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【読書】妹背山婦女庭訓(歌舞伎絵巻シリーズ)

 2023年7月23日(日)、歌舞伎絵巻『妹背山婦女庭訓』を読み終えました。メモを残します。

■歌舞伎絵巻シリーズについて
 今回読み終えた『妹背山婦女庭訓』は、ポプラ社から出版されている「歌舞伎絵巻シリーズ」の1冊です。
 文章を橋本治さん、絵を岡田嘉夫さんが担当しています。
 
 同シリーズは全5冊のようで、これまでに仮名手本忠臣蔵、義経千本桜、菅原伝授手習鑑、国性爺合戦、妹背山婦女庭訓が出版されています。
 特に、今回の『妹背山婦女庭訓』は絶版なのか、Amazonで高値がついていました。私も、図書館で借りてきて読んだ次第です。

 本書の絵は浮世絵のような絵で、関心を持ったこともあり、絵を担当された岡田嘉夫さんについて少し調べてみました。

岡田 嘉夫は、1934年兵庫県生まれの画家、グラフィックデザイナー。
源氏物語などの古典作品を題材とした小説の挿画や、田辺聖子をはじめとする作家との共著により、現代的な絵草紙を数多く手がける。鮮やかな色彩、大胆な構図、官能的な描線を駆使することで独自の世界を構築し、現代の浮世絵師とも称されている。<以下省略>

Wikipediaより抜粋・加工

 Wikipediaにも記載されているように、岡田さんの絵は鮮やか且つ官能的で、個人的に初めは「ちょっと濃いな~」と思ったのですが、読み始めると、割合スイスイと読め進めることが出来ました。
 なお、岡田さんは2021年に亡くなられていて、新作を見ることは出来ませんが、他の本で挿絵などをもう少し見てみたいな、と思いました。

■『妹背山婦女庭訓』について
(1)簡単なあらすじ

『妹背山婦女庭訓』は、その大化の改新をヒントにして作られたファンタジー物語です。魔王のようになった蘇我入鹿を、みんなが力をあわせて倒します。悲しい恋物語もあります。読んでびっくりしてください。

表紙裏に記載された橋本治さんのコメントより抜粋

 公的な政治に私的な恋愛が入り混じっていること、そして、入鹿を倒すには、①爪黒の牝鹿の血と②嫉妬深い女の血が必要であること、などから、(岡田さんの絵もさることながら)作品として「濃いな~」と感じます。

 ちょっと作品の中に入りづらい気もしていたのですが、「ファンタジー物語」という橋本さんの言葉は、胸にすっと入って来ました。読書してみて、橋本さんや岡田さんが表現される世界も面白かったです。他の歌舞伎絵巻も図書館から借りて、読んでみたいと思います。

(2)2023年の文楽
 歌舞伎や文楽で、『妹背山婦女庭訓』は全五段です。
 文楽で、2023年4月に三段目までが上演され、7月~8月(現在)四段目以降が上演されています。(大阪の文楽劇場)
 詳しくは伏せますが、四段目は、酒屋の娘・お三輪と藤原淡海、橘姫の三角関係が中心になるようです。三人の人形が踊る「道行恋苧環みちゆきこいのおだまき」は、面白そうです。

 さて、本作では、苧環おだまきの糸を恋する人の袖のたもとに縫い付け、糸をたどって後を追っていきます。ここでギリシャ神話の「アリアドネの糸玉」を想起したのは私だけでしょうか?

 本日は以上です。

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