しかし日本人の場合、その儚いものに美を感ずる。
(中略)これは日本人特有の感性だそうです。儚く消えゆくものの中にすら、美的情緒を見出してしまう。

国家の品格

本書で初めて知ったのだが、虫の声に情緒を感じるのは日本人特有の感性なのだそう。

秋になって遠くから鈴虫の音が聞こえてくると、心を洗われ、秋の憂愁(ゆうしゅう=うれい)に心を静ませる。

国家の品格

(わかる)

「あぁ・・・秋だな・・・」なんてしっとりと美しい感情に浸されるような。

日本人はきっと、誰でもこれが分かる。


儚さ(はかなさ)

我が家には釣りの趣味があり、三重県の南伊勢方面によく行く。
山と海の豊かな自然のなか、いつも釣りを楽しむ。

(ちなみに釣りの朝は2時起き、4時スタートです。 キビシー!)

私はここで、釣りをしながら自然を感じるのが好きだ。
いつだったか、夏の朝にはひぐらしが鳴いていた。
私は、テレビ以外でその鳴き声を聞いたのは初めてだった。

うわぁ・・・ひぐらしだ・・・

桟橋の上で足が止まる。
涼しくて白い朝だった。

山の霧が海に落ちたのだろうか、空との境界線は消えていた。
そこに立つ私も私の視界も、なんだか淡くなる。

ケケケケ・・・

消えかかっていた私の視界に、気がつくと子ども達が写っていた。

釣竿を持って、桟橋を渡る小さな背中。
笑顔なのが歩き方から分かる。楽しそう。


・・・あぁ、

これは今だけの思い出なんだろうな・・・


そう思った。
ひぐらしの声をきくと思い出す。
じわりと涙がにじむ。

これは本書の著者のエピソードにも似ていた。
なんだかとても印象的で、私はマーカーをひいていた。

十年ほど前に、スタンフォード大学の教授が私の家に遊びに来ました。秋だったのですが、夕方ご飯を食べていると、網戸の向こうから虫の声が聞こえてきました。その時この教授は、「あのノイズはなんだ」と言いました。スタンフォードの教授にとっては虫の音はノイズ、つまり雑音であったのです。

その言葉を聞いた時、私は信州の田舎に住んでたいたおばあちゃんが、秋になって虫の声が聞こえ、枯葉が舞い散り始めると、「ああ、もう秋だねぇ」と言って、目に涙を浮かべていたのを思い出しました。


「なんでこなんな奴らに戦争で負けたんだろう」
そう思ったのをよく覚えています。

国家の品格


大切なこと

私が本書で泣きそうになった理由は他にもある。

著者の意見。
能率や効率、役に立つことがすべての金銭至上主義よりはるかに、日本人がもつ情緒には価値があるという。

本書の最後1ページにこうかかれている。

世界を救うのは日本人
日本は、金銭至上主義を何も思わない野卑な国々とは、一線を画す必要があります。
国家の品格をひたすら守ることです。経済的斜陽が一世紀ほど続こうと、孤高を保つべきと思います。
たかが経済なのです。

国家の品格

たかが経済
そう言い放つ著者。

刺さった。
痛いほど刺さった。

それは少し前、父と話したことを思い出したからだった。


人生の振り返り

父は私が幼い頃、脱サラして会社をはじめた。
その会社を今日までずっと続けてきた。
父はもうじき70歳になる。

会社経営はバブルで順調なときもあったようだが以降はやはり厳しく、仕事はいつも大変そうだった。

先日実家に寄ったとき、父がふいに話し始めた。
自分の人生を振り返ったのだという。

思ったんだ。
自分の、この人生はただ1つ。
問題はただ「経済的なこと」。
これだけだった。

子ども(私)は勉強、結婚、孫まで順調で、何の心配もなかった。
家族も仲良く、いつも幸せだった。
すべて順調だった。

「経済的な問題」

この人生、ただただこれだけだった。

私は、あぁ本当だなと思った。

私からみて、父はいつも幸せそうにみえた。

会社をどうしたらもっと良くできるのか。
それをいつも考えては未来の可能性にワクワクする。
その過程を楽しむ。

 新しい考え方に気が付いたんだ。
 この方向性はどうだろうか!
 これからとんでもないことにになるぞ!

父から聞き続けた前向きな発言は、私の仕事観にも影響を与えた。
仕事は楽しいのだと思うようになった。


自分のその観念に気がついたのは、結婚した私が夫と交わした何気ない会話の中でだった。

「仕事はお金のため」

私の夫はその考えが強い。
だから夫婦間の会話でもそんなニュアンスが強くなる。

家計を支える夫がその考えを持ってくれていることは、妻としてありがたいことですらある。
しかしいつだったか、私はこれに必要以上に反論したことがあった。

夫: 仕事は金のため、俺は金のために働いている
私: いや、私はそうは思わない

なぜか私は、強く言い返していた。
あぁ、自分はそう思っているのだと自覚した時だった。

もっと会社を成功させたい。
大金持ちになりたい。

父の発言にも当然そういったものがあり、やはり経済的な成功に対する“乾き”はあったのだと思う。
父も全力でそこに向かって頑張ってきたのだ。

いつもあった経済的な問題。

ことばにするとこれは、とても悲しく聞こえる。
でも私は、父の話に、ネガティブを一切感じなかった。
逆にうらやましいとすら思った。

問題はお金のことだけ。
悩みはいつもお金のこと。

なんだそれ。

そんなの最高じゃないか。

経済的なことなんて、大した問題じゃない。

それとは比べものにならないほど、うちの家には、父と母には、価値がある。
私はそれで育ってきた。

たかが経済。

そう、たかが経済なのだ。


これからどうするか

それにしても本書は強烈だった。
通勤時間に本書を読んだ私は、電車の中で何度も大きなハンマーでドーンと殴られたような衝撃と、喉がきゅうぅぅっと痛くなる感動で忙しかった。2005年11月に刊行された本書は、大ベストセラーとなった。

(やっぱり)

20年近くたった今、わたしからみて日本人は品格を取り戻したようには思えない。

初等教育で英語についやす時間はありません。とにかく国語です。

国家の品格

小3の娘は、学校で英語の授業がはじまった。
アルファベットを必死に勉強する彼女は、国語の感想文が下手だ。
痛いほど本書が刺さった私は、子育てや自分の読書にこの経験を活かそうと思う。

娘に毎日日記をつけさせるようにした。
今日で4か月ほど経つ。

彼女の文章は、少しづつ変わってきたようにみえる。


今週の記事はここまでです。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
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